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195  作者: Nora_
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09

「まーきちゃん、私はここだよー」

「あれ、晴菜がさっき『二葉先輩と遊んでくる!』と元気に飛び出して行ったんですけど……」

「え? 晴菜なら来ていないけど……」


 というかどうしてあの子は未だに二葉先輩なんて呼び方をしているのだろうか。

 先輩が意外にも頼んでいないとか? それとも、ただ単に恥ずかしいだけなのだろうか。


「まあいいや、晴菜とは夜に会う約束をしているからいまは茉希ちゃんと過ごさないとね」

「佑希先輩って私の相手をよくしてくれますけど晴菜から嫉妬されないんですか?」


 私の何倍もの時間を一緒に過ごしているだろうから心配はいらないのだろうけど、ついつい言いたくなってしまうのは人間性的に仕方がない。

 いや、ここで気にしない人間はいないだろう、相手を振り向かせたいというときに他の存在といるのはおかしい。

 まあ、付き合っているなら付き合っていたでそれも問題になるわけだから結局結果は変わらなかったのかもしれないけどさ。


「うーん、ないわけではないけど」

「気をつけてくださいね、巻き込まれるのは私――」

「「ふっ、かかったな」」


 もうこれは私を使っていちゃいちゃしたいだけでしょ……。

 とりあえず後ろから抱きついてきていた晴菜にやめるように言って先輩の横に行かせた。


「余計なことをしていないで佑希先輩と遊びなさい」

「今日はお泊りするからその前に茉希と一緒にいたかったんだよ」

「あれもそれもこれもと全部を叶えようと行動したら駄目なのよ」


 欲を抑えきれなくなって駄目になるし、多分、そんな状態では人も寄ってこない。

 ああ、だからこその緩さでもあるのかもしれないのか。

 やはりがっつきすぎると空回りして終わるだけだから抑えているだけ……の可能性もある。


「ふーむ、確かに茉希みたいに航輔君一人に集中するみたいにやらないと駄目かー」

「……佑希先輩、晴菜のことをよろしくお願いします」

「だから駄目だって、さ、茉希ちゃんも遊ぼう!」


 止めてくれる存在がいないとこういうことになるということをこの二人はよく教えてくれていた、……付き合う私も私だけど。

 盛り上がっている二人を見ながら歩いているわけではなく、その中に普通に混じってしまっているのだからどうかしている。

 なにがおかしいって好きな人と盛り上がっているのになにも言ってこないことだ。

 大人の対応ができていると言えばそうかもしれないけど、もうちょっとぐらいは分かりやすい反応を見せてくれていないとこちらがそわそわしてしまうからやめてもらいたかった。

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