異世界にて: 朝のちょっとした出来事
目が覚めると、窓から日が指していた。
「・・・・・なんか、頬のあたりに誰かが触れた感触が残ってる」
誰かが部屋に入ったんだろうか、しかし、誰がこんな一般人の住む何もない部屋に入ったんだろう。
気だるげな頭を無理やり動かし、自分の部屋を見渡すと見た感じ何もないが、緑色の靄みたいな物が部屋を漂っている。
「靄・・・・?なんだ、これ」
あの柱みたいのを破壊するために魔力を初めて使った反動なのか、凄まじいほどの眠気に俺は襲われていた。
「魔力って使うだけでこんなに疲れるのか・・・・」
眠い、寝よう。誰も起こせないんだし、これからの異世界生活は探偵業以外はゆっくりしたい。
「希堂さん、おはようございます。いきなりで悪いのですが、あなたにお話があるんです」
玄関からティアさんの声が聞こえてきたため、なんとかして眠たい体を動かし玄関まで正直ひっぱて行くが、この眠気だと人の話をまともに聞ける自信はない。
「・・・・すいません、今なんか眠くて・・・あとでも良いですかね」
「そうですか・・・・では、ここで話しちゃいましょう。希堂さん、アリサさんが探偵業を一緒にやりたいそうです」
「え?!」
眠気が吹っ飛んだ。急にどうしたんだろうか、一緒に探偵業をやりたいというのはもしかして、アリサさんも何か訳アリだったりするんだろうか・・・・・いや、考えすぎか。
「私としてはね、魔法や魔術の知識が少ないあなたがやっていけるか不安だからほっとけないのよ。この世界の事もよく知らないでしょ」
「まぁ、確かに・・・・」
「だからね、私たちが二人で教えてあげる」
「この世界の歴史とか魔術、魔法とかを知っている限り教えてあげられたらいいなと」
「うれしいけど・・・・どうして急に」
そう聞くと二人が、さも当然のようにこう答えた。
「だって探偵業をやるんだったらせめて必要、最低限の文化と魔法の魔術の違いとか知っておいた方が、あとで役に立つでしょ」
「たしかに・・・・・」
「それで、二人で教えてあげようってことになりまして、眠気の方は大丈夫ですか?」
「吹っ飛びましたよ。ティアさんとアリサさんのおかけで、二人が教えてくれるっていうのに寝るのは・・・」
「あと、その呼び捨てでいいわよ。これから、三人でやっていくんだから」
「まぁ・・・・努力してみるよ」
「そう・・・・・・」
「希堂さん、明日から、初めてのお仕事ですから念のため寝ておいたほうがよろしいかと」
「そうね。じゃあ・・・・・また後で」
そういって、二人は部屋に戻っていこうと歩いて行こうとした時、ふと、部屋の中の靄が気になり。
「あの、ちょっと聞きたい事があるんだけど」
「どうしました。他に気になったことでもありました」
「部屋の中に靄みたいなモノがあって、それが気になって」
「それは――――」
「それはね、魔力よ。魔力っていうのは意識しなくても、体から放出されてるの」
「そうなのか・・・」
意識しなくても、身体から放出されているのか、じゃあ、誰でも見えるものなのかな。っていうことは、俺の魔眼とやらは、大したものじゃないってことか。
そのあと軽く話し合ったあと、家の中に戻り、ベットに横になった。
「また眠くなったきた・・・・なんでこんなに眠いんだ・・・・アリサが言ってたように魔眼のせいなのか」
――――初めて会ってそんなに時間がたってない人に呼び捨てってちょっと恥ずかしいな。
なんて、思っていると瞼が重くなってきた。
なんか、こっちに来てから何か無性に眠くなりやすっているのを疑問に思いつつも心地よい眠気に身を任せ、また眠りに落ちていった。