表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/46

幕間その4 ゼクシアとグレイスの女子会

 ちょっと昔の話

私は魔法が大好きだった。

時代が変わって生活魔法くらいしかみんな使わなくなったが、私は古の魔法に興味を持ち、勉強した。

変身魔法を覚えた時にはひたすらに遊んだのを覚えているし、魔道具も色々作りたくて、部屋に篭って実験ばかりしていた。

1番の友人はそんな私をたくさん褒めてくれた。

学園を卒業して、彼女は王家に嫁ぐことに、私は伯爵家に嫁ぐことになった。

お互い子供が生まれたのだが、友人はこの世を去ることになる…

死因は毒殺…友人は暗殺されたのである。

心残りは…子供達だと言っていた。

その後王家に打診され、王家に長く勤めることになる。

娘には…寂しい思いをさせることになる…

…………………………

「ん〜〜!美味しいわ〜このケーキ!」


 この日、グレイスはゼクシアと出かけていた。

以前言っていた、紅茶とケーキの美味しいお店に連れてきてもらっていたのである。


「気に入っていただけたようで何よりですわ、お義母様」


「さすがゼクシアちゃんね、こんなお店知ってるなんて」


 グレイスは変装してこの場に来ている。

周りに王妃だとバレるわけにもいかないからだ。

詳しいことは公表されていないが、10年くらい前に王家で毒殺騒動があった…らしいから、警戒しているのだろう。

遠巻きだが、護衛もついている。


(そういえば、父の爵位が侯爵になったのもその時期でしたか…)


「ところで、ゼクシアちゃんに報告しないといけないことがあるんだけど…」


 グレイスがひそひそ話をする。


「なんでしょうか?」


「実は…前に話してくれた件なんだけど…」


 と、グレイスが続けようとすると、唐突に聞き覚えのある方が聞こえる。


「ほぅ、ゼクシア、こんなところでお茶とは…呑気なものだな」


 そこにはアシュレイドの姿があった。

ため息をつきながら、渋々対応する。


「…アシュレイド様こそ、こちらで何を」


「ふん!決まっている!

これからアイリスとのデートなんだ

決して邪魔するんじゃないぞ!」


(…絡んできたのはそちらでは…?)


 と思ってため息をつく。

ふと、目の前を見ると、

グレイスが怒りに震えているのがわかった。


(これは…まずい…!)


「あの、アシュレイド様?

待ち合わせしているのでしたら、早く行かれたらよろしいのでは…?」


「貴様に指図されんでもわかっている!

まだ時間には余裕があるのだからな!」


(違う!そうじゃない!

早く離れた方がいいと言っているんですのよ…

でないと…)


 グレイスの怒りが爆発しそうだ。


「ところで、こちらの女性は?」


「え?何をおっしゃっているのですか?

おか…」


 と言い切る前にグレイスに口を遮られた。

そしてアシュレイドに満面の作り笑顔を向け答える。


「初めまして、アシュレイド様。

私、ゼクシアさんの友人ですの、今日はお茶に誘われまして」


グレイスの顔はものすごく引きつっていた。


「ふん、そうか。

貴様も可哀想だな、こんな女と友人などと

嫉妬でアイリスをいじめるような女だぞ」


「でも、証拠はないんですよね?

私の方でも確認できていませんし」


 グレイスは笑顔を崩さずに対応していた。

だが、ゼクシアにはわかる。

彼女の顔が引きつっているのが。


(…このままだと何をするかわかりませんわ…

というか殿下、空気読めなさすぎでは…)


「あ、あの殿下?そろそろ待ち合わせ場所へ向かった方がよろしいかと…

女性を待たすものではありませんよ」


 ゼクシアは立ち上がり、慌てて2人の間に入った。


「貴様に言われんでもわかっている。

では失礼する」


 ようやく、アシュレイドはこの場を去っていった。

肝が冷え切ったような思いでゼクシアは椅子に腰掛けた。


「…あの、お義母様?大丈夫ですか?」


「ええ、私は大丈夫よ。

あともう少し長引いていたら、たとえ息子とはいえ、燃やしていたかもしれませんけど…」


 ゼクシアがビクッとすると、グレイスは笑顔で答える。


「やあねぇ、もちろん冗談に決まってるじゃない!

ホーホッホッホッホッホ!」


冗談に聞こえない。グレイスの目は全く笑ってなかった。


「ところで、ゼクシアちゃん。

以前、学園長室でも話を聞いたけど、

アイリスって子がアシュレイドの浮気相手なのね」


「はい、アイリス・ディネーブルさんです。

平民でしたが、伯爵家に養子になったとかで」


「…ディネーブル…」


 気のせいか、グレイスの顔が怖くなったような気がする。

怒ってはいるようだが、先ほどアシュレイドに向けられた顔とは違う気がした。


「あの。お義母様?」


 ゼクシアに呼ばれてハッとなった。


「なんでもないわ。証拠集めは順調だから任せて。

アシュレイドの思うようにはさせないから」


「はい、ありがとうございます。」


 2人はその後も一時の休息を楽しんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ