異世界にて:最初の依頼とシスター
そんなこんなでこの世界で初心者何でも屋として生きていくことになった訳だが、始める場所を見つけるためのと、リベレアの各都市に何があるかを知るためにまだ明るい事もあって、リベレアの1~8まであるという都市の内第二都市と第一都市を見に行くことになった。
まず、俺たちの住む場所がある。第二都市、ここら辺はティアさんが来たことがあるという事で案内してもらった。
「ここらへんは主に他の国から移住者や転移してきた人達の管理局がありますし さらには小規模の医療施設や様々な学校などもあるんですよ」
見渡してみるとみると、自然と人が住む環境が調和しているが、それよりも――――
「遊ぶ場所はここら辺はなさそうだなぁ・・・・」
「遊びたいんですか」
「せっかくの異世界だからって言うのもあるかも」
正直な話、何でも屋は生きるためのついでみたいな部分もある。両立できるなら出来るようにしておきたい。
「あとは、商店街に食堂、学生寮とかですかね」
「人が住みやすそうなところだ・・・」
街の中を歩いているとティアさんは、色々な人に話しかけられて、「エルティアさん、こっちにきていたのかい?」「こちらに来ていらしたんですね お嬢様!」「お嬢さま。連れているのは彼氏かい?」
と聞かれるたびにちゃんと返していた。
見習うべきコミュ力だが、俺にはできる気はしないし、羨ましいとも思うが俺は必要な分だけの会話が出来たら十分だと思っている。
それを見ていたら、住民と話していた彼女が戻ってきて言った
「私は人が多いところよりもこういう優しさがある穏やかにすごせることができる場所が好きなんです」
なぜか、懐かしむように街の中を歩きながら、彼女はそう呟いた。
その足で第一都市に向かうため、移動する方法を探しているとふと気になったのはこの世界ではどういう移動手段があるのかを聞いてみると。
「モノレールです」
「モ、モノレール?」
「はい」
「異世界でも現実的な移動方法があると便利だな」
そんなこんなで、モノレールに乗り第一都市に向かう事、数十分。
「ここが第一都市か・・・」
外見は完全に近未来の都市で、人も数多く出歩いて、その人垣の中には獣人やエルフも見えた。
「リベレアの中央都市であり、首都でもあるので人通りも多いですし、様々な種族がここに働きに来てるんです」
その中にこちらに向かってくる人が見えた。
「いやぁ~今から行こうって思ってたんですよ。 エルティア・リル・ペルセフォネさんと希堂晃樹さんですよね」
そういって近づいてきたのは黒髪ツインテールに蛇を模した髪留めをして、肩を出したシスターの服を着た橙色の眼をした165cmぐらいの少女だった。
「私はですね、希堂さんあなたの案内をしろってあの人から言われまして、今から行こうと思ってたら見かけたので声をかけさせていただいたんですよ」
(あの人・・・・・・?)
「事務所を開きたいならいい場所がありますよ」
「本当ですか?」
「えぇ、その代わり一つお願い・・・・依頼したい事がありまして」
「依頼?」
「はい、ここから南にある島で、明後日行われる調査に参加していただきたいんです」
「なんの調査ですか」
「島で見つかった遺跡の調査なんですが、調査なのでそれなりに人も参加します。そんなに危ない仕事でもないんでどうです?」
「それって、何でも屋に頼む仕事じゃないんじゃ・・・・」
「軍人でも一般人でも大して差はないですよ。この仕事に関しては。それに何でも屋だったらこのくらいの探査依頼ぐらい受けてもらってもいいじゃん」
軍人とかのほうが護衛に適してる思うんだが、どういう事だろう。
「危なくないって言ってるけどやるんですか?」
ティアさんは不安なまなざしでこちらを見ているけど、事務所の場所を与えてくれるっていうならめんどくさい事はやらなくて済みそうだし、危なくない仕事で済むならこちらとしてもありがたい。
「じゃあ、やらせていただきます」
「ありがとうございます。じゃあ、その腕輪をこの携帯端末にかざしてくださいな」
右腕の腕輪をかざすと、携帯端末が情報を読み取っているようで、凄まじい勢いで画面が流れていき画面に《認証完了・契約受理》と出てきた。
「はい、じゃあ、明後日お願いね~」
急に態度をくずしたシスターさんに戸惑っているとこちらの顔を見ながら「他に聞きたい事は何かありますかね?」
「何かあったときのために名前を聞かせてもらっても?」
「へぇ~・・・・・もしかして、口説いてるんですか?」
「い、いやそういう意味で聞いてるわけじゃですからね?!・・・・・」
「解ってますって、冗談です。」と言ったのち、少し考えてボソボソと小声で呟いた後。
「シェイドです」
「へぇ~変わった名前で――――」
「シェイド・マリスハートっていいます」
その瞬間、俺はこの世界に来て、初めての依頼に対してとてつもなく不安な気持ちを抱くのだった。