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黒子の天使の異世界創造~幼馴染み熾天使はダンジョンマスター~  作者: 三河三可


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第41話 魔物達の異変

「先輩、緊急事態っす」


「どうした、そんな慌てることなんて無いだろ」


 ダンジョンの中には、急激な魔力の上昇や消費を計測する幾つものマジックアイテムが仕掛けてあるが、そのどれもが異常値を示してはいない。


「違うっす。地上っすよ、地上。大挙して魔物達が押し寄せて来るっす」


「んっ、地上もダンジョンの一部だったか」


 成長を続けるダンジョンは、地下だけでなく地上にも広がりを見せている。最初はヒケンの森の7割ほどがダンジョンの影響下にあったが、今はほぼ全域がダンジョンに飲み込まれてしまった。それは、俺たちにはどうすることも出来ない。


 森の魔物の中には、従属の意を示してくる者もいれば、相入れず反発してくる者もいる。しかし、ブランシュの力を見た魔物は、ダンジョンのエリア内に侵入してこようとはせずに、殆どがゴセキ山脈へと移り住んでいる。

 古代竜のザキーサと取り巻きの上位の竜種が、第6ダンジョンに移り住んでたこともあって、ゴセキの山にも新しく魔物を受け入れる余裕は十分にあった。

 そうじゃなくても、ザキーサの指示に従わない魔物は、ゴセキの山にはいない。


「それで、今の状況はどうなっている?」


「今、カメラを向かわせてるっす。まさか、ゴセキの方から来るとは思わないっすからね」


 ダンジョン内であれば、迷路の構造で監視するポイントは限定される。しかし、ヒケンの森では、そう上手くはいかない。地形の起伏や、草木の障害物により視界は遮られ、全てを監視することは出来ない。ましてや、出来たばかりのダンジョンには、そこまで監視の目を光らせる余裕はない。


 そして、地上の魔物の話を聞き付けたブランシュとローゼもやってくる。


「妾の店には、指1本触れさせはせん。使い魔に連絡しろ。近付く者は容赦するなと」


「ローゼも慌てるな。まだ詳しい状況は分からないんだ」


「最悪が起こってみろ。地上では黒子天使は役に立たん」


 地下のダンジョンの中であれば人目は少ないが、常に行列の出来ている洋菓子店ブ・ランシュでは、目立った行動は出来ない。姿が見えない黒子天使が魔物が倒してしまうようなことがあれば、見えない者の存在を疑われてしまう。


「カメラの設置完了、映像出します」


「よし、モニターに出してくれ」


 そして見えてきた魔物は、確かにヒケンの森に居た魔物達。ただ、襲いかかって来るのではなく、統率の取れていないバラバラの行動に見える。


「何か、光ってるすね?」


「魔法?何かに追われているのは間違いなさそうだな」


「あの青い光りは、エンジェル・ナイツよ。何故こんな所に?」


 そして、その正体に真っ先に気付いたのはブランシュ。エンジェル・ナイツとは天界にいる天使の組織の1つ。天界の天使には、ブランシュのように知性を必要とする熾天使を目指す者もいれば、脳筋の戦闘集団もいる。

 それは、熾天使にしか知らされない極秘事項で、殆どをダンジョンで過ごす黒子天使には知らないことでもある。


「エンジェル・ナイツって何だよ」


「天界の戦闘集団よ。天界の警護と、特殊任務を実行する隠密部隊ね。なぜ黒子天使がダンジョンを拠点にするかは知っているでしょ」


 地上での黒子天使は、絶対的な力を持っているわけではない。古代竜は熾天使に匹敵する力を持ち、普通の黒子天使であれば相手にならない。

 そんな魔物を一度怒らせれば、大量の犠牲が出てしまう。破壊出来ないダンジョンは、都合の良い魔物を閉じ込める牢獄でもあり、黒子天使を守る要塞でもある。


 そして、黒子天使と魔物の崩れたバランスを取り戻すのがエンジェル・ナイツの仕事。手に負えなくなった者達を処分する集団で、その対象は魔物だけとは限らない。


「ヒケンの森に居れば大丈夫よ。神であろうと、ダンジョン不干渉の原則は変えられないわ」


「でも脳筋集団が理解出来るとは限らないだろ」


「心配するな、ここには来ん。向かっているのは、2番目の廃ダンジョンだろう」


 そしてザキーサの予言通りに、ゴセキの山から追われている魔物は、ヒケンの森を掠めて違う場所を目指して逃げてゆく。

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