赤外線
「うわっ、今日メッチャ晴れとる。出かけよ思っとたけど日差しきつすぎるわ。こんな日に外出たら赤外線がきつ過ぎて皮膚癌になってまうわ」
「そだな。てかなんであなた関西弁でしゃべってんの?読者様があなたのことのこと関西人やと思うで」
「うつってんじゃねーか、後関西弁だけじゃなくて赤外線も突っ込もうよ」
「?赤外線に突っ込む?なんで?」
「え!浴びすぎたらいけないのは紫外線だぞ、赤外線はストーブとかから滲み出てるやつだぞ!薩摩芋暖める時においしくしてくれるやつだぞ!」
「まじか、紫外線は人間の敵だけど赤外線は人にも芋にも優しいやつなんだな知らなかったぜ」
「お前は可哀相なやつだな。あれところで最初の発言者は何で黙ってるの?と言うか顔も赤いんですけど」
「もしかしてあいつも素で間違えてたんグフッ・・・・」
えろり。そして、バタリ
「何か言った?」
ピクリとも動かない相方を見る。
こちらを見る般若を見る。
目を逸らす。
「いえ、まあ何も特にありません」
「ならいいのよ。そこの動かないモノはそうね庭にでも捨てときましょうか」
有無を言わさない圧力がかかる。
だが、あいつは俺の親友。馬鹿だけど親友だココは助けるべきなんじゃ!
心を奮い立たせて言ってやるぜ。
視線を合わせる。
よし言ってやる!
「そうですね。捨てちゃいましょう」
何あの目こっち見てるときさえ人間見てくれてるような目じゃなかったんですけど。
倒れてるほうに対しては最初から落ちてたゴミのとでも言いたげな視線なんですけど。
本能で回避しちゃったんですけど、考えてたのと口にした言葉がまったく別物に変換されちゃったんですけど。
「はい、よろしい。」
にっこりと向けられたアルカイックスマイルに俺は赤面を通り越して青ざめたね。だって目がまったく笑ってないんだぜ。
それから俺は親友のなきがらを庭に引き摺っていき庭に出たときに再び笑顔で「アイス買って来い」との命令に二つ返事で了承しコンビニまでマジダッシュ。好物である小豆バー購入(自費)そして再びのダッシュ、パシリ根性が滲み出てますが仕方ありません。だってあの人橘桃代さんに敵う筈がないのだ。
あの無敵超人に敵うわけないんだ幼い頃からあの人には頭がまったく上がらない俺も、俺の親友でありあの人の弟でもある橘颯太も。
「桃代姉さん。アイス買ってきたよいつも通り小豆バーで大丈夫だよね」
「あれ、和樹どこ言ってたの?」
「お前が倒れてた間に少しパシリをな……」
気の毒そうにこちらを見てくる。
何だその哀れみの目は!正直、ボディに一発食らって倒されたお前よりもましだと思う。105円であの攻撃を避けられるならいくらでも払うね俺は。
ピタッ
「ひゃっ。何、何なの?」
「ハイ麦茶。外暑かったでしょ、ご苦労様」
「いや買いに行かせたの……」
ギロリ
「いえ、なんでもありません。」
黙る颯太こいつかなり調教が進んでやがるな。
俺も人の事言えないが、だって冷やした麦茶を用意してもらっているだけでうれしさを感じてしまっているんだから。正直勝てるきがしないねこの人には。