遺跡と南国と因果
その翌日、俺たちは起きて集合場所にいた。
「でも、実際のところ場所は書いていても時間が、何時までとか書いてないんだよな」
だから早めに起きて集合場所に来たわけだが────。
「誰もいないんですけど・・・・・・」
太陽はすでに昇り、朝独特の雰囲気が空港を支配していた。周りを見渡しても閑散としていてそれらしき人物は姿は見えなかった。
「セリファル空港・・・・・・・場所はあっているはずなんですが」
「・・・・・・・・待っていれば勝手に来るわよ」
「ここは空港の近くなのかな。場所はあってるけど・・・・・」
そうして話して待っていると遠くから手を振りながら、あのシスターさん。シェイドがこちらに歩いてきた。
「いやはや、お待たせしてしまったようでごめんね」
横でシェイドを鋭い目つきで睨んでいたアリサが前に出た。
「あなたね・・・・・・なんで寄りにもよって遺跡の探査を依頼したの。探偵に依頼するな事じゃないでしょ。死ぬかもしれないのに!」
シスターはそれを気にしていないようで聞き流しているようだった。
「まぁいいじゃない。結果的にお互い特になるんだから」
腕を頭の後ろで組みながら気軽そうに層にシスターさんは答え。
「だから、そういう問題じゃ・・・・・・・!!」
「大丈夫だって。生きて帰ってくればいいんだから、魔力の事もアリサに練習してもらったから大丈夫だし、三人で協力していけば大丈夫でしょ」
生きるのも死ぬのも面倒だけど子供って言われちゃったからな。簡単に死ねなくなってしまったから頑張るしかなくってしまった。
そんな心のうちも読んでくれてたのか、アリサはシスターを睨みながら渋々といった様子で引き下がってくれた。
「でも、何かあったらすぐに帰るからね。それでいいわね?」
その口調は怒気を含んでいた。
「はいはい、それでいいですよぉー。まぁ、そんなことは横に置いて。島の探査について説明するから」
受け流すのうまいなと思い。ふと、隣を見るとアリサは呆れた表情をしながら荷物を確認しながらたまにため息をしていた。
「で。移動手段はどれなの。さっさと言いなさい」
どうやら、このシスターさんに対してなのか、昨日の事で不安なのか口調が荒い。
「あぁ、それならこっちにありますよ」
「こっちですよ。こっち」と手招きしながら基地の奥に向かって歩いていくので、その後について行くことにした。
「・・・・・・・・・大丈夫・・・・・よね」
どうやらアリサは昨日の事を引っ張っているようだけど、そりゃあなたの娘ですって人伝で言ったのだから変な目で見られていないかどうか怯えているんだろうけど。
「だって、ティアさんが・・・・・・そういうことは早く言ってしまいましょうって、大事なことは早く言った方が楽になりますよって・・・・・・押し切られてちゃって」
視線があっちこっちしていて怯えているのがわかる。
「ティアさんは初めて聞いたとき驚いたって言ってましたけど、よく驚いたで収まりましたね?」
「驚きましたけど、たまにあるみたいです。理由は前世の縁みたいですよ」
前世の縁か、だとしたら不思議でもないのかな。あれ、だとしたら・・・・・・・。
色々考えてながら歩いていると、格納庫らしき場所が見えてきて、その手前の施設にシェイドさんが入っていくのが見えたので後を追っていくと。
「ちょっと、ここで待っててくださいね」
そう言うと、奥の方に行ってしまったので、仕方なく座って待つことにした。
「前世の記憶とかは?」
「そこが不思議なんです。話を聞いても何もピンとこないんですよね・・・・・・・・友達にこういうことがあったときは前世の記憶を思い出していて、相手もそれにあった記憶もあったんです。様子を見た限り友達も、その相手も嘘をついてる感じもありませんでした」
そんなことをティアさんと話しながら考えた。という事は、アリサが嘘をついている可能性もなくないのか。そう思い彼女の方を見てみると前を見ていて表情は長い髪に隠れて表情は窺えない。
「アリサ・・・・・さん?」
「・・・・・・それは────」
「お待たせしましたぁ。いやぁ、ようやく出発できるわ────あれ?どうしました?」
シェイドさんの用事が終わったようで戻ってきた。
「・・・・・・・・・先に行ってるわ」
そういうと、格納庫の方に速足で歩いて行ってしまった。
「私たちも行きますか。色々とおかしなこともありますが、今は遺跡の探査をやらないといけませんからね」
「あ、うん・・・・・・」
高速飛行船がある格納庫の中はとても広く、他にも数機ぐらい飛行機が入りそうなのにその中にある飛行船は俺たちの乗るであろうモノしかなかった。
「・・・・・・・探査って他にどれくらい人が参加するんだ?」
「現地集合ですからね。ついてからの楽しみですよ♪」
シスターさんはそういうけど、名前も分からない島に行く方法がどれくらいあるんだって話だ。
「そんなことより、ささっと乗ってしまいましょうよ」
「乗るしかないんだもんな・・・・・・・・」
「そうですよ、そうですよ。往ってさっさと終わらせちゃいましょう」
すでにティアさんとアリサはすでに乗っていて入り口に近い位置に座っていた。
(う~ん、どの位置に座ろうか。っていうかバラバラに座っちゃって大丈夫なのか?)
「一緒に座りませんか。希堂晃樹さん?────話したい事もあるので」
「え?あ、はい」
急に耳元で囁かれたのにドキドキしながら見ると真面目な表情のシェイドさんに顔を振って気を引き締めた。
席に近づくと彼女は窓側の席に座ったいたのでこっちは通路側の席に座った。
「それで話っていうのは・・・・・」
「晃樹さんは嘘とホントの違いというのは何だと思います?」
「嘘とホントの違い・・・・・?う~ん、実在するかしないかの違いかなぁ」
「そういうことですよ。彼女が言う事に嘘はありません。少なくともあなたや彼女に関することだけは」
「不思議な話だけど俺はそこはあんまり気にしてないです。ティアさんもたぶんそう思っているはず」
「・・・・・・・・・・・・・・よく信頼できますね。証拠も根拠もない言葉をよくもまぁ」
「だって、この世界だとたまにあることって聞きましたし」
そんな会話をしていると、窓の外の風景がゆっくりと動き始めた。Gも感じず、音もなく滑らかに動き始めあっという間に、景色は流れて行ってしまった。
「あなたが前世の記憶はないのを私は知ってます、記憶があるのはアリサだけだってことも。それでも信じれるんですか?」
「信じれると感じるんだ。なんとなくだけど」
シスターの方を見ると何かを信じられないもの見るような顔をしていたが「こういう人なんだ・・・・・・ふ~ん」と呟いた後、舌打ちをした。
「舌打ち?!」
「なんでどいつもこいつも・・・・・」
「俺、何かしました・・・・・っけ?」
「私のやることなすこと、気にしてたら疲れるだけですよ」
まるで自分の事を人ごとのように言うその言い方にも違和感を感じているのを咎めるようなとげのある言い方だった、こちらを鋭い目つきで睨みながら。
ふと、そんなとき彼女のシスター服が気になった。服の肩や太もものあたりが綺麗に切り取られていて目のやり場に困る状態になっていた。
「どうしたのかなぁ?」
覗き込んでくる端正に整った顔つきと夕暮れを思わせる眼から逃げるように眼を逸らしていると諦めたように顔を離しどこか苦々しいものを思い出すような表情を見せた。
「ま。昔、色々ありまして。こういう気に入らない服を自分好みに改造してるんだよね」
「色々・・・・・・・」
言葉の端々に鋭い悪感情をちらつかせながら、シェイドはのんきに露出させた太ももをぶらんぶらんとばたつかせていた
「そ。色々」
修道複に何か嫌な思い出でもあるんだろうか。
「二人とも何を話してるのですか」
ティアさんがひとつ前の席から頭を出して聞いてきた。
「大したことは────」
「いやぁ、ドロドロしてましたよ。昔の事を聞かれちゃいまして」
「な、何の会話をしてるんですか!?シスターであろう人が!」
「あ。私の方なのね」
まぁ、シスターが話すような話じゃないよな、顔を赤らめながらシェイドさんを問い詰めていた。
「別に大した会話をしてたわけじゃないでしょ」
そっぽをむいていたアリサさんも通路の向かいの席に来て、会話に参加してきてくれた。
「・・・・・・・・・・ごめんなさい。さっきは」
「俺もなんか、ごめん・・・・・・」
こんな様子を見て疑問に思ったのか、呆れたものを見る顔で。
「いいわよ、別に。そっちのシスターが言った通りなんの証拠もないことを信じろっていう方が無理だし」
ピンポーンと鳴って《そろそろ遺跡に到着いたします》と軽いアナウンスが流れた。
「早くないか」
「そりゃ高速飛行船だからね」
各々が席に座り、着地の準備をし始めた。
「ねぇ、希堂くん」
早さは感じづらいが、外の景色の流れていくスピードも徐々に緩やかになっていく雰囲気を感じる中、話しかけられた。
「返事はしなくていいわ」
もしかしたら、彼女にとって間違いなく、その呼び方をするにはとてつもない勇気がいるもののはずで。同年代の少年に言うのは不釣り合いのその幼さで。
「うれしかったわ────おとうさん」
緩やかに、穏やかに、笑った。そして、島に着いた。
到着したその島は見ただけで分かるほど広大で、遺跡がある島と知らなければ南国のリゾートがあるといわれたら信じてしまいそうなほど南国の雰囲気があったが、その雰囲気には似合わないほど危険な遺跡がこの島の中に存在する。
初めての何でも屋としての仕事がこの南海の小島で始まった。




