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第十三話 黒幕

「清華 瑠璃様の祖父にあたる、清華 幻造げんぞう様じゃ」


「瑠璃ちゃんのおじいちゃん?」


 ナナコは一瞬だけ眉をひそめるも質問を続ける。


「そうじゃ。清華家をここまで大きくしたのも彼じゃ。ちなみにわしは幻造様の弟になるのじゃが、まぁそれはどうでもよかろう」


 そして続けざまにけんじぃは淡々と話を続ける。


「瑠璃様の母親が虚弱だったのも、父親が今の組織を知る事が出来たのも、両親にしか瑠璃様が関心が向いていなかったのも、そして根本的な原因になっておる瑠璃様の異常な能力でさえも、全て幻造様の手のひらの上という事じゃな」


 どこか自慢げに話しているようにも感じるけんじぃの姿に、どう表現していいかわからず困惑しているナナコ。


「どういう事……?」


 思わずこぼれた言葉にもけんじぃは反応し、ナナコの望んだ答えを返す。


「清華家は強弱あるが、代々同じ能力を持っておる。幻造様は祖母と、母親の分の能力を瑠璃様に移した事で瑠璃様の能力を強化したのじゃ。瑠璃様の母親が虚弱だったのは瑠璃様に能力を移した結果じゃな。ちなみにその時に祖母は死んでしまったがな? まぁそれは些細な事じゃからいいじゃろ。そして父親はそれを幻造様がやったとも知らずに、祖父である幻造様を通してこの組織を紹介してもらったのじゃよ」


 人が一人、それも身内にあたる人物が死んだ筈なのに全く気にした様子もないけんじぃに嫌悪感が溢れてくる。


「何てバカな事を……」


 苦悶の表情をしているナナコに対し、無表情な筈なのに心底不思議そうな雰囲気でけんじぃはナナコを見つめ続けた。


「何を言ってるのじゃ? たかが二人の犠牲で不老不死が手に入るのじゃぞ? 安いいもんじゃ。」


「安いって……! じゃあ、そうなると全ての原因はその瑠璃ちゃんのおじいちゃんなの!?」


 あまりの身勝手さに怒りを露わにしたナナコは、けんじぃの胸倉を掴んだ。だが、けんじぃはそんな事をしても動揺する事はない。それは既に人形でしかない為だとわかっているナナコだが、それでも動かずにはいられなかった。


 そして、この質問が、予想外の方向へと話を進めていく事になった。


「違うのじゃ。全ての元になったのは幻造様、()()() ()()のお二人じゃ」


「十文字 遥様……?」


 ナナコはその名前に聞き覚えがあった。


「そうじゃ、遥様は……」


 急に止まったけんじぃ。黙る事を許していない筈なのに黙ったけんじぃにナナコは困惑しつつも、追及を続けようとする。


「遥様は何だっていうの――――っ!?」


 そこで突然けんじぃの胸元から手が生えてきたのに気づき、慌てて距離を取ったナナコ。背後を見ると、いつの間にか遥の右腕ががけんじぃの胸を貫き、心臓を掴んでいた。


「余計なお喋りが過ぎたな」


 その姿を見て、ナナコは思い出した。


(確かショッピングモールで守と戦っていた女? だったかな。けどこの人って、瑠璃ちゃんの家の護衛だったんじゃ?)


「不思議そうな顔をしているな」


 目の前にいるのにも関わらず、いまだに気配すら感じさせないその姿にナナコは本能的に恐怖を感じていた。本能では逃げろといっているが、一歩も動く事が出来ない。


「そう怖がる事はない。私はお前達に感謝しているのだ」


 既に死んでいるけんじぃを投げ捨てた遥は、血塗られた手を気にする事なく、まるで演説のように仰々しく手を広げてナナコへと近づいていく。


(動いて! 私の身体、お願いだから動いて!!)


 金縛りにあったかのように動けないナナコの頬を優しく撫でる遥。そこには敵意はなく、むしろ友人のように親し気だった。


「お前達のおかげで守とお嬢様が繋がり、そして新たなる扉が開いたのだ。誇るがいい。新たなる世界の幕開けだ」


「新たなる世界……?」


 何を言っているのか理解できず、困惑しているナナコだったが、このままではまずい事だけはわかっていた。


 だが、既にナナコの肉体は限界をこえ、まともに戦えるとは思えない。そして状況は望まない形で進んでいく。


「まもにぃ!!!!」


 ナナコの背後で未羽が守の名を叫ぶ。意識がそちらに向いた事で咄嗟に動けるようになったナナコは、未羽と守の方へと慌てて振り向く。


 そこでは、守の胸元が開き、心臓が飛び出していた。心臓の中央には、瑠璃からもらった玉石が埋め込まれ、真っ黒に染まっている。


 ナナコは悲鳴を上げる身体に鞭を打ちながら守の元へと急ぐのだった。

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