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夢の中の出来事⑤

アリサ曰くあの儀式は『夢』を確定させるために必要な準備という事でそこにアーシャ・・・・・元神の強制力が掛かればちゃんと見れるはずとのこと、だったんだけれど。


「なんで?」


まぶしい朝陽が窓から射し、目が覚めて早々にそんな疑問に満ちた声が聞こえてきた。


「やっぱり夢を見る事って固定できないものなのかしら・・・・・それともやっぱり眉唾物だったって事?」


周りを囲む鏡を見渡しながら俯きながらブツブツと呟いているようだった。そして軽くため息を吐き。


「・・・・・・ごめん、こんなことになっちゃって」


「いや、まだ気は早いと思う。もう一日待ってみないかな、そしたら何かしらの発見はあるかもしれない」


「だっておとうさん・・・・・こういう儀式とかは準備が終わってすぐに何かしらのリアクションがあるものなんだよ」


鏡に頭をこすりつけあからさまにやる気をなくした様子だった、鏡から反射して何とか見えたその表情が虚ろげに見えたのはきっと気のせいではない。そして、そんなやり取りを耳にしていたせいか流さんがとても困惑した様子で『え、おとうさん? おとうさんってどういう事・・・?』と思ったのか交互に見ていたのが視界の端に映ってちょっとおもしろかった。


(ま、そういう反応になるよな・・・・・・・)


「しかし、どうすれば夢を見れるんだ・・・・・・この前見れたのは偶然なのか?」


「そりゃ夢だからね」


そんな眠たそうな声が隣から聞こえ横を見るともぞもぞとアーシャが顔だけを布団から出してきた。


「儀式自体は良い線いってるけどね・・・・・それでも簡単には届かないものが『夢』なんだよねぇ」


「じゃあ、何か足りないものでもあるって事?」


「足りない、か・・・・まぁそうかも」


歯切れが悪く、何ともはっきりしない言い方だった。それも何か大事なことを知ってるのに誤魔かしてるような。


「そんな表情しないでよ、マスター ぼくとしてもちゃんと教えてあげたいところではあるんだけどね。ほらこういうのって教えちゃったらつまんな・・・・・・・考えるもんじゃん?」


「隠しきれてない隠しきれてないよ!」


むしろそこまで言ったのならなぜ隠そうと思ったのかは分からないが、そうしたのかは分かり易く態度に出ていた。


「・・・・・・・そこまで言ったのに誤魔化そうとするってある意味すごいですね」


「・・・・・・はぁ」


そんな分かり易い態度からかティアは若干茫然としていてアリサは肩をすくめながらだいぶ辛らつに返し、そんな風に返されて嬉しそうな反応をするのを見ながら過ごすそんな朝の一幕で、一日の始まりだった。









寝る場所でそんなことをしていてもしょうがないのでとりあえず食事をしながら続きをしようという事になったので居間で食事をしながらこれから『夢』についてと依頼にたいしての補足と対策の会議が始まった。


「結局は大本を知るしかないんだよ」


小柄な体に似合わず机に並べられた食べ物をおいしそうに貪った後満足したのか笑顔で答えた。


「それはそうだろうけど一体探すのよ、化学や魔法でも簡単にたどり着けるものじゃないみたいなことあんたが言ってたでしょ」


「そりゃ人間の精神の問題だからに決まってるじゃんか、ほら良く言うじゃん寝てる時に見る夢ってそういうモノに左右されやすいものなんだけどね、()()()


本来は、と何かあの夢はそういう自然に見るような夢ではないとでも言いたそうなその言葉が、あの夢の極寒とそこの見えぬ暗闇を想起させた、そしてそのときにあいつ・・・・アーシャがしていたことも。


「・・・・・・・・・誰かが意図して見せてるって事か」


「そういうこと、分かり易いでしょ?」


「いやでも、何であんなことを・・・」


「なるほど、そういう事なら正体はアイツね」


「あいつとは一体・・・・・?」


怪訝そうに首をかしげるティアの問いに答えるように続いて口を開いた。


「夢に介入するなんて事、こいつの同類ぐらいしかできないわよ」


あんなものを意図して見せられることが出来るのは神様以外居ないのは間違いないけど・・・・・。そこまで少ない偏った知識でいろいろと考えているとどうしても想像したくない流れが見えてしまった。


「・・・・・・・もしかしてアーシャってとんでもない神様なんじゃないだろうか」


「元だけどね」


布団からこちらを見つめるその表情は一見穏やかに見えるその表情はどこか無機質さを帯びていた。きっとその無機質さは呆れが混じっているに違いない。


「・・・・・・・・・・まぁ、マスターがそれでいいなら良いけどね」


「・・・・・・・・ほんとに神様?」


「そうだよ? 崇めてくれてもいいんだよ?」


「あのね、そんなことより話を・・・・・」


そんなグダグダな感じの流れで、話をずらそうとするアーシャに突っかかっていくのを見ていると。


「だからさ、言ってやったんだよ。そんなことは無駄だって」


「な、何を勝手に前世の話をしてんの?!」


「・・・・・うわぁ、前世凄い」


そんな感じで前世の事でかなり盛り上がっているようだった。いや、なんかすごい大事なことを勝手に話しているような、めちゃくちゃ気になるの事なので聞きに行ったらマスターには内緒だと言われてしまったので諦めきれずに二人に聞いても流さんには約束だからと断られ、アリサにはすごい渋い顔をしながら黙ったあと首を静かに横に振られた。


「これは回数を重ねていくしか・・・・」


────あ。なるほどその手があったか。


「どうしました?」


「ある、一つだけ夢を確実に見る方法が」


「そ、それは一体どんな」


「ティアさん、あの三人をちょっと止めてきてもらってもいいかな」


未だにワイワイやっている三人にも言わなきゃいけないのでお願いをすると、「わかりました」と何も聞かずに背後に近づくと何かすごい圧を発しは始めると、それにゆっくりと三人が振り返るとその表情は徐々に怯えていくのが分かった。


「三人とも話があるということなので少しいいですか・・・・・・?」


きっと笑顔なんだろうなと、その言葉を聞いた瞬間分かった。なぜなら『ちゃんとしてください』とそれを何も言わずに笑顔で見つめてくるのがあの二人が暴走したときにすることだった。


「「「は、はい」」」


そうして三人は黙った三人を連れてティアはゆっくりとこっちに戻ってきた。流さんがボソッとおかあさんみたいだ、といったのは聞かなかったことにしよう。案の定やめてくださいと釘を刺されているし。


「どうしました?」


見ているのが気になったのかティアの宝石のごとく綺麗な赤い瞳がこちらを見つめてきた。


「い、いやなんでも?」


実は俺も少し母親っぽいとそう思ってしまったのは内緒だ。


「それで話って?」


「夢を見るやり方がわかった」


簡潔にそれだけを切り出した、そうすると真っ先にこういう事もよく知ってるであろうアーシャが興味深そうに身を乗り出し、その様子はどこかソワソワしているようだった。


「なになに、どうするのかな?かな?」


そんな様子に少し戸惑いを感じながらも考えを口に出す。


「もしかしたら回数が重要なんじゃないかなって」


「回数?」


その答えに疑問を感じたのかただでさえ近い顔がより近くなった。その表情は整った顔立ちが際立つほど何とも無機質で、こちらを見つめる感情を感じない瞳がそれがより無機質さを際立たせ不気味ささえ感じるほどだ。


「そ、そう。一回寝て夢を見れなかったなら夢を見るまで何度も寝ればいいんじゃないかなって」


その不気味さにビビりつつ、そこまで言うとさっきまでの無機質さが一変し何かを考えるように腕を組み。


「一回で見れなかったなら見れるまで・・・・・・・・・不規則で不安定なモノに関して、そういうやり方を、人らしい」


小声で半分くらい聞こえなかったが、なんか納得してくれたらしい。


「なら、ちゃんと寝れるように色々と持ってこないと」


「・・・・・・・・・他に方法もない、か。覚悟を決めるしかないわね」


それぞれが布団にもぐっていったり、着替えて出かけていったりなど寝る準備をしていくので何か手伝おうかと聞くと大したことしないから大丈夫と言われたので暇をつぶしていると流さんの顔色が悪い事に気が付いた。


「何かありました?」


「な、何で?」


顔色が悪いのもそうだけど、その表情もどこか怯えているようだった。


「もしかして悪夢とか見たり」


「う、ううん。そ、そういうのじゃないから気にしないで」


そういって背を背けられてしまった、そんな態度を見ていると不思議と色々な考えが頭をよぎる中、ふと隣の気持ちよさそうに寝ている元神様が視界に入った。


「・・・・・・ちょっといいか」


気持ちよく寝ているのを邪魔することに抵抗感を覚えつつも、起こそうとその体を揺さぶった。


「どうかしたかい?」


思わず、ビクッとしてしまった。目を閉じ穏やかそうにてっきり寝ていると思ったからなおさらだった。


「ビックリしたかな」


「起きてるんだったらそう言ってくれれば・・・・」


「で、何の用だったの」


「あぁ、それは」


「彼女の様子が気になるんだろう? 分かってるよ、そこらへんは聞いてたからね」


「・・・・」


それを聞いて突っ込みたくなったけどいるときは大体こんな感じなのだった。


「ホント何がしたいんだろうね」


突然、放たれたその言葉に首をかしげるしかできず戸惑っていると、こっちを見てやっぱり似た者同士って事かぁ、なんて独り言をこぼし。何を納得したのかうんうんと相槌を打っていた。


「・・・・・・意味不明すぎる」


「気にしてもどうにもなんないけどね」


そう言われても脂汗を()き、怯えていた彼女のあの様子を見たらそう言われても納得はできなかった。


「何とかできるん思うんだ。元とはいえ神様で、あの変な場所にも行けたんだし・・・・・」


「それは否定しない・・・・・けど、どうせあっちからくるのにわざわざ面倒なことしたくないんだけど? それにどうせ夢なんてすぐ忘れるから気にすることほどの事じゃないし」


「本当に悪夢を見ただけでああなるのか」


「マスターが前見た夢と本質的には変わってはいないようだけどね。ぼくが感じたあたりだと」


「そういう事も感じ取れるんだ、すごいな」


「えへへ、そうでしょ? でも大概ろくでもないものだってわかるよね、マスターも体感したし」


「どうにかできないかな」


「無理」


瞬殺だった、考えるそぶりも見せずに真顔で答えを返してきた。


「・・・・・・ですよね~」


そういうスタンスなのは元からわかっていたし、期待もしてなかったけどいざ実際にそうなってみると頭を抱えたくなりたくなった。


「このくらい何とかできないと神様心配になっちゃうな☆」


「スパルタだぁ・・・・」


「そもそもなんでぼくに頼もうと思ったのさ、他の二人も手伝ってるのに」


アーシャが眉をかしげその宝石のような虚ろな目で俺を覗き込んできた。


「・・・・・・・・」


そんな覗き込む視線から逃げるように眼を逸らす、逸らした方が精神的に楽だったのは言うまでもなくそれが通じたのか。ふぅん、と息をつき覗き込むのをやめて下がっていった。


「面倒なのか恥ずかしいのか・・・・・はたまた別の理由があるのか。ま、どっちにしてもマスターたちがやらなきゃいけない事なのに変わりはないけど・・・・・」


そりゃ、巻き込んでしまったことに罪悪感で支配されてるからに決まってる・・・・・なんて意地でも口からだせないからだった。


「君たちってホント・・・・・」


「な、なんだよ・・・・」


「愛おしいなぁって」


いきなり白く細い腕を俺の腰に回し、抱き着き頬ずりしてきた。抱き着いてくるその力は細い腕だと思えないほど力が強く、振りほどこうとしても振りほどけない程だった。愛おしい、なんて言葉を言われる急に言われたものだから動揺しているとこの状況にハッと我に返らせた。


「・・・・・・ご、誤解される!」


「まぁまぁ、いいじゃんぼくとマスターの関係だしぃ」


それはもうとてもいい笑顔だった。バレてないか恐る恐る、流さんの方を見るとさっきと変わらずこっちとは反対の方向に身体を向けていたのでちょっとホッとしたが聞こえていてもおかしくない距離なので聞こえてないことを祈るしかできなかった。


「それでなんで抱き着いてき────」


なんで抱き着いてきたのか聞こうとしたら、不思議なことにアーシャから寝息が聞こえてきた。


「・・・・・・・寝てる」


力尽きたのかさっきまでの威勢の良さはなくなり、すっかり穏やかな寝顔を浮かべていた。さすがにこのまま寝ているのはアーシャも疲れるだろうと抱き着いている両手を離させようとするとビクともしなかった。


「・・・・・・・・・・・・俺も寝よ」


二人が帰ってきたときにどう説明しようかを考え俺も瞼を閉じ、二人が帰ってくるの黙って待つことにした。まぁ、あの二人だったら納得してくれる、大丈夫なだと思いたい。




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