表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/102

第十六話 これから……

 引きちぎられた心臓は今もなおどくどくと鼓動を鳴らしている。中央に光る瑠璃からもらった玉石は今もな守の心臓から離れる気配はない。よく見ると、守の血を吸って僅かに赤黒く変化しているようだ。


『動くな』


 守は共鳴を利用して、この場の全員の頭に直接話を伝える。そしてその言葉には強制力が働き、こちらに向かってきていたナナコも、心配して近寄ろうとした未羽も、隙を見て後ろから守の心臓を奪おうとしていた遥も、指一本動かせなくなっていた。


「くっ、凄まじい力だな。ちょっとこれは予想以上だ」


 他の人が口を動かす事すら出来ない中、遥だけは辛うじて話す事が出来た。


『それを望んだのはお前らだろう?』


 全てを見透かすように遥を見つめる守。その姿はまるで高見にいる神が下民を見下ろしているかのような錯覚を覚える程だった。


「はっはっは。今のお前なら全てが見えているんだろうな。気分はどうだ?」


 指一本動かせないのにどこか余裕のあるように見せている遥だが、内心を読む事が出来る守にとっては意味のない駆け引きだった。


『遥さん、駆け引き何て無駄ですよ。全部わかってますから』


 その言葉に表情を歪める遥。


「お嬢様にしてやられたって訳だ。流石は幻造の孫だな」


『るぅが頑張ってくれたからだ。そして俺がるぅに出来る事は――――』


 持っている心臓を見つめ、瑠璃に入れ込もうとするが、手が止まる。


『その前にこいつにはもう用がないな。本当は今までの被害者の為に懺悔をしてもらいたいが、そんな時間は残されていない』


 跪いていた眼鏡男の方を見て手をかざす。すると、既にゾンビウィルスが全くない一般人でしかない眼鏡男は、最期の一言も残せずにグシャっと肉塊に変わり果ててしまった。


『これでよし』


 本当ならここで遥も処分すべきだが、その場合は死闘になるのは間違いなかった。どう分析しても五分五分。これだけ強化された守でも遥は脅威だった。


『そんな事より……』


 改めて瑠璃の空いてしまった胸元に守の心臓を埋め込む。まるでパズルのピースをはめるようにぴったり入った心臓は急激に血管を伸ばして瑠璃に定着した。


 そして既に自分の心臓すら身体の器官の一部でしかない守は、瞬く間に自分の心臓を復元していく。


 大量の血を失っていた瑠璃の土色していた顔色は守の力によって急激に生気を取り戻していった。


「ん……? あれ、パパ?」


 目が覚めた瑠璃は守に抱き着く。それを守は抱きしめ返し、頭を撫でた。


「ありがとうな、るぅ」


「そんな事ないなの。るり、パパとママとネェネのために頑張っただけなの」


「その頑張りを褒めたいんだよ」


 まるで本物の親子のように再会の喜びをわかり合うもずっとこのままではいけない。


『さぁ終わりにしよう』


 瑠璃を立たせると、蚊帳の外になっていた遥の元へと向かった。


「お嬢様、お久しぶりでございます。今は動けない為、このような見苦しい姿をさらしてしまい申し訳ありません」


 いまだ守からの呪縛から抜けられない遥は身動きを取る事が出来ず、瑠璃を目だけで見下ろしていた。


「そんなのどうでもいいなの。……ねぇ、遥はこれからどうするつもり?」


 突然雰囲気が変わった瑠璃は、子供とは思えぬ凛とした態度で遥を見る。それを感激した様子で身震いしている遥を見て、守は背筋に寒いものを感じていた。


「予定とはちょっと違う状況ですが、このまま計画通りに進みます。暫しお別れとなりますが、私達はお屋敷で皆さまをお待ちしておりますね」


 そういうと、遥は突然体内から爆発して肉片になってしまう。飛び散ったモノを払いのけ、凄惨たる状況に溜め息を吐いた。


 その頃には、呪縛の解かれた事で解放されたナナコと未羽が守と未羽の元へ、やってきた。


 まずは四人とも無事な事を喜んだ。


 そして今、四人は沈黙に包まれる事になる。なぜならこの四人は、共鳴する事でお互いの感情までもが共有してしまっていたからだ。むしろ他人の感情まで入り込んだせいで、様々な感情が入り混じってしまっている。


 だが、ここで沈黙が破られる。


「守、私、守が好き。愛してます」


 考え事をしていたナナコだったが、もうどのような感情を抱いているかバレている為、覚悟を決めて守に告白した。


「るりもパパを愛してるなの!」


 瑠璃は喋り方が元に戻り、精神年齢も子供に戻っていた。だが、この愛しているは勿論、子供の親に対する好き、ではなく、異性として好きという事だ。


 感情を共有している事で四人の感情はわかってしまっているが、それでも二人は守の口から直接答えを聞きたかった。


 二人の言葉を聞いた守は目を閉じる。果たして守の出す答えは……。

 もし、少しでも面白かった! 応援してもいいよ!! って方いましたら、ブクマ、☆応援、をよろしくお願いします。


 評価される事、それが何より執筆への励みになります。今後も精一杯面白くなるよう頑張りますので、是非、よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ