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リベレアにて

こうして俺たちは島に残る探索隊の人々より先に島を後にし何事もなく飛行艇で帰路についた。


「リベレアに着いたら、ちょっとついてきてもらえる?」


そんな事を膝立てに膝をつきながらシェイドさんが言ってきた。


「・・・・・どうして今?」


正直な話もうさっさと帰って家の中でゆっくりしたいし、何か身体の調子もよくない。行きたくないという感情を表情を顔に出したつもりだったが意に介せずニコニコしながら続けてこう続けた。


「合わせたい奴がいるんだよ、そんなに時間は掛からないからねっ、いいでしょ?」


「・・・・・・どうせ、貴女は嫌だって言ったって勝手に連れてくんでしょ、希堂くんはあんなものを使ったから明日からの事について休ませてあげたいんだけど」


「だからそんなに掛からないから大丈夫だって心配しすぎだよ、お母さんかよ」


「だ、誰が・・・・・・!!」


顔を真っ赤にしながら否定しているがその表情は否定しているのを見ながらシスターは嗤っていたがそれに対してアリサは思いっきり殴ろうとするがそれに対して片腕でそれを受け止め、そのまま両腕で組み合っていた。


「楽しそうですね」


彼女たちのやり取りを見ながらちょっとずれた感想をティアさんは口にした。


「そ、そうかなぁ」


あちらは未だに膠着状態のまま未だににらみ合っていたがそのまま席に座った。


「やはり友情というは良いですよね・・・・・・・・・ところで晃樹君、虹色ちゃんの姿を見てませんか?」


「いや、見てないけど・・・そういえばアーシャはどこにいるんだ・・・・」


飛行艇に乗る時にはその姿を見かけなかった、まさか島に置いてきたのかもと思ったが元神様にそんなことが起こるわけがない。


ならば────。


「これしかないけど・・・・・・話しかけてみるか」


手元にある錆色の剣を見る。あの時はこの剣から話しかけられたからきっと話しかければなにかしらの反応があるはず。


「って言っても何を話しかければいいんだ・・・・・・・」


「そういえば晃樹君、どうして虹色ちゃんの事をアーシャっていう名前で呼んでいるんですか?」


悩んでいるのを見たからなのか、違う呼び方をしているから疑問に思ったからなのかそんなことを聞いてきた。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・元神様らしくて」


言うか言わないか悩んだ末にそんな言葉が出ていた、隠してもいいかなと思ったが隠しておくとめんどくさそうだったのでそう言ってしまった。


「それは・・・・」


「やっぱり、あり得ないですよね・・・・・?」


「選ばれた人だったんだ・・・・・羨ましいなぁ」


「え、それはどういう・・・・・・?」


「あぁ・・・・・そ、それはね。この世界じゃそういう人たちは後継者って言われるからよ・・・・ふぅ」


アリサが肩で息をしながらシェイドに頭突きをしながらもそんなことを疲れた様子ながらもそう教えてくれたが、ふとアーシャもそんなことを言っていたのを眠気が残っていた頭が思い出した。


「アーシャもそんなことを言っていたような・・・・・・」


「希堂くんのそっちの方はそんなに重要なことでもないし気楽でも大丈夫、問題は・・・・・・・」


「問題は?」


アリサは席に突っ伏しっているツインテールのシスターを振り返って見て息を吐いた。


「まぁ・・・その説明はあっちについてからするでしょうし、あとは・・・・希堂くん、ちょっと腕輪見せてもらえる?」


「?・・・・・まぁ、いいけど」


腕に着けてある腕輪を見せると。


「あぁ、やっぱり・・・・」


「・・・・・なんだこれ」


そういうので見せられた腕輪の画面を見ると何かの巨大なキャンパスらしきものが映っていた、前見たときは何も映っていなかったはずだ。


「・・・・・・何で何も映ってないんでしょうね」


確かに何も描かれてないのは不自然だし違和感を感じたが、それと同時に不思議と腑に落ちる感覚に襲われた。


「着いたら全部教えるから」


「今度こそ・・・?」


「うん、今度こそ本当に」


そう言って彼女は二つ並んだ席の向かいの席に座った。そんな様子をいつの間にか斜め前の席に座っていたシスターが見ているのを俺は確かに見た。


そんな感じで飛行艇に乗っていると。


《本機はそろそろリベレアに到着いたします》


そんな簡潔なアナウンスが流れ、俺たちは降りる準備をし始めた。


『そろそろ到着すんの?』


そんな声が急に錆びた剣から聞こえてきた、さっきまで寝ていたかのような何ともボケボケとした間の抜けた声だった。


『もう着くんだったら最後くらい飛行機に揺られてみるかな」


魔法陣が現れてそこからスッーと腕組をしながらアーシャが現れた。


「・・・・おぉう・・・・・・ゆ、揺れが!!・・・・・・・・揺れがない」


そう、この飛行艇は揺れがほとんどない。俺の知っている飛行機とは違いスッーといつの間にか飛んでいる感じなのだが、何か元神様は残念そうな表情をしていた。


「そりゃ、今飛んでるからなぁ・・・・」


「はぁ・・・・・・・・・」


ため息をつく彼女を横目に目を閉じているとアナウンスが流れたあと、飛行艇が滑走路に着地した振動が身体をおそい、そのあと空港の中を通り出入り口から出ると。


「皆様、お待ちしてました」


そこには、メイドの女性がリムジンらしき車の前で待っていた。


「さぁお乗りください」


言われるまま俺たちはリムジンに乗らされ町や都市の風景が流れていくの見ていると、その風景は見たことのある景色が見えてきたそれは、リベレアの中央都市に近づいてそのままリムジンはトンネルに入り車内が明かりに差し込んできた。


「言われて乗ったのは良いけど・・・・誰に合わされるんだ」


「これから長く付き合うことになるであろう人たち、かな・・・・・」


トンネルを抜け、巨大な都市の間を車が走っていくが、信号機に引っかかることもなく走っているととある建物の前で車が止まった、車のドアが自動で開きそこに建っていたのは他の建物と比べても高い高層ビルだった。


「大きなビルだなぁ・・・・」


「ここからは私が二人を案内するけどいいわよね?」


「少々、お待ちを・・・・・・・・・」


メイドさんは耳に手を当て何かをぶつぶつと呟くと。


「構いません。ですが立ち合いは三人別々でお願いいたします」


「三人別々・・・・・・・・・?」


「えぇ、それだけ守ってもらえればいいという事なのであとはお願いいたします・・・・・・順番はご自由に、あたしは疲れたんで寝る」


そんなメイドに車を下ろされ、全体的にSFな感じのビルの中に入りホールを通ると左右に階段があった。


「メイドさんってあんな感じなのか・・・・」


「・・・・あの子が変なだけよ」


「お知り合いなんですか?」


「昔、ちょっとした事件に巻き込まれたときにちょっとね」


そんな会話をしながら目的の階を目指した、そんな調子で階段を登っていると。


「ここね」


体力のない自分を恨みつつなんとかたどり着いたその階にあったのはポツンと一つの扉だけが存在していてその左右に椅子が三つほど置かれていた。


「で、順番はどうするんだろうか」


「私から行ってくるわ」


そう言ったアリサはさっさと手慣れた手つきで扉を開け部屋の中に入ってしまったので仕方なく俺たちは座って帰りを待つことにした。








「どうだった?」


そんなことを目の前にいる灰色の髪の中性的な人物がまるで親友の久しぶりの再会を祝うような口調で語り掛けてきた。


「・・・・・あなたに言う必要ある?」


、手元の報告書を机にしまいその藤紫色の眼でこちらを見ながら、目の前の人物は口角を吊り上げおかしそうに笑った。


「なに?」


「・・・・・いや別に私はあなたの娘ですってそんな知らない人物から言われたらどう感じるのだろうかなって思ってね」


まるで私の不安を見透かすように目の前の人物は笑いを浮かべた。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


そんな目の前の人物の問いにわたしはなんとか口を開いて答えた。


「・・・・・・貴方には関係ないはずでしょ。それより何でここにあの人達を呼んだのはなんで?」


「それは仲良くなりたいからだ、それ以上でもそれ以下でもないんだよ」


「・・・・まぁ、なんだっていいけど余計な干渉はしないで」


「説明だけはこの後三人揃ったときにさせてもらうからな」


「はいはい」


そう言って私はさっさと部屋を後にしようとしたら。


「次はエルティアさんを呼んできてくれ、軽くで済むから」


「・・・・・・別に話すこともないと思うんだけど」


「今朝な騎士都市からメールが届いてね、その事で関してちょっとな」


「だったら、三人同時でいいじゃない。別々なんてわざわざ面倒なことをしなくても」


「当人意外に情報を洩らすわけにもいかないんだ、解るだろう?」


「・・・・・・私達、三人で何でも屋をやるんだけど」


「・・・・・そんなこと聞いてないぞ」


「「え」」


「・・・・・・じゃあ、二人呼んできてもいい?」


「・・・・・はい」


何とも言えない空気の中、私いったん部屋を出て二人を呼びに行った。





部屋の前で何もせず待っていると扉が開く音が耳に届いた。


「ティアさんと希堂くん、入ってきて」


二人で目を合わせながら言われたとおりに部屋に入った。


「別々っていう話だったんじゃ?」


「うん、まぁ・・・・・ちょっとね」


「よく来てくれたね」


そんな調子で部屋に入るとそこには灰色の髪に紫色の眼をしたどこか超然とした男性がそう挨拶をすると目の前の人物は椅子に腰を掛けた。


「えぇっと、いったい何のために俺たちをここに?」


「挨拶をしておきたいのと依頼に協力してくれたことに関しての礼を言わせてほしいんだ」


そう言うと傍らにいたメイドを呼んで口元で何かを言った後、メイドは軽くお辞儀をして部屋を出ていった。


「何かをするのも良いけどさっさと終わらせて」


「・・・・ところで君の名前はなんていうんだ?」


「希堂晃樹」


「希堂晃樹・・・・俺は空谷だ、希堂くんこれからよろしく頼む」


「・・・・・・・空谷さん、あの巨人の事とか聞かせてくれ」


あの巨人のどこか異様な不気味さとアリサが言っていた負念の塊とか言っていた────あの巨人の姿が何故か頭から離れなかったか。


「その事か・・・・・・あれが負ねんの塊というのは聞いているだろ?」


「まぁ」


「正確にはその場所にあった思念がとある兵器の影響を受けて暴走したものだ、それは────。」


「・・・・・・・生態兵器」


「そう、それを俺たちはこう呼んでいる」


目の前の男がそう語った瞬間、窓にシャッターが下り部屋が暗くなり男の背後にスクリーンが落ちてきて、そこにはこう書いてあった。


キラーサイトと。


「これがあの巨人の・・・・・?」


「どちらかというとこれは群体名でね、他にもこれらの個体も確認されてる」


そう語る空谷の後ろのスクリーンには生物的なモノ、戦車、輪っかなど様々な形状のものが写されていた。


「まぁ、そうそうこの世界では現れるものではないけどね」


付け足すようにアリサが語り、それを俺とティアさんは黙々と聞いていた。


「キラーサイトに関してはあっちで相対したときにアリサからその本質は聞いているだろうから説明の必要はないと思うが・・・・・・ほかに聞きたい事はあるかい?」


「・・・・・魔眼と後継者っていうのは」


「後継者は別に気にするものじゃないから大丈夫だよ」


(・・・・・・そんな軽そうなものだとは思えないんだけどなぁ)


「魔眼に関しては持っている者にしかわからないらしいからな、自分で使い方を学んでいくしかない」


そう語ると目の前の男がボタンを押すとシャッターが上がり部屋に光が差し込んできた。


「事務所に関してもこちらが適当な場所に作っておいたから心配しなくていい」


「・・・・・・そのあたりの説明はちゃんと欲しいのだけど、このためにわざわざ遺跡の探索を受けたんだから」


「今、言ったらおもしろくないだろうが!!」


「そういうモノじゃないでしょ・・・・ちゃんと場所までの地図は送ってくれるんでしょうね?」


「大体の話しておくべきことは話したからな、もう帰ってもいいぞ」


そういうと空谷はアリサに目配せをして、何かの合図をした。


「じゃあ、先に外で待ってるわね・・・・・あ、そうだ。こいつ私達と同い年だからね気を使わなくても大丈夫」


そう言うとアリサは部屋を出ていったあと、目のまえの空谷は咳をした後机に向かい何かの資料を出した後こちらに手渡してきた。


「これが騎士帝国から送られてきてな」


そう言って手に持ってきたのは何かの印がされている封筒だった。


「これって・・・・」


「そこの彼女の親からのメッセージだよ」


「本当ですか!?」


「嘘だと思うなら確認してみてくれ」


封筒を手に取った瞬間に魔法陣が現れ、そこには何かの文字が浮かんできてそれを読んだティアさんはどこか安堵した表情を浮かべた。


「な、なんて書いてあったんだ・・・・・?」


「今のところは監視下に置かれているだけのようで、最低限の自由は保障されているらしいんです」


「なら良かった・・・」


「もう渡すべきものも渡した、君たちは帰ってもらってもかまわない」


そう言われたので、部屋を出てそのまま階段を下りメインホールを目指した。







誰もいなくなった部屋で男は部屋に一人椅子に座り窓の外を眺め息を吐き。


「・・・・・・で、何であんたは彼を後継者に選んだ」


誰もいない空間に向かって声をかけた。


「だって彼以外に後継者に選べる奴がいなかったんだもの仕方ないじゃん」


本来だったら声が帰ってくるはずもない空っぽの部屋のどこかから響くような美しい声が返ってきた。


「そりゃそうだろうけどな、余計なことだけはしないでもらおうか」


「しないしない、僕は彼らにお返しをしたいだけだからね」


その言葉と同時にその声の持ち主が日向に姿を現した。その姿は幼い少女のものだがどこか神秘的でその容姿に似合わない妖艶さを醸し出していた。


「・・・・・よくもそう」


対面した男はそのつぶやきにはどこかあきらめを含み紫色の眼を細め、警戒するかのように睨みつけた。


「何か文句でも?」


「・・・・・・・・」


「まぁ、これだけ言葉にしたかっただけだから。じゃあ、マスターも心配するだろうから帰るね」


そういうと少女は影に飲み込まれるように姿が消えていった。その後ろ姿を横目で見送ったあと何か考えるようなしぐさを見せたあと、部屋から立ち去っていった。

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