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入学

 「いやー、話が長いな」


 「そうだよ!何であんなに長いの!凄い疲れたー」


 今日から学園へ入学したが、入学式と言うのは異世界にも存在し、校長先生と呼ばれる緑色のロングヘアの美青年が挨拶をしていた。

 話が長くて苦労したが、ようやく俺達も学園に入れたのだ!


 「アレンったら今朝から機嫌が良いけどどうしたの?」


 「学園に入れることが嬉しくてな。ずっと入りたかったし」


 前世の頃に行けれなかった学園に入れたのだ。俺はここにいる全員で学園生活が遅れるだけで幸せだなぁ。


 「ご主人様が機嫌が良くてファインも嬉しいですけど…新入生挨拶をファインがしたのは納得出来てません!」


 ファインだけが不満たらたらな様子で頬を膨らませている。

 それは、各学科の新入生挨拶だ。

 剣術科はミリア、魔術科はサーニャ、冒険者科からはファインが選ばれのだ。

 当然と言えば当然の帰結だ。


 俺とファインで入試を行い、ファインが九体の魔物を瞬殺したのだから何も不思議はないが、ファインにとっては俺ではなく自分が選ばれたことに大層不満を持たれているようだ。


 「まあまあ、俺は目立ちたくないし今日は落ち着いて一日目のカリキュラムを終わろうよ」


 「初日は皆で一緒だもんね。最初は魔術の基礎で、次に剣術基礎、最後に魔物との戦い方だって」


 ミリアが入学して手渡されたパンフレットを見ながら今後の予定を教えてくれるが、今日は確か…、


 「後、剣術の基礎で中央都市の一人の剣聖が来るんだって!凄いよね!」


 ミリアが興奮し、目を輝かせているが気持ちは分からないでもない。

 ミリア以外の剣聖とは誰なのか、見たことも無いので興味はあるし午後から分かるのだから期待して待っておこう。


 「魔術にも大天魔導士ぐらい来て欲しいんだけど」


 「校長先生が大天魔導士らしいし何時か授業でもしてくれると思うよ」


 初めは学園に居ても得る物はないのかと落胆しそうになったが、剣聖と大天魔導士などを呼ぶとなれば期待値は高まっていく。

 ウォルさんの話ではこの学園内に化物染みた人も居るらしいし、どんな奴なのかは楽しみに取っておこう。


 まずは魔術の基礎だ。


 ◇


 「――――と言う事で、全ての生物には魔力が微力ながらも確実に備わっているのです。魔力とは魔法を使う事のみならず生命の源でもあるのを覚えておいてください」


 俺達は四人で席に付き、今日は暇だから付いて行くと言ったタマが俺の服の中で話を聞いている。

 ……だが、大変興味深い気がする。


 「この学園は意外と最先端の話をしている気がするにゃ」


 「俺も思った」


 「アレーン、暇だよー。剣を振ろうよ」


 一人だけ全く興味を示さずこっそり剣を握っているミリアが机に伏せながらだらけ切った表情で訴えてくる。


 「お昼からは剣も触れるんだから我慢して」


 「無理だよー。今すぐ剣を振りたい」


 一応、周囲へ配慮しているのか小声で話しかけてくるが、俺は今の話に大変興味があるので静かに待って欲しい。


 「一つだけ聞きたいことがあるわ」


 俺達を他所に一番熱心に聞いていたサーニャが手を挙げて立ち上がる。


 「生徒サーニャですね。何でも質問を受け付けましょう」


 「人の源と魔力が繋がってるという根拠を知りたいわ。どうして、そう思えるの?」


 ……確かにその通りだ。

 適当に凄いなぐらいの感想しか思い浮かばなかったが、サーニャの言う通り根拠がないと今の話は通らない。

 教師は満面の笑みを浮かべ、手を合わせる。


 「生徒サーニャ、大変良い質問です。この中で魔力枯渇を味わったことのある者は手を挙げて下さい」


 教師の言葉に俺も手を挙げ周囲を見ると殆どの人が手を挙げている。

 やはり、誰もが一度は通る道なのか。


 「魔力枯渇が起きると気絶、もしくは体調が悪くなります。ここまでは、当然の知識として認識出来ますね?」


 「ええ。分かるわ」


 俺も魔力枯渇で体に力は入らない貧血気味になっていた事も有り、自分の魔力で使える範囲はきちんと把握している。


 「では、魔力と生物の源に魔力が関係ない、全く別の機関だと考えれば不思議な話だと思いませんか?」


 「……確かにその通りだな」


 今の教師の一言で何が言いたいのか、どうして魔力が生命の源なのかの辻褄が全て合うのだ。

 教えるのも上手だし……ん?


 一言だけポツリと呟いたのだが、サーニャが俺の方をジッと見つめている。


 「どうしたの?」


 「あ、アレン、今の説明だけで全部理解出来たの?」


 「まあ、何となくだけど」


 「では、生徒アレン。説明して頂いても宜しいですか?」


 サーニャと俺だけの会話かと思いきや教師の人も試すような視線を俺に向け、生徒全員の視線も集めてしまった。

 この程度なら良いか。


 「魔力と生命が関係ないなら体に異変が起きるのはおかしい。全く別の機関なら体調が悪くなることも無いし、体調不良も起きない。体に異変が起こるのは生命と魔力が密接した関係になる証だからね」


 「その通りです。生徒アレンに称賛の拍手を」


 教師の一言に全員が称賛の拍手を送られるが、何だか気恥ずかしい様な。


 「アレンが何を言ってるのか私にはさっぱりだよ」


 「ご主人様、流石です」


 「ふん。まあ、私の従者としては中々やるわね」


 全員から称賛を送られるが凄い照れ臭い!

 もう辞めて!褒めなくて良いから!


 「因みにあちしも直ぐに分かったにゃ」


 「そこで張り合わなくて良いから」


 タマだけが対抗心を燃やしているが、誰も勝負などしていない。


 「生徒アレンの言葉で魔力と生命に密接な状態となっていることが分かりました。これから魔力枯渇による危険性と、現在、魔力を提供する治療の最先端の技術を説明します」


 魔術教師の話を聞き、今度は剣術の授業が始まる。

 ――――剣聖の姿を拝んで見ようか。


 ◇◇

 ?????


 「不思議だね~」


 自分の席に座り、椅子をクルクルと回しながら思考を張り巡らせるが、何時になっても回答が浮かばない。


 「そうだなあ。何処かで情報を探し回っている奴らがいるという情報だけがあるのに何処の誰かが全く分からん。――――校長、どうする?」


「そうだね~。この時期だから入学者か、もしくはその近辺の者だという事だけは分かってるんだけどね~。いまいち、情報をかく乱する術も長けているようだ」


 「悪者なら俺がぶっ飛ばす準備は出来てるんだが」


 目の前の男は一人、闘争心をメラメラと燃え盛り、今にも暴れそうな雰囲気を出している。

 しかし、私は犯人が悪人ではないと思っている。

 この屋敷には悪事は無いが――――学校外には知られてはいけない極秘情報は存在するのだ。


 「少し状況を見ながら監視を続けてくれるかい?」


 「ああ。見つけて気合が入ってない奴かやる気が無けりゃあしばいとくぜ」


 「ほどほどに頼むよ~」


 快晴の空を窓から眺め、今も尚情報を集めようとしている誰かに――――同情してしまう。


 「――――知らなくて良いこともこの世には沢山あるという事を痛感しないのが一番だけどね~」

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