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夢の中の出来事


「お前ら、あれと戦っただろ」


そう面倒さそうなまま目の前の男────マクスは話を切り出した、ちなみにこっちの分の自己紹介はしなくても分かると言われキャンセルされた。



「あれ? あれって・・・・・・」


脳裏に浮かぶのは白衣を着た男とあの禍々しい巨人だった。他に思い当たりもなく、気にも留めてなかったからこそ、なぜ急にその話が来たのか分からなかった。

マクスはそんなこっちを見てやれやれといった様子だった。


「本来だったら他の奴がこういう大事なことを伝えるべきなんだけどな・・・・・・」


そこでアーシャの方を見るが、見られた当の本人は気にも留めず、我関せずと言った様子だった。


「キラーサイト」


「それは・・・・たしかあの巨人の総称でしたっけ」


確かにそう言っていた、空谷と言う人は


「そう、センスのない呼び方だろう? まぁ、数ある名称のうちの一つでな。総称らしい」


「本質って言われてもな、結構楽に倒せれたし・・・・・本質って大事なことなのか? ただの負念を使った兵器って言ってたけどな・・・・」


アーシャとマクスは、どこか困ったような笑みを浮かべ半笑いと言った様子で見てきた。


「実際は兵器なんだけどね。だけどアレに関することで大事なのはそこじゃなくて他にあるんだ、けど・・・・まぁ、あのときは余裕はなかったし。他に期待かな」


仄暗い笑みを浮かべ、呟く横でマクスが何かに納得したようだった。


「あぁ、だから動く前に消し飛ばしたのか。納得だ・・・・」


あの巨人・・・・・首がない脈動する黒い装甲らしきものがあった巨人を思い浮かべ、他にもいるのかとその事をマクスに聞くと。

困ったような表情を浮かべたあと、曖昧な口調で。


「ま、何事にもさまざまな形があるって事だ、別に誰も他にいてもおかしくはないだろ?」


「せ、せめて何かしらのヒントを教えてくれれば、対処の仕方あると思うのですが・・・」


「ん~そりゃ無理な話だ」


あっけらかんとした様子で言い放った。


「・・・・それはどうしてなのかしら」


「そりゃ簡単な話だよ、実際に体験してみないと分かんだろう?」


まぁ、とだるそうに区切り。大抵、面倒ごとにつながるんだよなこういうのってと吐き捨てたのだった。

その場にいた全員に聞こえるように。


「そういう事でね、マスターには武器の事をちゃんと理解してほしいんだよね。ボクは」


「そういわれてもなぁ・・・・」


名前もちゃんとしないといけないわよねぇとアリサがボソッと呟いたのが聞こえた。そういえばアーシャが最初に現れた時はみんな好きかって呼んでたなぁ・・・・・と武器の事を少しばかり頭の端において考える。色々な呼び方で・・・・・あれ?。


「あの時は色々と名前を付けてくれるのが嬉しかったから・・・しょうがないよね。ほら、そんなどうでもいいより考えなきゃいけない事あるよね?! マスターの事とかさ!」


テヘッと早口で誤魔化すアーシャもといゴスペルちゃんだった。


「結構いい名前だと思ったんだけどなぁ・・・・」


「うぐっ」


「虹色ちゃんかわいいと思うのに・・・・・」


「う、うぐぐ・・・」


反応をくらうたびにダメージを受けて表情がこわばっていくのと同時に縮こまってもいくアーシャもといゴスペルちゃんだった。


「そんなどうでもいい事は置いておいて」


「「「どうでもいいこと?!」」」


綺麗に声が重なった。仲がいいのは良い事だよね。


「色々の形を持つ相手を倒すには武器を理解することだ、その眼と剣でもってすれば楽だろうよ。さぁ、説明も終わったことだしさっさと帰って────」


「ち、ちょっと待ってくれ」


「うん? なんだよ。もう言う事べきことは言うべきは言い終わったんだが?」


「そんなに喋ってないよ!?」


「めんどくさいのに喋ってやったんだから感謝しろ」


めんどくさいという雰囲気が目からビシビシ伝わってきた。


「そんな事よりもう一人知らないか、一緒に寝てたからこっちに来てるはずなんだけど」


「もう一人?・・・あぁ、そういえばいたな、眼鏡を付けた」


目の前のあからさまにここの主のはずの男は気にも留めていないようなそんな反応だった。


「そういえば、すっかり忘れてたわ・・・・・全然、見かけないんだもの」


「ここに来るまでにも流さんを見かけませんでしたね。どこかで会えると思っていたのに・・・・・虹色アーシャちゃんは知りませんか?」


「心配しなくてもここにいる全員が目を覚ませば自然と目も覚めるよ・・・・あと、その呼び方はやめてほしいな」


「・・・・とりあえず今は夢から覚める事だけに集中しないと」


「・・・・あ、あの」


「希堂君の魔眼で彼女がどこいるか見えませんか? その眼なら分かるはずです」


助けてほしいのかこちらをじっと見てくる、その眼は切実に何かを訴えてくるような気がするがきっと気のせいだろう。


「夢に入ってきてから一回試したんだけど、何も見えなかったんだ・・・・霧がかかった感じというか・・・」


未だに見ようとしても視界全体がおぼろげなだけじゃなく、人や建物の輪郭がおぼろげといった状態で魔眼の状態で見ようとするとまともには見れない。


「でも普通に視る事はできてるんでしょ? そこは便利なのよね・・・・普通の魔眼は日常生活で支障をきたすものが多いのに」


アリサ曰く友達に魔眼を持っている人が身近にいたらしく。その人は特殊なメガネをつけて生活していたとのことだった。


「そりゃボク特製の魔眼だからね、そこら辺のものと一緒にされたら困る」


「その特製の魔眼が夢の中でちゃんと視れないって大したことないんじゃない?」


「そリャマスターが機能を把握してないからですぅ~! ちゃんと性能を理解すれば使えばいいだけなのに」


あっかんべぇ~として煽るアーシャを鼻で嗤うアリサだった。そしてそんないつも通りのやり取りを見て呆れているティアだった


「眼の使い方なんて普通は思いつかないと思いますけど・・・」


「な、なんか別方向から刃が飛んできた?! マ、マスタ~この人達煽ってくるんですけど」


手助けを求めるようにこっちを見てくるのを何とも言えない笑みで流しつつとアリサとティアに深く頷きたくなるのを我慢し、とりあえず流さんの事を何とかして居場所を確認する方法に思考を寄せる。


「・・・・こっちにいないなら、普通に寝てるだけじゃないか」


結論からと言うか考える必要があるような事でもないはずなのに、マクスは口は笑ってるのに目は笑っていない。そんな様子で聞いているようだった。


「ふむ、何故そう思う?」


「いや、ここに来るまでに姿が見えなかったし・・・・・」


「魔力には色があるのは見えてるよな、お前には見えてるはずだ」



その言葉を聞いて周りを見渡すとティアはピンクがかった金色、アリサはエメラルド色のもやもやとした霧が身体の輪郭(りんかく)を覆うように。

そして周りを、上から下まで人の輪郭を探すために見渡すが。


「・・・・いない」


いるはずの彼女の輪郭が見えず、しかしこの眼は何かに反応しているのか矢印が出ていたが矢印が差す方向を見ても何もない空間があるだけだった。

どういうことなのか、考えても答えが出ず唸る事しかできなかった。


「いいな、その表情」


ククク、と口角を上げ笑う。


「そうだなぁ、マスターはその眼をどんな時使う?」


「どんな時・・・・・・・」


依頼で使ったことがあることを思い出す。

呪物を見てその力を押し込めた時。

ペットを探す依頼を受けて探した時。

特別な薬草を探してほしいと依頼を受けた時に変なダンジョンに迷い込んで色々あって薬草を見つけた時・・・・・・その時はやけに絡んでくる変な衣装を着た集団に絡まれたり、ダンジョンの中にいたもロボットみたいなのに追いかけられたりした。


(なんか、変な集団はいろいろ大きな声で叫んでたけど怖くてそれどころじゃなかったんだよなぁ・・・逃げるのに必死で・・・・・あ)


意識を見ることに注ぎ込む。

それに呼応してか何なのか分からないけれど、視界のふちを彩るかのように薄く光がなぞられていった。

古びた海底神殿を見渡す、相変わらず何か変わったものが見えるわけではなく、ただそこに青空のように紺色の景色が広がっている。

そんな空間の中に一つ、この広場の真ん中にある四角のベンチがあるところに黒い穴がポッカリと開いていた。


「穴が・・・・」


その穴の中心にうっすらと人の形が見えた。

徐々にその姿形ははっきりと見えてきてた。

ぼさぼさの髪を彩る紺色、斜めにかかった丸い眼鏡。気だるそうに瞼をこすりながら横になっているのが見えてきた。


穴が開いているところに向かって手を伸ばす、するとその穴に引き込まれるような感覚に襲われた。

そしてたどり着いたところはさっきまでいた神殿をそのままコピーしたような場所だった、それ以上に特徴的だったのは視界に色を感じなかった事だった。

そんなことを知ってか知らずか彼女────淵ヶ原流はそこでうつぶせになって空を見上げていた。そこには満天の星空がただ広がっていた。


「あ、貴公くん」


こちらに気が付いたのかそう、彼女は気だるそうにこちらを見て呟いた。


「ずっとここに?」


「ん。目が覚めたらここにね」


「アイツとは何か話したりしました?」


「アイツ?・・・・・あぁ、あの人・・・・マクスさん。まぁ、うん。色々と・・・・ね」


大したことじゃないんだよ?と


周りを見渡してもあっちと変わらずほぼ何もない、古臭いどこか陰湿で石の遺跡がその無機質さを際立たせてていた。

そんな場所にずっといたはずの彼女からはどこか慣れ切っているようなそんな雰囲気が感じ取れ、しばらく寝っ転がりながら彼女は呟く。


「私としてはこのまま起きなくてもいいと思うんだよ、貴公くん。何か知らないけど落ち着くんだ、こうしてると」


「・・・・寝心地は」


「え」


「寝心地はどんな感じですか」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


なんとかフォローをしようか考えていたんだろうけど、石のタイルを叩きこんこんと固い音を聞くと、こんどは周りを見渡しまるで絶望したかのような声で淡々と。


「起きます」


その瞬間、その言葉がきっかけだったのか視界が瞬く間に泡に飲み込まれていき、身体がふわふわのような温かく心地よい感覚に包まれていく。

そんな視界の端に両手を広げながら近づいてくる流さんと思わしき姿が見えた、その姿が近づいてくるその様子は泡で表情こそ見えなかったけれどすがるようで、気が付いたときはその両手を握っていた。

それとほぼ同時に泡が視界を完全に埋め、気が付いたら布団の中で目が覚めた。窓からは陽が射しており、外からは生活音が聞こえてくる。



「遅かったね、大丈夫?」


横で心配増にこちらを覗き込んでいるティアとアリサがいた。


「私達が起きてからもずっと寝てるんだもん」


「アリサはすぐに心配するんですよね」


前世でそういう娘を心配させるような事ばかりしてきたのかな、と感じつつふと視界に一つの盛り上がった布団が映り、そこからゲームの電子音らしき音が聞こえてきた。どうやらすでに起きてゲームか何かをやっているみたいだった。











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