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出会い

出会い



「次!」

「俺は、。いえ、わたしは、。え...っと、。」

「婦女暴行23件。痴漢行為83件、、、言うだけで吐きそうな外道が、この期に及んで何を私に言おうと言うのだ?

無限地獄で、毎日1000回お前がした事をされるがいい。以上。

あ、そうそう、煩いから、舌は抜いておけ。」

「は。」役人らしき鬼は、恭しく礼を取り、その男を引き摺って行った。

「次。」

「...」現世なら30代そこそこの綺麗な女の人が無言でお辞儀をした。綺麗な、お辞儀だと思った。

「男を、殺した。」

「はい。」

「そして、自殺。」

「はい。」

「生きていても、正当防衛で、恐らく執行猶予がついたろうに。」

「わたしは、人を殺した。」

「ああ。」

「そんなモノは、生きていてはなりません。」

「それで?」

「わたしは、此処で貴方に、地獄に落とされ、罪を償わねばなりません」

「ああ。」

「宜しくお願い致します。お手数をお掛け致します。」又、そのひとは静かに礼をした。

「そうか。良い覚悟だ。では、相応の償いをしてもらおう。」

その言葉を待って、鬼の高官と言うべき様な居住まいの役人が出て来て、彼女を連れ去った。彼女は、一言も発することなく、静かにその場を去った。

それからは、時折発せられる狂声を除いて、粛々とその日の死亡者の裁きが進んでいった。

彼女は、どうしたろう?!

わたしは、閻魔大王さまの膝の上に密かに住う猫。名は、沙弥。

わたしは生まれてすぐ、親を失い、否、違うな。生まれてすぐ、母共々凶暴な子供達の狂気で、嬲り殺された。母猫は、兄弟達と大王さまが、仏様の許におくって下さった。安らかに眠るように、と。

わたしは、怨みが深く、未だ癒える事のない心が暴走してしまわないよう、此処で、留め置かれた。

毎日、終わる事のない悪党の裁きを眺めながら、毒づく。

ーお前が、死ね!殺すぞ!

あ、死んでるんだったーって。


そんな自分が何故此処に居なければならないのか、わからない。

屹度、解った時、わたしの心も癒えたと言えるのだと思う。

大王さまは、ストレスは溜まらないのかと、毎日思う。

流石、地獄!!!と、唸る位の、悪党ばかりで、吐き気するくらいの、悪行を聞く。

現世では、恐らく1日すら存在しなかったわたしだが、凄い情報量が、頭にあるのは、大王さまからのご褒美らしい。

そうそう、話を戻すと、大王さまのお姿は、現世では、どんな絵面も鬼の形相の、ブサメンなオッサンだが、まあ、確かに、裁きの場、仕事場では、その(づら)だが、、、実は・・・

・・・

「のう、沙弥、疲れたな。さぁ、食事の前に、入浴して、さっぱりしょう」

大王さまは、浴場に行って仕舞われた。大王さまは、一人暮らし。

左近林座衛門と吉野と言う何とも日本風な名前の鬼の夫婦が、家令と女中頭として大王さまの本宅を切り盛りしている。

左近夫婦は40代で子供はいない。

何でも、現世では、武士の身分だったそうだが、よくわからないが、二人もわたしと同じ様に、自分の死を納得出来ない、と言うか、相手を許せないでいるようだ。

だから、此処に、いる。。。

それから、此処には、琥珀、瑠璃、萌葱と言う3人の女中。

ランデールと言う異国人(笑)の庭師。

兵庫兵衛と言うコック長。

スタンガンと言う弟子。

ハッサンと言う運転手。

利助、利一、利太と言う3人の下男。

そう、実に国際色豊かな鬼の面々なのだ。

皆、それぞれ抱える事情がある。

だから、皆、優しい。

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