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ワールドリメイク☆ダイスロール!  作者: 紫 和春


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第26話 討伐

 早速洞窟の中に侵入した相賀たちは、慎重に歩みを進める。

 内部の明かりは、ルナが所持していたランプによって確保した。

 洞窟内は下方向に向かって坂道を下るように形成されている。

 そのため、足元に気を付けながら進む。


「村人に聞いた話じゃ、そこまで大きな洞窟ではないらしいんだけどね」

「そうなんですね」

「とにかく、急な坂道にならない限りは問題ないとは思うんですけど……」

「あ!マサヤさん、待ってください」

「何かありました?」

「ここ、ランプで照らしてください」


 相賀は指示通りに、ランプを持ってくる。


「ゴブリンの足跡でもありました?」

「いえ、珍しい鉱物かなと思ったんですけど、ただの粘土みたいですね」


 相賀は思わずずっこけそうになった。


「今はゴブリンに集中してください。こっちも仕事で来ているんです」

「むー、分かりましたよ」


 そのまま慎重に進んでいく。

 入口の光が直接届かないような場所になると、道は平坦になる。


「この先からは気を付けましょう」


 見た所、すぐ脇には道が何本かに分かれている。

 まずは順番に潰していくほかない。


「まずは右の方から行きましょう。準備はしておいてくださいね」

「分かりました」


 右の方に行くと、そこは食料になると思われる肉が保存されていた。


「ここは問題ないみたいですね」

「ちょっと待ってください」

「また鉱物探しですか?あとにしてください」

「ちぇー。まぁいいでしょう。お楽しみはあとに取っておくのも悪くないですからね」


 そういって、先ほどの分かれ道まで戻ってくる。

 そこで、ある異変に気が付く。

 そこに、木の棒で武装したゴブリンがいたからだ。


「まずいですね。僕たちが入ってきているのが勘付かれてしまったようです」

「えぇ、大変じゃないですか」


 そんな会話を小声を行う。


「とにかく、ここでしばらくおとなしくしていましょう。もしもの場合はバックアップお願いします」

「私も戦闘に加わらないといけないんですか?」

「もちろんです。即席とはいえ、僕たちは今パーティみたいなものなんですから」


 そういうと、ルナの様子が少しおかしくなる。

 どちらかというと、照れているようだ。


「どうかしました?」

「あっ、いえ。私、どうもこういうパーティみたいな概念慣れていなくて……」

「そうなんですか。とにかく、今は静かにしていないと……」


 そういって、相賀たちは奥へと静かに逃げる。

 そのまま数分が経っただろうか。

 どうやらゴブリンがこっちに来ているような音がする。


「これは戦闘は避けられないですね」

「そんなぁ」

「とにかく僕が前衛を担当するんで、ルナさんは後ろから援護できたらお願いします」

「そんな器用なことできませんよ」

「もしもの時は僕は避けますので」


 そういって、相賀はランプをルナに預ける。

 そしてグローブを握りこんだ。

 目前に、松明を持ったゴブリンが出現する。

 そのゴブリンの顔面向けて、全力でパンチを繰り出した。

 すると、見事に命中し、顔面はグチャグチャに変形する。

 一瞬、ゴブリンたちは状況を飲み込めていなかったようであったが、次の瞬間には状況を把握し、相賀に襲い掛かってくる。

 残りの相手は3匹。

 相賀は一歩後ろに下がる。その動きは低重力であることも相まってまるで瞬間移動をしているようだ。

 そのまま最初の攻撃をしてくるゴブリンの攻撃を躱す。

 ゴブリンの攻撃は緩慢で、相賀の運動神経であっても問題なく動けるほどである。

 何度か攻撃を躱したところで、相賀は飛び上がった。

 そのままゴブリンたちの頭の上を超えて行って、後ろに回る。

 着地と同時に、相賀は一番後ろにいたゴブリンを脳天から殴り落とす。

 嫌な音とともに、ゴブリンの頭蓋骨は破壊され、そのまま地面に伏した。

 その様子を見た残りのゴブリンは、思わず後ずさりをしてしまう。

 そこに、ルナの攻撃が入ってくる。


「ファイア・クラウン」


 2匹のゴブリンの体にまとわりつくように、炎が立ち上る。

 そして2匹のゴブリンは、そのまま焼死した。


「助かりました」

「い、いえ!何とかなってよかったです」


 二人はそのまま奥のほうへ進んでいく。

 途中、ゴブリンの寝室のような場所にもあたり、若干苦戦を強いられながら、これを撃破した。

 そして洞窟の一番奥、突き当たりになるところで、目的の場所に到着した。

 目的地には、巨大なゴブリンが一匹鎮座している。


「こいつが女王ゴブリンか……」

「女王ゴブリン、別名ホブゴブリンですね。ゴブリンを束ねるためや、幼体を産むために巨体になったもののことを指しているようです」

「オマエラ……」

「そしてしゃべることもできます」

「ヨソモノ、コロス」


 そういって、女王ゴブリンの影に隠れていた兵隊ゴブリンが出てくる。

 しかし、それはすぐに倒される。

 ルナのポイズン・スピナーが突き刺さったからである。

 そして、相賀が前に出た。


「女王ゴブリン、お前には悪いが、ここで死んでもらう」

「キサマ……」


 そういって、相賀はグローブを握りしめた。

 身体強化の魔石が光り輝き、相賀の体を強化する。

 そして、相賀はそのまま女王ゴブリン目掛けて飛び上がった。

 その巨体故、簡単に避けることもままならない女王ゴブリンは、相賀の攻撃を甘んじて受け入れるしかなかった。

 そのまま女王ゴブリンは頭を砕かれ、命が尽きる。


「終わった……」


 こうして、無事に依頼を終えることができたのだった。

本作を読んでいただきありがとうございます。もしよろしければ下にある評価ポイントを入れてくれると助かります。

また、感想やレビューを書いてもらえると作者の励みになります。

次回も読んでいってください。

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