異世界にて
正直な話、異世界に来てからいきなり行く場所が病院になるなんて想像してはいなかった。
エルティアさんにリベレアの入り口のあたりで「一応、魔術で確認しましたけどちゃんと念のため病院で確認したほうがいいともいます、魔術も完璧ではありませんし、病院の場所もすぐそこなので」といわれた。
異界民管理局はっていうの行かなくても良いのかと聞いたら、「病院のなかで終わるまで待ってます」って言われたこの世界の病院は証明書がなくても診てもらえるらしいし入院もできるらしい。
病院の場所は分かりやすく大きなホログラムで赤十字がデカデカと表示されていて分かり易かったし、病院に入り、診療室に言ったらダークエルフのお医者さんにこう言われたのだ。
「一応調べたが、身体に何の異常もない。こんな浅い傷なんかでウチに来ないでもらおうか さぁ、いったいった」
「そんな言い方を患者さんにしないでください。今度、そんな事、言ったらころしますよ?」
なんて、やり取りを前に診療室から出たらティアさんが「どうでした?」と心配そうに小走りで来たので「浅い傷だって」と返すと安心した様子を見せた。
そのまま病院を出ると、ティアさんから「もう、大丈夫そうですね、用事を思い出したので、私はここらへんで」
「え、管理局の場所は?」
「それに関しては、場所はこの近くですし、そんなに心配しなくても大丈夫です」
そう答えると「では」と言って行ってしまった。
「何か、大変な事情でも抱えるのかな。それよりも・・・・・・・えぇっと」
周りに地図がないかを確認すると、見やすい位置に電子地図もあり、時計を見ると十分もかからずたどり着けた。
「ほんとに近かったな・・・・」
異世界に来ても変わらない自分の情けなさに呆れながら局に入ると、思った以上に広くない場所で他に人がいない様子だった。
ホントにここでいいのかと不安に駆られつつも管理部に行くと、受付の人が「異世界から来られた人ですか?」と聞いてきた。
「はい、ここに来れば、登録してもらえると聞いたんですけど・・・」
「そうですね・・・えぇ、とこちらの機器に生年月日と名前を記入してください」
これは本当に異世界での会話なのだろうか・・・・もっと、こう魔法とか、王都の騎士とかそういう話が欲しかったなぁ。
「どうかしました?」
「あ、いえ、なんでも」
まぁ、期待しても今は無駄だろうからパパっと書いてしまった。
「はい・・・入力が終わりましたので、こちらの機器に腕を入れてください」
と手を差された先にある円筒状の機器があったのでこちらもさっさと入れてしまった。
そうすると、入れた瞬間、円筒状の機器が反応して腕輪みたいなものが装着された。
「はい、これで登録は完了です、住所はそちらの腕輪を操作していただければ表示されます。では、良い異世界ライフを」
住む場所も決まり、本当にこの世界で生きてくんだと思いながら外に出る。
「これから・・・・・どうなっていくんだろうなぁ」
コードを操作すると、住む場所が表示されたホログラムを見ながらこれからの異世界で住むことになる家に歩いてく。ワクワクとそれよりも多いドキドキを心に抱えながら。
目はカラフルのほうがいい