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第21話 魔獣を捕まえますわ

 学園前の道で馬車が止まり、ゼクシアが降りてくる。

クロムウェル領は学園及び王国からさほど離れていないため、毎日家に帰ることが出来た。

ちなみに、ローランドとセリオンも実家から通学

サフィーロとミストは別宅でふたり暮らし。

ライオニールは寮生活。

アイリスは城下に別宅があって従者と暮らしてるとのことらしい。


「おはよう、ゼクシア」


「ローランド様、おはようございます」


 ローランドとあいさつを交わすが、セリオンの姿が見えなかった。


「…あの、セリオン様はご一緒ではないのですか?」


「それが…家に迎えに行ったんだけどいなくてね…

お姉さんから聞いたが、学校には行っているみたいなんだ」


「そう…なのですか…」


 昨日、手を振り払われたのがまだ気になってしまう…

顔を合わせづらいだけだったらいいのだが…


「ゼクシア、ローランド、おはよう」


 サフィーロとミスト、そしてライオニールも一緒に歩いてくる。

ライオニールはあくびをして気だるそうな顔で軽くあいさつをし、ミストは一礼をした。


「サフィーロ様、ライオニール様、ミストさん、おはようございます。

お二人はすっかり仲良くなられたのですね」


「いやぁ、道で偶然ライに会ってね。一緒に来たんだよ」


「…俺様は仲良くなった覚えはないがな…」


 ライオニールは少しだけ嫌そうにそっぽを向いて答えた。


「ゼクシア様、セリオン様は…?」


 ゼクシアはミストの問いに答える。


「…学校にはいるようなのですが、まだお顔を見ておりませんわ」


「そうですか…やはり、彼が内通者と疑うほかありませんね…」


「ミスト…まだそんなことを…」


「いえ、サフィーロ様、さすがに看過できません。

今後のためにも、可能性があるなら疑うべきです」


 ミストの発言に対し、ゼクシアは凛とした態度で言い返した。


「いいえ、ミストさん、

セリオン様は内通者ではございませんわ」


「なぜです?ゼクシア様、現状として彼が一番疑わしいのですよ?

まさか、幼馴染だから信用できる…とおっしゃるおつもりですか?」


「それは…」


 ゼクシアが答えようとした時に、ズシンと重い音が響く。

音のした方向を見ると、魔獣の姿が見えた。


「ちっ!おいでなさったぜ!捕まえるんだろ?アレを!?」


 ライオニールは腕が鳴ると言わんばかりに気合が入っている。


「ああ!もちろん街に被害を出さないように…ね」


 サフィーロも聖剣を取り出した。


「みんな!行こう!」


 ローランドの発生に3人は魔獣の方へ向かって走り出した。


「ミストさん」


 ゼクシアはミストを呼びとめ、一枚の紙を渡し両手を包むように握った。


「私も詳しいことを話せず、申し訳ございません。

でもこれだけは言わせてください。

私は皆さんを信じています。

もちろんミストさん、貴女のことも…」


 そう言ってゼクシアもまた、魔獣に向かって走り出した。

ミストは渡された紙を開いてみた。


「!?…これは…!」


そこにはただ一言、書いてあるだけだった。

『学園長室は盗撮されています』

…………………………

「あの魔獣は…蛙なのか?」


 ローランドが戸惑うのも無理はない。蛙のような姿をしているが、逆足はそのままに二足歩行で歩き、強靭な腕を持ち合わせていた。

魔獣は舌を伸ばし、パンチのように攻撃を仕掛けてきた。


「うぉ!?」


 咄嗟に盾で受けたフレイムセイヴァーだったが、あまりの威力にのけぞってしまう。


「なんて威力だ…まともに受けるのは危険だぞ…」


ライオサンダーが魔獣の前に出る。


「ハッ!関係ないぜ!

要は動けなくすりゃあいいんだろうが!

いくぜ!超電磁ストーム!!」


 ライオサンダーの口から電気を浴びた竜巻が吹き出す。

ゼクシアが使った技を見様見真似だが、元々魔法は専門ではないライオニールが独自に学び、撃ってみせたのである。


「どうだ!これなら動けないだろ!?」


 勢いづくライオニールだったが、魔獣は難なく竜巻を振り払った。


「なっ!?効いてねえだと!?」


「拘束するなら、もう少しダメージを与えるのがよさそうだね

いくよ!ウィンドエッジ!」


 ウィンドファルコンは翼を羽ばたかせ、複数の風の刃を放った。

魔獣に命中こそしたが、傷ひとつ付いていない。


「僕たちも続くぞ!ライオニール!

フレイムスラッシュ!」


「言われるまでもねえぜ!サンダークロー!」


 フレイムセイヴァーは炎を纏った剣で、ライオサンダーは雷を帯びた爪で攻撃を仕掛けた。

だがダメージを受けている様子は全くなかった。


「どういうことだ!?こっちの攻撃が全く効いてねえぞ!?」


「ああ、切り傷ひとつついてない…

どうなっているんだ…」


 ローランドとライオニールが手をこまねいていると、再び魔獣は舌を伸ばし、パンチを繰り出す。

今度は間一髪で避けることが出来た。

だが、彼ら3人では捕獲はおろか、ダメージを与えることすらできないでいた。



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