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自宅にて

俺たちは建物を出た後、歩いて駅まで向かおうとしたところで走ってきたリムジンが横に停まった。


「私のお休みのためにさっさと乗ってくださいお客様トップスピードでお送りいたします大丈夫です安心安全ですのでと言うかなんで私の仕事は・・・・・・」


リムジンの車の窓が空いた瞬間にメイドさんがまるで呪詛を呟くように文句を言い出した、その勢いに押されつつも車に乗りこみアパートの前まで送ってもらった。


「働きたくないお人なんでしょうか・・・・」


自宅の前で下ろされ、すごい勢いで走り去っていくリムジンを見ながらそんなことを呟くティアさんの声が耳に聞こえた。

その後俺たちは分かれてそれぞれの家に帰ったあとベッドに寝っ転がってボーっとしていると。


「この部屋なんもないね?」


そう呟く声が聞こえたので上半身を上げて声がした方を見てみるとそこにはいつの間にかいたアーシャがつまらなさそうに両足をおっぴろげながら座って、部屋を見渡してからアーシャはこっちを見て口角をあげ、煽るように聞いてくるというかこの言い方は間違いなく煽っている。


「この世界に来てからどのくらいしかたってないと思ってるんだ・・・・・」


「・・・・・なんか貰わなかったの探査のご褒美とか」


「別にそういう事のために行ったわけじゃないからなぁ」


「・・・・・・・・・・・まぁ。それでいいなら良いけど」


そんな呆れた反応を返され、困惑しているとチャイムが鳴ったので玄関に行こうとベットから立ち上り、玄関に向かってい歩こうとした瞬間に凄まじい眩暈と頭痛に襲われ、視界がおぼろげになっていく。


「ッ・・・・・・!?!」


「このタイミングかまぁ、彼女の方はボクが対応しておくからマスターは休んでおくといい」


めまいや頭痛の痛みの中でも声ははっきりと聞こえたそんなことを意識する暇もなく何とかベットに戻った。


意識が遠くなっていく中、ふとこんな言葉が聞こえた。


「これからどうなってくのか楽しみだ」


そうして、俺は痛みから逃げるように意識を手放した。





家に帰ってきてからしばらくはこれからの事を考えた後、彼の様子を見に行ったりしたけれど調子が悪いらしく代わりにアーシャが代わりに出てきてちょっと話をした後自室に帰ってきていた。


「・・・・・・そういえば」


「どうしたのティア」


私達は帰ってきた後、部屋の中で寝っ転がって目をつぶって寝る準備をしている友人兼前世の娘にふと気になったことを思い出し声が出た。


「アリサは今のままでいいんですか」


「・・・・・・・・なんで?」


前世の記憶を思い出した友人は前世の記憶と今の生活の折り合いに苦労していると言っていた、なら目の前の友人はどうやって折り合いをつけていくのか不安になってそんな言葉が口から出てきたのを自分でも軽く驚きながら私は言葉をつづけた。


「あ、あの・・・・」


「急にどうしたの」


「言っちゃって大丈夫だったんですか?」


「・・・・・・・・・・・」


さっきまで楽しそうに足をバタバタしていたアリサの動きが徐々に遅くなっていき、そしてぎこちない動きでこちらに振り返った、その表情は不安が滲み出ていた。


「じゃあ、何で言っちゃったんですか」


びくっと震えた後何故か俯いて黙ってしまった。


「・・・・・・・・・・・・・・・き、聞いてたの?」


「・・・・・は、はい」


恐る恐るといった調子の返事が来たのでそう返すしかなかった。


気まずい雰囲気が流れてから少しあと。


「勢いで言っちゃったの」


「どうしてそんな勢いで・・・・・・」


「もう終わった話だし、気持ちの整理をつけとかないとってそれだけだから・・・・おやすみ」


そういうと背を向けてしまい、その表情は窺えなかったけれど、その言葉には想像はできても理解はできないんだろうと私は思う。


彼や私が前世の記憶がないのは何か理由があるのかと疑問に思いつつも答えを見つけるすべもなかった。


「寝ちゃおうかな・・・・・」


結局、疑問は眠りにつくまで頭の片隅に残っていた。

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