表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ポースカットミッチな夜

作者: 宮嶋 健吾

 少年は雑誌をパラパラとめくっていた。文字も内容も特にわからない。でも、この言葉だけは目に留まった。


 ポースカットミッチな夜


 その響きは何かロマンティックな響きに思えた。まだ、ロマンテックがどういうものかあまりよくわからないが、なんとなく理解ができたのだ。


「おじさん、ポースカットミッチって知ってる?」

「昔そんな言葉を聞いたことがあるな」


 ある学者は言った。

「ポースカットミッチか。懐かしい。昔行ったことがあるよ」


 ある酔っ払いは言った。

「昨日もそいつと一緒だったよ」


 少年は布団に入り、今日出会った人たちについて考えてみた。あのおじさんはスーツを決めこんでカッコよかったな。でも、僕の質問にはほとんど興味がなさそうだったな。家に帰って僕のこと思い出すかな。あの学者さんは色々考えを巡らせて忙しそうだったな。でも、昔を思い出して嬉しそうだったからよかった。あの酔っ払いのおじさんはとても楽しそうだったな。でも、どこか寂しそうだったけどどうしてだろう。布団にくるまり次第にまどろんでいき、その暖かさに心が安らいでいった。これこそがポースカットミッチなのだ。ふと少年はそう思った。今日はポースカットミッチな夜だ。



「こんばんは。私はランパルロです。突然のお知らせ失礼いたします。このままいい気持ちで帰っていただくことも可能だったのですが、それでは物足りないかと思いまして登場させていただきました。えぇ、業務連絡。業務連絡。今しがたこのお話に登場した男の子は、」

「おい、ランパルロ。お前また邪魔しているのか」

「な、な、なんですか。邪魔だなんて失礼な」

「だってお前、特に何も芸なんてできないじゃないか。むやみに出てくるんじゃない」

「そんな、私だってできますよ。皆様を楽しませることなんて」

「じゃあやってみろ」ギロリとランパルロを睨みつけた。

「あぁ、もう、うるさい。レイバン」どこすかと二人は立ち去って行った。少年の眠りは深い。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ