事務所にて
その日、俺は魔術など知識を彼女たちから学ぶために訓練場に来ていた。
「魔術や魔法には四つの属性があるってことは知っておいてほしいんだけど・・・・そこらへんは絶命しなくても大丈夫でしょ?」
「火、水あたりか・・・・」
「あと風、雷ですね」
「そう。あとは魔術と魔法の違いなんだけど・・・・・まぁ、これは規模の違いとでも覚えておけば十分」
「使い方は?」
「希堂くんには必要ない。以上」
「え」
覚えてやってみたかったのに、必要ないと言われたことを最初は理解が出来なかったが、そんなことは関係ないと言わんばかりに話は進んでいく。
「そんなことより、このまえの魔術陣の時と遺跡でのキラーサイトを一撃で吹っ飛ばした時も手加減してる様子はなかったし力を制御する方法を覚えましょ」
「そんなことできるものなんでしょうか?」
「出来ないと毎回疲れるわ、動けなくなるからいざという時大変よ。おと・・・・希堂くんの場合は出力が段違いなんだからなおさらね」
「・・・・やけに寝たくなるのってそういうことだったのか」
「希堂くんはこっちに来るまで魔法とか使ったことないでしょ、だから」
「なるほど・・・」
「ティアさんはどうなの、あまり使ってる感じはしないんだけど・・・」
そう聞かれたティアさんは少し黙った後、恥ずかしそうに。
「私は魔術とか苦手だからあまり使わないようにしてるんです」
「俺を助けてくれた時に使ったあれは?」
「・・・・あれは私が数少ない使える魔術なんです。私には何故か魔術を使えなくて・・・・・でも体術なら教えてあげられるかもしれません」
「ティアさんは体術を教えてあげて、私は魔術とかいろいろ役に立ちそうなものを教えるから」
そうやって俺は色々とこの日だけでも二人に教わった。魔術と魔法、身体の使い方を。
✱
そうして訓練場から帰る途中、疲労感に襲われながら帰路についていると前に言っていた星震祭のこと思い出し聞くと。
「参加したいの?」
そんなそっけない返事が返ってきたので俺はちょっと戸惑ってしまった、てっきり強制参加だと俺は思っていたからなおさらだ。
「いや、気になっただけ」
「星震祭は技量とか武を知らしめたい奴が出る大会だからね。私は興味ないけど」
「色々な競技とか出店とかも出てましたね。前に両親と来たときは見て回りました」
昼時を少し過ぎた時間帯に家に帰りながら懐かしい思い出を語りながら、大会の他にも色々あることをティアが補足してくれた。
「大会とはいってもそれはあくまで、何日かに分けて行うモノでして実際はお祭りみたいなものなんです。その週丸ごと星辰祭でつぶしてしまいますから」
「そうなんだ・・・・結構すごい祭りなんだな」
「私も知らなかった・・・・」
「なんでティアは知らなかったんだ?」
「苦手なのよ人が集まるところに行くの、だからよく自分の部屋で魔術の研究をしてたりしてたのよ」
柔らかな春の匂いを風が運んでくるのを鼻に感じるほどの穏やかな天気だった。
✱
せっかく時間が余ってたので事務所の部屋を見に行こうという事になった。のだが・・・・。
「ここであってるの?」
「・・・あってるはずです」
「いや、でもこれは・・・」
周りの建物がしっかりとした現代風の街の中に古さを感じる建物が目の前に立っていた、周りの建物と比べても場違い感を感じるほどではなかったのでとりあえず中に入り、階段を上っていきドアを開けると建物の見た目ほど古さと縁遠いほどきれいにだったが、中に入った瞬間に何か違和感に襲われた。
「ん!?」
「どうかしました?」
「いや、なんか・・・」
部屋の中を見渡すが、あるのはパソコンや書斎、棚に置物といったどこにもありそうなものだけだ。
「どうかした?」
「なんか違和感を感じるんだ」
「違和感って別に何か変わったものはないけど」
違和感を感じる場所を探しに部屋中を歩き回ってると部屋の奥の机に近づいた瞬間に視界にノイズが走った、机の周りにある置物を動かして確認してみるが何も変わったものがある感じはなく、机の下を確認してみると────。
「お札か・・・?」
その札を見た瞬間にノイズが激しくなったので机からはがし破くと視界のノイズが収まった。
「なんだったんだこれ」
破いた札を見て首をかしげていると。
「・・・・ちょ、ちょっとなんですかこれ」
そんな戸惑いの声が聞こえてきたので首を上げてみるとそこには────。
さっきまで掃除仕立てみたいに綺麗だった部屋が嘘みたいに汚くなっていた。
「これは一体・・・」
「ねぇ、それって」
「ん?あぁ、これは机のしたにはってあったんだけど・・・」
「その札、ちょっと貸して?」
そう言われたので札を渡すとじっと破かれたお札をじっと見ながら。
「よく見つけましたね」
感心したようにティアさんが聞いてきた。
「部屋に入ってきたときに違和感を感じたんだ、それで違和感のある場所を探してたら」
「────これが貼ってあったってことね」
埃だらけの部屋でどうしようか立っていると一人、掃除の準備をしていたのでアリサと目を合わせて。
「仕方ないか」
「・・・・やりましょうか」
部屋を片付け始めきれいにするまで日が暮れるまでに時間がかかり結局、家に帰ることはできなかった。




