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救い

 「ファイン!何が起きてるの!?」


 「ファインちゃん、アレンはどうしたの!?」


 ご主人様が暴走し、熱風が吹き荒れる中で観客席に座っていたサーニャさん、ミリアさん、カリンさんにエレイナさんもが演習場へと足を踏み入れてくれた。

 助力を求めるうえでこれ程の援護は無い。


 「ご主人様が暴走してしまったんです!あの能力を使用する制限と同じなんです。今すぐ止めないと被害が出てしまいます!」


 私の声に二人は目を見開くが、直ぐに表情を引き締めた。


 「全く、私の従者は手間がかかるわね」


 「アレンが困ってるんだね。私がぶっ飛ばして目を覚まさせるよ」


 ご主人様は暴走しレクスさんと呼ばれる校長先生に襲い掛かっているが、レクスさんもまた自身で言っていた【鉄壁】という壁で防いではいるが……少しずつその壁にヒビが入り始めている。


 「仕方ありませんわね。サーニャお嬢様に仕える者として助力いたしますわ」


 「うん。私もミリアの付き人」


 エレイナさん、カリンさんもまた首肯し横に並んでくれる。


 「ねえ!アー君どうしたの!?急に様子がおかしいんだけど!」


 「あれって…あの時の」


 最強のメンバーだと思った矢先に少しずつ成長し、今では戦力と認めても不思議ではない程の強さを誇るカリナさん、メイさんも現れる。


 「ご主人様が能力を暴発させてしまっているんです。詳しい説明は省いてご主人様を抑えるのに協力してくれませんか?」


 「あ、あれを抑えるの!?う、うーん。でも、ファイたんにもアー君にはお世話になったしやってみるよ!」


 「わ、私もが、何か手伝えれば……」


 これでご主人様を助け出すメンバーは決まった。

 後は助け出せれば全てが解決するのだが……レクスさんの【鉄壁】は既に壊され魔法で応戦しているが、勝てる見込むは薄そうに見える。


 「ファイン、今回はあんたが指揮官よ。私達を上手く使いなさい」


 「え!?わ、私ですか!?サーニャさんの方が」


 「このメンバーの全ての力量を見てきたのはファインでしょ?一番アレンを助ける確率が高いのはファインが指揮官をすることよ。ここで――――才能を見せてアレンを助けるわよ」


 淡々と呟いているがサーニャさんの額には冷や汗が流れている。

 ご主人様が言うのであればあの能力でセルシィさんと引き分けるだけの実力があると示されていることをセルシィさんと修業をしていたサーニャさんだからこそ感じ取れていることもあるのだろう。


 「……それに、一歩間違えれば死ぬわよ。セルシィ師匠は一応は半殺しで済ませてくれるけど…今のアレンはちょっと冗談では済まないわ」


 熱風が吹き荒れ、先程までとは変わり異常なほどに暑さが纏わりつく中で全身に寒気が駆け巡る。


 「……分かりました。それではミリアさん、カリンさんで前衛でご主人様を牽制してください。カリナさんは即興ではありますが二人の危ない所を判断して守ってください」


 「任せて!」


 「分かった」


 「やってみる」


 前衛を走り抜ける三人の姿を見た後は後衛の三人だ。


 「全体の指揮はファインが取りますがまだまだ未熟の身です。後衛はサーニャさんの指示でお願いします。エレイナさん、メイさんはサーニャさんの指示に従って攻め立てて下さい」


 「分かったわ。これに勝って早くアレンに説教しないといけないからね」


 「任されましたわ」


 「や、やってみます」


 三人の安心出来る声を胸に私も前を向く。


 「私は前衛の三人をカバーしながら進むのでお願いします」


 「「「了解」」」


 【獣化】を使い、直ぐにでも解決したいがあの状態のご主人様がどれだけの力を持っているのかも分からない状況で諸刃の剣である【獣化】を使うのは余りにもリスクが高すぎる。

 生身の状態で前に進み、レクスさんとご主人様の前に立ちはだかる。


 「早く逃げて下さい!」


 「馬鹿を言うでない~。これほどまでの殺気、まさに初めて闇の王ヴァルハラに相対した時と遜色ない程の殺気だ~。これを逃すのは」


 この状態をまるで楽しむかのように呟くレクスさんの言葉に切羽詰まった状況も相まって思わず平手を頬に叩き込む。


 「ふざけないでください!!」


 私は別にレクスさんの生死に関してさして興味は無い。

 だけど……、


 「貴方が死ねばご主人様が殺人者になるんです!!ご主人様はこの学校に入れることを心の底から喜んでいたのにそれを台無しにするような事はしないでください!!」


 私は初めてとも言えるほどにご主人様が喜んでいる姿を見てしまった。

 何時もお傍に駆け寄り、従い続けてきたからこそご主人様がこの学校に入れたことを相当喜んでいたのを知っている。

 何がご主人様をそこまで喜ばせる材料になっているのかは分からないが、それでも私は嬉しかった。


 「貴方が何をしてご主人様を怒らせたのかは後で聴きます!今すぐ逃げて下さい!さもなければ、私があなたを殺します!」


 レクスさんに訴えている中で暴走している炎を纏ったご主人様が近づいて来るが、


 「カリナさん、私の前に出て下さい!!」


 「分かってる!!」


 今までとは違い真剣な表情をしているカリナさんが私の前に出る。


 「私も支えます。次の一撃を全力で受け止めて下さい!」


 「絶対に止めるから、校長先生も早く逃げて!」


 カリナさんの掌に手を重ね、突撃するご主人様の攻撃を全身で受け止めるが…二人で受け止めるのに精一杯で弾き飛ばすこともでき…ない!?


 「アレン!止まって!!【限界突破】!!」


 「ミリアが怒ってる。今すぐ止まらないと後が怖い」


 受け止めた後に瞬時にミリアさんとカリンさんが両サイドから攻め立てるが、今までとは違い二人の攻撃を片手で受け止めている。


 「しねええええええええええええええええ!!!!」


 雄たけびを上げたご主人様は更に炎の火力を上げてミリアさんとカリンさんを投げ飛ばす。


 「キャ!?」


 「ミリア!!」


 ミリアさんは受け身を取れず、カリンさんがギリギリの所で踏み止まり壁に激突しそうになるミリアさんを助け出す。


 「絶対に許さん!!!!」


 ご主人様が掌に魔力を込めると同時に巨大な炎の球体が私たちの方へと矛先を向けている。


 「早く貴方は逃げて下さい!!」


 今も後ろで戦いを見続けている校長先生に対し強く喋ると一度目を瞑る。


 「……もう無駄だね~。このまま勝てても私一人の力ではない。君たちの力だけで防げるのなら見せて欲しいね~」


 校長先生は何かを無くしたかのように悲し気に瞳を伏せ、観客席の方まで飛んでいく。

 一安心だが…私たちの中の誰かが死ぬ可能性は拭えていない。


 「カリナさん、受け止めて下さい」


 「……アー君!!何してんの!!ミーたんにカーちんを傷つけて自暴自棄になってどうするの!!」


 何かを耐えかねる様に一歩、一歩と前に足を出しながら激昂が襲う。


 「カリナさん!?」


 「殺す!!」


 しかし、カリナさんの言葉も届かずご主人様がファイアーボールの二倍に膨れ上がる球体が私たちの方向に放たれた。


 「頭を冷やせ!!【反撃】!!」


 カリナさんの咆哮と同時に手に持つ盾が緑色に染まり、ご主人様の球体を吸い込むように盾へ当たり、弾かれてご主人様の元へと二倍以上の攻撃で返されて爆発が起きた。


 「か、カリナさん…今のは」


 「うちの家系で代々受け継がれてきた【反撃】って能力なんだけど魔法にしか効かないからあんまり使い道が無かったけど今回は使えるかもね」


 悪戯っ子の様な笑みを浮かべるが…今のご主人様相手にならその能力はとんでもない力を発揮する。


 「今よ!!二人とも攻撃しなさい!!」


 少し離れた所でサーニャさんの指示が聞こえると同時に水魔法がご主人様へと降り注ぐ。

 次々と襲い掛かる相性の悪い魔法で炎が消えれば……、


 「そう都合よくはいきませんか……」


 水魔法が徐々にご主人様の元に辿り着くよりも先に蒸発し、煙がもくもくと籠りながらも合間に炎の渦が見えてくる。


 「……あ、あれは流石に私の【反撃】でも無理…かも」


 更に火力を上げたご主人様は既に人の域を完全に超えた炎を噴出させる。


 「これが……暴走」


 セルシィさんが喋っていた言葉の意味を私はようやく理解出来たかもしれない。


 「アアアアアアアアアアアアア!!」


 能力とは神が授けた恩恵、そしてlevel3からは人間を超えた超人の域へ辿り着く。

 まさに――――正真正銘の人間を超えた超人が姿を現した。

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