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黒子の天使の異世界創造~幼馴染み熾天使はダンジョンマスター~  作者: 三河三可


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第65話 猟奇的な冒険者

 セイレーンとローレライの魅了の歌声は、冒険者達を惑わせ道を見失わせる。冒険者は、森をさ迷い続け、やがて食料は底を尽きる。

 無限にループする森の迷宮が、冒険者達の心を挫き、飢えという死の恐怖を植え付ける。そうなるはずだった……。


「レヴィン、どうなってるのよ。ちょっと、おかしいんじゃないの?」


 聖女やハイエルフではあるが、マリアナの感情の起伏は大きく、鬼の形相で俺に詰め寄ってくる。


「何かあったのか?そんな怒ることなんてないだろ」


「はっ、マリク、早くモニターに出して。9階層よ、9階層!」


慌ててモニターに映し出される9階層の映像。冒険者達が、セイレーンやローレライの歌声を求めて、ダンジョンへと押し掛けている。

 美形の魔物達ではあるが、それは絶望と死の象徴でもあったはず。それなのに、冒険者それぞれに推しの魔物をつくり、魅了されればされる程に熱狂し、絶望と死の恐怖を簡単に凌駕している。その猟奇的な感情の爆発が、逆にセイレーンとローレライに精神的なダメージを与えている。


「貴方が言い出したことなのよ。もし、彼女たちにトラウマが出来たら、しっかりと責任はとってもらうわよ」


「どうしてだ。こんな筈じゃないだろ。何が起こってる」


「先輩っ、多分これっすね」


 マリクが第9階層で見つけたのは、ドワーフ族がつくるベースキャンプ。第8・9階層にベースキャンプをつくりあげている。そこの十分に食料を確保し、あまつさえ家畜の飼育まで始めている。


「ノーバの野郎め、交易だけじゃ満足しないっていうのか」


「先輩……」


「どうした、マリク。他にも何かあるなら、ハッキリ言え」


「そのですね、たった今、第10ダンジョンからプレスリリースがありました」


 想像していなかった事態に、さらに輪をかけるように事態が悪化する。熾天使ノーバより、第10ダンジョンと第13ダンジョンとの交易の締結が正式に発表された。


 それが意味することは、とてつもなく大きい。


 まず1つ目は、第10ダンジョンの交易品が、主にミスリル銀を含む貴重な鉱石であること。上位の4つのダンジョンだけが、第10ダンジョンと交易を行っている。そこに第13ダンジョンが加わったとなれば、さらにミスリル銀の流通量が減ってしまう。

 他のダンジョンで産出する粗悪なミスリル銀では、アーティファクトと呼ばれる神器は造り出せない。


 2つ目は熾天使ノーバが、第13ダンジョンに貴重な鉱石に見合ったものがあると認めたこと。そうなれば、上位ダンジョンも動き出し、簡単に第13ダンジョンを潰せなくなる。そうなる前に、他の下位のダンジョンが団結して嫌がらせを仕掛けてくる可能性が高くなる。


 3つ目は、ダンジョンの機密が公開されたこと。些細ことであっても、普通は機密をオープンにすることはない。だが、プレスリリースすればダンジョンの機密の一部を公開する代わりに、互いの交易が優先される。後追いしようとしても、優先されるは第10ダンジョン。

 互いのダンジョンの成長を邪魔立てすることは、神々の怒りを買うことになり、上位ダンジョンであっても出来ない。


「これから、もっと冒険者達が押し寄せてくるぞ」


「ちょっと、レヴィン。どうしてくれるのよ。このままだと、ストライキが起きるわよ」


「マリク、魔力予備率はどうなってる」


「現在10%っす。まだ5%は余裕っすけど……」


 しかし、マリアナの表情は険しい。これ以上のセイレーン達の酷使も、新規魔物の動員も難しい。


「第6ダンジョンの魔力を、第13ダンジョンに回しますか」


「それは駄目だ。このダンジョンの規模感に見合った魔力消費を超えてしまっては、余計にダンジョンの秘密が怪しまれる」


「じゃあ、どうするっすか?」


「セイレーン達の人選は、マリクがやったんだろ。そうだったよな」


「も、もちろんすけど、それが何か関係あるっすか」


「じゃあ、責任持って護ってやらないとな。見捨てるなんて出来ないだろ。それでイイよな、マリアナ」


「仕方ないわね。しっかりと24時間監視するのよ」

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