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夢の中の出来事⑦

気が付くとそこは真っ暗な部屋の中にいた。


「あれ、起きた?」


寝れずに起きてしまったのかな、と周りを見渡すと他には隣でぐっすり寝ているアーシャ以外に姿は見えず三人の姿形も見えないうえに、さっきよりも部屋が狭くなっている気がした。


「・・・・・・どうしようか」


とりあえず隣に寝ているアーシャの頬っぺたを思いっきり引っ張った。










「まだ先が見えないなんて」



晴れ渡った青空の下、歩き続けてどのくらいたっただろうか。むしろ歩かなかった方が楽だったんじゃないかなぁと思わずにはいられなかった。


「・・・・・・なんとかして二人と合流しないと」


気が付いたら目の前に広がるのはどこまでも続く花畑の中で、周りには誰もいなく一人ぼっちで放り出されていた。突き動かしてくる焦燥感から逃げるように歩き始めたのは良いものの結果的には後悔する形になってしまっていたし、それに────。


「・・・・・・・暑い」


夏のような強烈な日差しが降り注いでいる、それが夢の中とは思えない程の暑さと現実味を感じさせてそれがなおさらの事、不安と焦燥感を煽ってきていた。


「・・・・・・・・何とかして二人を探さないと」


急かしてくるような暑さと戦いながら水平線のどこまでも広がる花畑の中、足を進めるしかなかった。






「はぁ・・・・・・・」


椅子に座りながら溜息を吐いた。そこはビルの高層階のようで窓の外には広大な都市が広がっていてどうやら今アリサがいるのは一番高い高層ビルの一室、会議室だった。


「・・・・・それにしても」


足で地を蹴って椅子を回転させてのを足でストッパーにしてとめるがその回転する勢いを止めきれずに体制が引っ張られたが、気にも留めずそのまま立ち上がり窓の風景を見渡す。その風景はもう見慣れたものにとても似通っていた。

 故郷の都市、見慣れた古く格式のある様相だった建物たちそのものだったけれど真下に広がる都市とどこまでも広がる青く澄んだ空、そんな当たり前であるはずの風景に何か引っかかるものを感じて思考を巡らせようとしてやめた。


「・・・・・・・待つしかないか」


夢の中で何かしても無駄だというのは経験上よく理解しているからという事もあったけれど、それ以上にあの人たちの事が心配だったけれどどうしようもないことも分かっていた。


「何とかなってくれるものでもないし」


とりあえずやることもないので他の階を見て回ることにした。どうせ意味はないだろうし、見れない可能性もあるが何かしらの発見はあるだろうから。


「・・・・ちょっとワクワクするなぁ」


今回の夢はどこまで広がっているのか、そんなことを考えるとテンションが上がり速足で人のいない真っ白なフロアの中を進んでいった。








「・・・・・・・・」


この部屋から出る方法を考えていると、その様子を膝をついて眠たそうな眼でこっちをじっと見つめてくる彼女を視線を合わせないようにしながら見るが、言葉の一つも発さないままジーっと見てくるだけだった。でも、その視線からは何かを感じさせたがはぁっと息を吐きさっきまでの空気を断ち切るかのようにゆっくりと立ち上がり。部屋の扉の取っ手に手をかけたのを見て。


「普通に開けても変わんないと思うんだけど・・・・・・」


実際にそれはもうやって出た場所は廊下だったよと、声をかけようとした次の瞬間。








「えいっ」と取っ手ごと思いっきり扉をぶっ壊し。その先にあったのはさっきまでいたはずの部屋の地続きのようなどこか生活感を感じさせるような廊下ではなく、青空のもとにどこまでも広がる広大な花畑だった。


「なんで夢って唐突なんだろ」


意識したわけでもないのにそんな言葉が口から洩れていた。


「さぁ?」


考えるそぶりを見せながらも首を横に振った。


「さぁ・・・・・・って」


「神様だからって期待しすぎだよマスター」


「・・・・・・・・・ところでなんでマスターなんだ、後継者って扱いなのに」


「え、気分」


今更聞くのどうかと躊躇していた疑問を投げかけるとアーシャは振り返る様子など見せずにそう言い放った。

飽きられるかなと、内心思っていた俺はそんなすかされた答えに引っかかるものを感じつつも不思議な事に何故か納得できてしまう自分がいたが、横を見るとさっきまでいたアーシャがいない。

周りを探してみると。こっちの事など気にも留めずにずんずんと花畑に消えていく銀髪が見えた。


「早く来ないとおいてくよ~」


急いでその後を追うように花畑に歩を進めるといきなり日差しと熱気が体を襲ってきた。さっきまでのすごしやすい屋内と違う夏特有の蒸しかえるような暑さだった。そんな暑さの中でも幸いなことに格好は夏

にすごしやすい服装にいつの間にかなっていたけれど、その理由を考えることはなかった。

 背の高い向日葵畑のせいで先が見えず、どれくらい歩いたかもどこまで進んだかもわからず暑さもあり徐々に歩みを進める気が起きなくなっていった。


「大丈夫かな~?」


そんな様子が伝わったのか心配するような彼女の呑気な声がどこからか飛んできたが、花畑に囲まれて陽気な声がどこから聞こえてきたかわからずに返す気力が起きなかったのでへたり込むしかなかった。


「・・・・・・・・・・いつまで歩けば二人に出会えるんだろ」


夢の中だとわかっていてもいつまでも肌を焼き続ける日差しに掌で遮る。


「むしろあっちから来てもらえればいいんじゃ?・・・・・・そうだ、そうしよう」


我ながら無理難題だと思うし、出来る自信もないがこの暑さから一刻も早く逃げ出したかったのもあり異様にやる気が起きた。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


暑い日差しに刺されながらなんとか意識を集中させる。


頬を伝う汗、地面の放熱、熱を覆う風。


時間がたつにつれ、意識せざるをいけない程に不愉快さを強調してきたがさっさと他の三人を見つけてっ原因を解決した買いという気持ちの前ではそんな不愉快さは無意味だった。ずっとここに立ち止まってた方がいいのか悩んでいると。


────────ほらほら、歩かないと進まないよ。


(こいつ、頭の中に直接?!)


────────フフッ、こういうこともできるんだよ・・・・・・・・・何してんの眼つぶって。


返答には答えず黙ったまま色々と頭の中で思考し、眼を開き周りを見渡してみるがそこにはさっきと変わらず背の高い向日葵畑が囲い込むように広がっていた。


「・・・・・・無理ですよねぇ」


半ば自嘲するように息を吐きだすとその代わりに暑さをまとった空気が肺に入り込んできた。


「もしかして楽しようとしてた?」


頭に響く声ではなく、いつのまにか近くに来ていたアーシャが銀色の髪に汗を滴らせ、透き通る白い肌に汗が流れ落ちている。

 彼女のその服装はさっきまでの屋内の服装ではなく、夏によく似合う白いワンピースになっていた。


「・・・・・・・・・・行けると思ったんだけどな」


夢の中とは言え、願って合流できれば苦労はしないなぁ。と半笑いで歩を進めようとしたその時、何かがバサバサと音を立ててこっちに向かってくるのと同時に戸惑った様子の「キャアアァァァァァ!??!」

といった聞きなれた声の悲鳴が聞こえてきた。


「ティアさん・・・・・!?」


悲鳴が聞こえてきた方向に向日葵畑をかき分けていく、何かあったのか徐々にその声が近づくと同時にバサバサの音が強くなってき多方向に向かおうと歩を進めた。





────────次の瞬間。黒いものが視界に現れそれに思いっきり体が地面に叩きつけられた。




「ゴフゥ・・・・・・」と何とも情けないリアクションをした声が口から洩れ、そこに皮の感触がふたをするように覆いかぶさってきてそのまま俺の視界はブラックアウトしていく中、視界に映る真っ黒な物体が心配する声を発し徐々に、目のまえにいるのが誰がいるのかどうしてこんなことになったのかが何となくわかったのでひそかな罪悪感と安心感を感じ、そのまま意識を失った。

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