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傭兵と琥珀姫  作者: 大石次郎


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怪盗ささやき 後編

ボンデージプラント群を始末した後、男爵家に話しを通すに手間取ったが衛兵隊や冒険者ギルドの連中とも合流し、なんだかんだで深夜には宿に戻れた。

俺は馬小屋の様子を見に行った後で、風呂の洗い場だけはなんとか使えたので済ませ、部屋に戻ってきた。


「げっ」


ドアを開けると人形から抜けだした霊体のディッカが、姫号と豆号を解体して整備していた。散らばった部品で足の踏み場も無い。


「ディッカ~、勘弁しろよ」


「部品踏まないでね。加速タイプにした豆号の精度が間接操作だともう1つなのと、姫号は実戦で立ち回るにはなんかモッサリしてるんだよ。・・後で雄牛もイジるよ」


「いやまぁ、改良はいいと思うけどさ」


俺は慎重に部品を避け、自分のベッドまで移動した。


「怪盗ささやき、どうなるかな? 次は警戒される、というかまだこの街で盗っ人活動続けるかも怪しいぜ?」


男爵とはいえ、貴族が狙われたことで残りの版画の持ち主達も銀行や衛兵隊や冒険者ギルドの金庫に預けるとか、もうとっとと売りに出す、って話になってきそうな気もした。

長引いてくると衛兵の増員もあるし、冒険者達もどんどん増えそうだし。


「ささやきに仕事させてるヤツらの雑さや集めた版画のバランス的にあと数回は無理くり仕事させてくると思う。ただ、さっき帰りにギルドや衛兵隊の魔法系の人達と調べた感じ、ロングレンジテレポートの行き先はオイソンの東方向、20キロ圏内だけど10キロは遠いくらい、だね」


「お? だいぶ絞れてる」


「一瞬だったけど、ささやきのテレポートの魔法式が見れたし、他の式の目撃情報を照らすと、結構はっきりしてくるよ」


思ったより捜査側の進展も早いな。


「ダイスケ」


ディッカは作業用に使っている念力特性のマグネットタクトという短く細い杖で俺に首飾りを渡してきた。


「魔法道具だよな?」


「1回だけテレポートの基点にできる魔法道具、場所も把握できる」


「ん~」


場所も把握できるのか・・


「別に監視しようってことじゃなくて、今回テレポートを多用する感じになってるし、なんかの拍子に飛ばされるかもしれないでしょ? それに逃げるささやきにどうにか取り付けられたら1発でささやきを使ってる連中のアジトがわかるかもよ?」


「・・そういうことなら」


「あと明日、昼間に魔法書(まほうしょ)の店にでも行ってみたら? ダイスケも1つくらい魔法を覚えた方がいいし、冒険者ギルドの話だとオイソンにいい店あるみたいだよ?」


「魔法? 俺が?」


考えたこともなかった。渡されたテレポート補助兼位置特定効果の首飾りを手に俺はちょっと戸惑った。



翌日、昼前くらいに平服に腰の鞘にミスリル鋼のグラディウスを差し首飾りもしてウワバミのポーチを身に付けた俺は、ディッカの言っていた魔法書店の前に来ていた。


「緊張するが、よしっ」


俺は気を入れて店に入った。ドアのベルが鳴る。


「・・ら・・しゃ・・せ」


「ん?」


小さく、女性の店員の声が聞こえた。店の奥にいるのかな? 聞き覚えのあるような・・気のせいか。

店内は一見、普通の書店だが店の管理を豆号を大幅に簡素にしたようなドールゴーレムが1体、店の管理をしていた。

並んだ魔法書を見比べる。まずインテリでも暇な金持ちでもないから書店に来ることがなかった。大抵の庶民はそうだろう。まぁ俺がカタギの庶民かというと微妙なところだが。


「やっぱ初級魔法か。ディッカは感覚で選べ、みたいなこと言ってたが・・あ、中級も見るだけ見とくか」


俺は何気無く中級魔法の棚に移り、背表紙に触れない程度の差し指でどれを読もうかと探しているとパチッと、1冊の本と指の間で小さく電気が走った。

冬場によく起こる弱い電気、学者や魔法使い達が静電気と呼ぶ現象かもしれないが、より魔力が呼応した気がした。

手に取ってみるとサンダーボルトの書だった。ミルッカがディッカの琥珀の身体を砕いた魔法だ。


「これかぁ」


「雷の属性をお持ちですね」


耳元で囁かれた。


「おおっ?!」


振り向くと瓶底のような眼鏡を掛けた、あちこち怪我をして片腕も吊ってる店員らしい女性が真横にいた。


「あっ、すいませんすいません、私、声が小さくて」


平謝りする怪我まみれの眼鏡店員の女性。


「・・っっ」


この声、声の小ささっ、意外とグラマーな体型! なぜ怪我をしているかはわからないけどっ。

ディッカのヤツ! 釣り餌にしたなっ!

ひとしきり謝っても俺が何も言わないことを不審に思ったのか? 店員は俺を見上げ、瓶底眼鏡のズレを直し、


「はぁぅっ?!」


わかり易く動揺して仰け反った。


「え~と・・ささやき、さん。ですよね?」


「人・・違・・すっ!」


声、小っちゃっ。だが、やはり悪意ある人物の気配ではなかった。俺は暫定ささやきさんの包帯で吊っていない左手を取った。


「あっ」


「俺やもう1人は別に衛兵や冒険者ギルド直系でもない。詳しい話を聞かせてくれないか? 誰かに脅されていないか? その怪我は? 力になれないか?」


「うっ、・・パシー」


急に、瓶底眼鏡越しに少し涙を見せた暫定ささやきと意識が繋がったような奇妙な感覚がした。テレパシーの魔法か?


(あの2人に見張られています。すぐに私は転送されます。私は昨日の失敗の罰で日が暮れるまで攻撃、防御、回復、妨害、移動に関する魔法等を呪いで封じられました。2人はモードォア閥の魔女。階位は4。摂理はハサミと庭石(にわいし)。アジトはオイソンの東へ13キロの台地の森の奥。私はたぶん殺されるけど、あの魔女達は自分を危険に晒してまでオイソンにそこまで固執しないと思います。たぶん街は大丈夫。4位の魔女2人に対抗できないなら、放っておいた方がいいです)


情報量っ! 一気にやっぱりささやきだった瓶底眼鏡の魔女から思念が送られた直後、彼女の立つ床に魔方陣が発生した。仕込まれてた!

俺が一瞬驚いた隙に、彼女は怪盗の身のこなしで素早く俺の手を払った。


(さよなら。2人は名探偵だったのですか? 私の、負けです)


「っ!」


ささやきは、はにかんで転送されてゆこうとしたが、俺は咄嗟に強引に魔方陣に飛び込んでささやきの肩を掴んでしまった。


「え?」


ささやきが眼鏡の奥で目を円くする中、俺達は転送されていった。



送られた先は奇妙な広間だった。向かって奥が一段高い床になっていて、梟とミミズクの止まった歪なソファが2つ置かれ、そこにそれぞれ太った魔女と細長い魔女が億劫そうに座っていた。

ソファの後ろには件の版画が大量に雑然と置かれていた。


「なんで余計なの連れて来てんの? メイニー・スターブルームさん、さぁっ?!」


「コイツ、男が転送で身体バラけないように魔力で守りやがったよっ!」


くっ、実際、守られったぽいな。何してんだ俺?? いや、状況は状況だ。ソファまでどっちも7メートル程度、近い。段差も大したことない。

問題はほぼ丸腰、グラディウスも抜いてない。向こうが嫌味ったらしく話してる間になんとなく声に反応した(てい)で向き直ってささやきを背に庇う形で向き直るだけで精一杯。

装備は一通りウワバミのポーチの中だ。あとは、サンダーボルトの書をそのまま持ってきちまってる! 後で金は払うぞっ?


「・・黒幕はおま」


「エアストライク」


俺が言い終わらない内に衝撃波魔法を細長い方から放たれっ、これにメイニーっていうのか? ささやきが、たぶん左手で中々の力で俺を突き飛ばし、元々結構満身創痍だった彼女だけが背後の壁まで弾き飛ばされた。

すぐ庇おうとするなこの人っ、頭に血が昇ったし駆け寄ろうとも思ったが、細長いヤツは1発魔法を撃った直後、太ってる方は吹っ飛んだ彼女に大ウケして隙だらけになってるっ。

突き飛ばされた結果、俺はさらに1メートルは太ってる方に近くなっていた。結果的に首飾りはここまで持ち込めたがディッカの救援がいつかはわからないっ。ここだ!

剣の技もそれなりには使えるっ、俺は魔法書をウワバミのポーチにしまいつつ、爆発的に踏み込んだ反動で一気に太ってる方の魔女に超高速で駆け込み、グラディウスの柄頭で手加減せず、かなりの勢いで相手の下腹を抜き打ちで殴り付けた。

火打ち抜き(ほうちぬき)という奇襲技だ。


「げぇッ??!!!」


太ってる魔女はソファごと後ろの版画をブッ潰しながら壁に激突し、止まっていたミミズク共々昏倒して痙攣した。あれで生きてるんだな、重量鎧を砕く技なんだが・・。

だが、これで止まってると次の一手で簡単に詰まれる! 4位魔女というのがどれくらいか知らないがディッカと旅をしている俺は魔女の魔法力を一切侮らないっ!

俺は怒りの形相で杖を振り上げた細長い魔女の足元にウワバミのポーチから既に取り出している臭い玉を3つ投げ付けて割り、立ち込めた強烈な臭気で包んでやった。


「臭ぁっ?!」


踠く細長い魔女っ。梟は慌てふためいて主を捨て窓から逃げていった。よし! 俺はささやきことメイニー? の方に駆けながら容赦無く2つの爆弾のピンを抜いて投げ付けた。この臭気は燃えるっ!

炸裂っ!! 炎上っ! オーガでも上手く入れば殺せる卑怯コンボだっ。

俺は駆け寄った酷い状態の彼女に飲ませてられなさそうなのでディッカ特製のエリクサーを振り掛けた。


「雑でごめんよっ、立てるか? ここはすぐに炎上するし、火が空気を食っちまうっ。急いでくれ!」


(まだです! 彼女は、ハサミの摂理から産まれた魔女っ!)


テレパシーがまだ利いてた。


「何っ?」


「お前っ!!! 人間のクセにっ! 集めた画も台無しだぁっ!! ジョッキジョキにしてやろうかぁっ??!!!」


自身と周囲が炎上する中、何十もの異形よハサミと一体化した細長い魔女が立っていた。


「魔女ってそんな感じなのか??」


とそれなりに驚いてはいたが爆弾5個を追加で投げ付け、さらに2個を梟が窓から逃げた方の壁に投げ付け、魔女と壁とブッ飛ばした。俺はメイニー? を肩に抱えて壁に空いた穴から外に駆け出した。が、


「マジか?」


外に出たが、まだ厚そうな塀、というか城壁に囲まれた敷地内だったっ。爆弾じゃキツいか?


(塀はかなり厚いです。ですが右手に進むと食用の汽水種のザリガニのモンスターを飼っている池がありますっ。そこに落としてサンダーボルトを撃てばハサミの鎧の内側まで電気を通してたぶん倒せます。封じた私と戦士の貴方を相手に魔法の脅威は想定してません)


俺は思念を聞きながら、後ろからハサミ状の投射物をガンガン撃たれ出したので慌てて右手にメイニー? を抱えて走った。


(メイニー、って言うのか? サンダーボルトは魔法書を持ってるだけだぜ?)


(メイニーです。貴方は雷の適性があります。私が補助するので、大丈夫です!)


「ジョキジョキぃっ! 燃しもするぞっ? ファイアーボールっ!!」


細長いハサミ魔女は多数のハサミを脚のよつにして追ってきながら、ハサミ状弾と火球をデタラメに撃ってくる! 俺は気配と音と熱なんかで察して必死で躱して走るっ! 敷地内の池が見えてきたっ。

中にはワシャワシャと巨大ザリガニ、キラークレイフィッシュがいた。池の周りには逃げ出さないように脱出防止の魔法式が描かれていた。


(自分は落ちないで下さい!)


(そうありたいなっ!)


池の前で待ち構えるのもわざとらしい、俺は池にたどり着く前に蛇行するように遠距離攻撃を躱しつつ、振り返ってどんどん爆弾を投げ付けだした。


「うざいっ!」


一応、ダメージは通ってる。全身から露出したハサミの2割くらいはヒビが入って回復もしなくなっていた。だが、俺の爆弾も残りわずか! それでもいい感じに池に近付き、ハサミ魔女との距離も縮まってきていた。

ハサミ魔女は遠距離攻撃をやめ、ハサミの身体の一部を伸ばして攻撃しつつ、魔法も範囲系に切り替えてきた。


「ジョッキんっ! ロックランスっ! ジョッキんっ! ロックランスっ!」


身体の形と攻撃力は異常だが、技術的にはヘタクソ。直接攻撃はメイニーを抱えた状態でもどうってことはなかったが、放射状に岩の槍が地面から噴き出すロックランスの魔法の連打はヤバかったっ。


「くっ」


爆弾も尽きた。池はすぐそこ! 俺はロックランスの放射状攻撃を回避した直後に反転してミスリル鋼の戦斧を抜き、追い打ちしてきた右腕全てを多数のハサミに変えた攻撃を逆に、


「せぇあっ!!」


片手の鈍器の単純な強打技、銅鑼砕き(どらくだき)で粉砕してやった。


「痛ぁあーーいっ?!」


神経が通ってたらしく絶叫するハサミの魔女。同情はできない。俺は続けて池の前に飛び退きながらまた臭い玉を2つ投げ付けてやったが、


「プラスヒールっ! クドいんだよっ!!」


俺に吹っ飛ばされたハサミの右腕完全回復しながらまた燃されるのを嫌ったのか単にキレたのか? 魔女は俺達に突進してきたっ。

俺はポーチから銀のカイトシールドを取り出し、多数のハサミで巨体化した身体で突進してきた魔女の体当たりを受け、池の式の直前で踏ん張るのをやめて盾の裏を蹴って宙に飛び上がった。


「あっ?!」


勢い余り、池の周り式の障壁を破って派手に池に落ちてキラークレイフィッシュ達を混乱させるハサミの魔女!

宙の俺はポーチから取り出していた拡げた魔法書を片手で掲げ、それにメイニーが片手で触れて魔力を送り込んでいた。

意識を集中させ、魔法書から注がれる圧倒的な魔法式の情報量を受け入れる! メイニーが補助してくれなかったら、慣れないこの工程で気絶していたかもしれないっ。


(できます!)


「サンダーボルトっ!!」


メイニーの力を借りた俺はミルッカに匹敵する強烈な雷を池の中のハサミの魔女に落とした。


「ジョキィイイイッッッ???!!!!」


ハサミの魔女は一撃で昏倒し、ハサミ化が解けて白目を剥いて池に浮き、キラークレイフィッシュ達も赤く茹で上がって全滅した。


(帯電と少しガスが出ます。離れて下さい)


「よっ」


ガスも出るのか? ま、俺も落ちたくは無い。メイニーを抱えたまま身を捻って軽く回転して、池の近くに着地した。


「ザリガニ達には悪いことしたな」


(すぐに処理すれば食べられるかもしれません)


「君、合理的だね」


「・・すいません。もったいないかと・・あ、もう下ろして下さい」


「おお、そうだった。まだポーションあるよ?」


小声で言われた俺はメイニーを下ろし、少し赤面した彼女にポーションを1本渡した。その時!

周囲に虚空から出現した大岩があちこちに落下しだしたっ!


「おおっ?!」


「わわっ、これは!」


2人で岩をどうにか躱しきると、俺達が走ってきた方から燃える巨大な(まり)のような物が飛来して近くに着地して炎を振り払った! あちこち火傷だらけだが、太ってる方の魔女だっ。片手に丸焦げになった鳥? を持っている。


「テメェ! よくも可愛い使い魔をっ!!」


「あ~・・それは不可抗力だ。すまなかった」


太ってる魔女は俺の謝罪を無視し、おもむろに焼けた鳥を丸ごと食べてしまった!


「えっ?」


「このっっ、哀しみの味っ! 忘れねぇよっ!! うぉおおーーーーっっ!!!! 」


太っている魔女は巨大な両腕を持つ岩の怪人の姿になった。


(彼女は庭石の魔女! 弱点は・・特にありませんっ!!)


「いい助言だっ!」


俺は魔法書をしまい、代わりに取り出したハルベルトの部品を手早く組み立てた。


(テレパシー以外で今使える魔法は? カード召喚は?)


(カードも封じられました。戦闘で使えそうなのは・・)


「見え見えでテレパシーしてんじゃないよぉっ!!」


庭石の魔女は両腕を組んで岩の巨人の腕を振り下ろしてきた。2人とも躱したが、打ち付けられた地面が炸裂して消し飛ぶっ! ヘタクソな攻撃でも火力がデカ過ぎるっ!! 爆弾がもう無いっ、顔も岩で覆ってるが臭い玉は効くか??

2人で戦々恐々としていると、


光の魔法式と共に俺達の前に姫号と雄牛号が転送されてきて、俺の首飾りが砕け散った。


「ディッ・・琥珀姫っ!」


一応、相手は魔女だし本人も隠してるっぽかったしな。


「ああっ? マーカー仕込んでやがったのかよっ!!」


「・・・」


ディッカは珍しく寡黙に、マリオネットの魔法で操ってるらしい雄牛と共に庭石の魔女に飛び掛かった。

なんだ? 姫号も近接行くのか?? 指先から出す魔力の刃や肘から出す振動カッターなんかで攻撃してる。


「ちょこまかしやがってぇっ! もう1体人形持ってやがったかぁっ?!」


(どうします?)


(いやっ、何か仕掛けるつもりだ。不自然にならない程度に様子見よう。ポーションとか今、使おう。休んでる風に見えるだろう)


(はい)


俺とメイニーはちょっとあからさまにポーションを飲みだしてみせた。

姫号と雄牛号は善戦はしていたが、やはり姫号の斬撃系の攻撃がいまいち岩の巨体に通ってない。

そうこうしている間に、


「エアシェイバーっ!」


不意に放たれた風の刃の魔法で姫号の両腕で切断されっ、俺がポーションの瓶を捨てて飛び込む前に庭石の魔女の身体の一部が数本の岩の針と化して、姫号をズタズタに串刺しにしたっ!

雄牛号も動きを止めて膝を突く。


「おいっ?!」


「ギャハハっ!! 魔法を温存してなんか企んでたのはこっちもだっ! 人形のクセにっ! なんなんだ? テメェっ?!」


コイツっ! 俺はハルベルトを構えたが、


「ギガ実体誘導パァンチッッ!!!」


突然っ、膝を突いていた雄牛号が突然右の拳を庭石の魔女の脇腹に撃ち込んだ!


「ごぉおっ?!!」


「中身だけテレポートっ!!」


庭石の魔女が吹っ飛ばされたその背後の頭上に霊体のディッカが瞬間移動するっ!


「霊体・デッドオアアライブ・パンチッッッ!!!!」


爆裂するっ! 魔力の拳でっ、庭石の魔女の岩の巨人の頭を叩き割り! 地面も割る勢いで叩きのめすディッカっ!!


「ごっぱぁああっ??!!!!」


岩の巨人の身体を粉砕され、庭石の魔女は昏倒して砕かれた岩の上に落ちていった。


「ふっふっふっ、正解は雄牛号の中にいた。でしたっ!! 半端に覗き見してんな、ってバレ過ぎだよっ?」


ディッカは無詠唱の収納魔法で取り出し魔法石の欠片を気前よく7つも消費して魔力を回復しつつ、こちらに降下してきた。


「琥珀姫っ! 来るの遅い上に、ムチャすんなよっ」


「いや、まさか普通に1人倒してると思わないじゃん? もう1人分仕込んだから手間取っちゃって・・というかっ!」


ディッカは眼鏡にヒビが入ってるメイニーに迫った。気圧され、なんとなく俺の方に避難するメイニー。


「もうすぐギルドや衛兵体の魔法使い達も転送してくるんだけど、その前にざっと話を聞こうじゃない? あとちょっとっ! ウチの護衛兼御用聞きのダイスケ君に近くない?」


これ見よがしに両手に魔力を込めてメイニーを俺から引き剥がすディッカ。


「わっ?」


「いやそういうんじゃないから、というか御用聞きって、いやいやそれ以前に俺を釣り餌にしたな?!」


「後で金貨3枚あげる!」


「金貨3枚?」


欲しいことは欲しいがっ、


「それ置いといて」


それは置いといて??


「ささやきっ! 凄い格好して盗っ人してたけどっ、ほんとは楽しんでたんじゃないのぉっ?!」


「・・っと・・で・・した」


「声小っちゃあいっ!! 大きな声でっ!」


「う~っっ」


歯を食いしばるメイニーっ。


「おいっ、そんな詰めなくても。取り敢えず一旦」


「ちょっとはぁっ!」


「っ?!」


突然叫ぶメイニー。


「ちょっとは違う自分みたいでぇっ、ゲホゲホっ」


普段、声を張らないからか、自分の大声に噎せるメイニー。


「人間の街でもぉっ、あんまり上手くいってはなかったからぁっ! 正直っ、ちょっと、楽しんでましたぁっ!! ごめんなさいっ!!!」


「メイニー・・」


これにディッカは穏やかに微笑んだ。


「言えたじゃないの・・でも逮捕ぉっ!! バインドリングぅっっ!!!」


いきなり捕縛魔法でメイニーを捕らえるディッカっ!


「わぁああっ?!」


「ちょーーーいっ??!!!」


「なんか大人しくてオッパイが大きい()が自分を解放して素直になれたから全部許される、みたいな流れがムカついたのでこのまま当局に引き渡すわっ、普通にっ!」


「琥珀姫ってばっ!」


「うう~~っ、ごめんなさぁい!」


「正義っ! 完遂っ!! 怪盗ささやきっ、捕らえたりぃ~っっ!!!」


この後の処理はそれなりに、しち面倒臭いことになったのだった・・あ、金貨は5枚せしめといたぜ! 当然だよっ!

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