第8話 今後のことを話し合いますわ
3人は学園長室へやってきていた。
そこで聖剣のことをローランドとセリオンに話し、ふたりは持っていた聖剣を学園長の前に出した。
「まさか、聖剣がいきなり2本も見つかるなんて…」
マーレイン学園長も驚いていた。
聖剣の所在は王家が保有している、白の聖剣以外はわかっていない。
邪神や魔獣の出現は1000年前、もはや、お伽話のようなものである。
それ以降出現が確認されてない以上、聖剣がどこに行ったか、わざわざ探すものもいないのだろう。
相当なもの好き以外は…
「それで、ローランドさんとセリオンさん、
おふたりはこの聖剣を使うことは…」
「いえ、そもそも使うという意味もよくわからず…」
「同じくです。母も研究していたのですが、何も分からないままで、ここ数年は倉庫の中に…」
そうですか…とマーレインは再び考え込んだ。
見つかったとはいえ、そもそも聖剣の所有権はふたりにはない。
グレイスの権限なら返答次第でどうとでも出来ることとはいえ、
友人を巻き込みたくはない、というゼクシアの気持ちもあるし、
何より命の危険が伴うことをまだ学生であるふたりに強要するわけにはいかない。
一応、意思確認だけはしておこうとマーレインは口を開いた。
「お二人はどうしたいのですか?」
マーレインの問いにふたりは少し考えた。
「最初の魔獣が出た時、自分は何も出来ず、ただ見ているだけでした。
でも、もしこれで自分も戦うことが出来るのなら、この国を守るために戦いたいです。」
ローランドは力強く回答した。
「私も同意です。
これを自分が使えるというのなら、魔法に携わるものとしての興味がある…というのもありますしね」
セリオンの目もまた真っ直ぐなものだった。
「わかりました。この聖剣がどうやったら使えるようになるかは調べるとして、
こちらとしては、この聖剣の所有者をお2人のものに出来るよう、国王陛下に掛け合ってみます。」
マーレイン…というより、グレイスの権限によるものであるから、ここはスムーズにいくだろう。
国としても、魔獣に対して戦力が欲しいのは事実である。
「今は魔獣が出るまで、学校生活に戻ってください。
あと、皆さんにこちらを」
3人に腕輪が渡される。
「通信魔道具を試験的に小型化したものです。
3人にお渡しいたします。何かあればいつでも連絡できますし、特にゼクシアち…さんの場合、戦闘中にサポートもできるようになります。」
(サラッと言っているが、結構すごいものなのでは…)
と、ローランドとセリオンは思った。
今後のことはまた後日話すことになり、一旦は解散となった。
…………………………
翌日、ゼクシアは決闘場の人混みに気づいた。
何事かと聞くと、どうやら、騎士学科の生徒2人が決闘をするらしい。
周りを見回すと、最前列にセリオンを見つけた。
ゼクシアは人混みをかき分け、セリオンの元へ向かった。
「誰と誰が決闘するのですか?」
セリオンは指を刺す。
そこにはローランドと大柄の金髪の男がいた。
「ローランド様と…あちらの彼は?」
「ライオニール・シュタルク
騎士学科でも3本の指に入るくらいの実力者だ」
ゼクシアは思い出した。
(そうか、このイベントか…)
これはゲーム内にあったイベントの一つで、ローランドとライオニールが決闘したのち、敗北して落ち込むライオニールにアイリスが駆け寄り、恋愛フラグが立つ…というものである。
イベントはだいたい覚えていても、いつどれが発生するかは主人公目線でのものだから、時期や日付では考えてなかったなぁ…
と、自身の記憶の曖昧さを改めて恥じているうちに決闘が始まった。
2人は木剣を使い、激しくぶつかり合う。
見るまでもなく結果はわかってる…と思っていたゼクシアだったが、その予想は裏切られることとなる。
剣を弾き飛ばされ、地に伏せたのはローランドであった。
その場にいた誰よりも、ゼクシアは驚いていた。
「ローランド様が……負けた?」
14話くらいまで書いてはいるんですが、
直してないので、週末にまとめて投稿します。