異世界にて:深夜のささやかな攻防
そんな感じでスケルトンの群れと戦わないといけなくなった訳だが――――。
「フッ・・・!!」
名も知らない彼女は鎖でスケルトンを薙ぎ払いながら、すごい勢いで近づいてきたスケルトンの剣には鎖の先端に付いている槍でふさぐというやり方で華麗に戦闘を有利に進めていた。
そんな華麗に戦っている彼女とは裏腹に情けなく俺はスケルトン一体と鍔迫り合いをしていた。
「く、くそっ」
そんな俺を見ながら心配そうに「大丈夫!?」と声をかけながら助けに来てくれようとしているが迫ってくるスケルトンに次々に邪魔をされている。俺は何とか目の前のスケルトンを切り伏せた。
「うっとうしい!」
「な、なんか数増えてないか・・・・・?」
さっきまでいたスケルトンの数が数体だったのが、よく見ると奥から続々とスケルトンが出てくる。
「このままじゃ、やばい・・・・!」
周りのスケルトンを倒した彼女がこちらに走ってきた。
「ごめんなさい・・・・。あの時、逃げていたら・・・・」
「こんなに隠れていたなんて想像ができないし、しょうがないと思うよ。それよりも――――」
「いったい、どこからこんな数が出てくるのかしら。ちょっと異常よ」
「どこかに発生源があるんだろうか」
「発生源、か。この雑木林の奥ならありそうだけど」
見渡してみると、当たり前だが草木に覆われているため簡単に見つかりそうな感じではなさそうだ。
「あるなら魔術陣ね。性質は、たぶん『増殖』と『回帰』かしらね・・・『分裂』かも」
「ちなみに魔術陣って何も知らない個人でどうにかできるもんなんですかね」
「術式だけなら、何も知らない人でも適当に陣を乱してやれば機能しなくなるわ。場所も何か細工されていなければ、すぐわかるはずよ」
「もしかして光ってたりするの?」
「そうね。起動してたら、地脈から霊力を吸い取ってるだろうから分かり易く光ってるはずなんだけどね」
なら、どっちみちこの群れをどうにかしないといけなくなるが彼女一人じゃ、いまだに増え続けているスケルトンの相手は厳しいだろうし、俺は完全に役立たずだ。
目の前の群を前にして、どう切り抜けるか悩んでいると。
「――――なら、私がおとりをやるわ」
「大丈夫?」
「あなたに任せるより私がやったほうが安全よ。護衛とかもいればいいんだけどね」
頼りにならない発言は事実だが悲しいなぁ。
「なら、それは私に任してください」
「「え?!」」
後ろから声が聞こえてきたから振り向くとそこにいたのは
「ティアさん。どうしてここに?」
「それは後で、今は目の前の状況を優先しましょう。私が希堂さんの護衛に回ります」
「・・・・・決まったわね」
作戦は簡単だ。俺がどこにあるかわからない魔術陣の探索と破壊で、ティアさんがそんな俺の護衛、銀髪の彼女がスケルトンの誘導っていう形だ。
こうして、作戦は始まった。
「ほらほらっ、こっちよ!」何故かテンションが上がってるように見える銀髪の彼女はスケルトンに攻撃しつつ、、俺の方にスケルトンが行かないようにしてくれている。
それでも、全部がその誘いに乗るわけじゃなく、たまにこっちに向かってくるスケルトンも数は少ないものの、それをティアさんがいつのまにか手に持った盾で思いっきり粉砕していく。
そして、それを俺は脇目を振らず、魔術陣があるであろう雑木林の奥に駆けていくと、目的のものは思いのほか早く見つけられた。
「・・・・・・これか」
「どうしました。見つかりましたか?」
後ろで向かってくるスケルトンの攻撃を盾で弾きなが聞いてきたら
隠す気がないようにあった、それは六角形の棒が地面に突き刺さりそこからねばねばの糸みたいな物に細かい文字が刻まれていてそれが地面に広がって浸食しているような、想像していた魔法陣みたいなものではなかった。
想像していたのは円形の魔法陣だったから、木の枝で乱せば壊せるだろうと思っていた。
「しかし、これは・・・・・・俺に壊せるんだろうか」