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蒼き臨界のストルジア  作者: 夜神 颯冶
そして新世界へ
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       37         

 

それから僕たちは、

延々(えんえん)と船体を転がしながら歩いていた。



じゃなケーブルは切り離し、

船体から出ていた足は収納しゅうのうして、

船体は完全なボールと化していた。



船体の重みを増し海底につくまで沈め、

操作機器コンソールまないよう船体を横にかたむけてから、

ひたすら僕らは船体を転がし海底をすすんだ。



時おり水深が下がるたびに浮く船体を、

そのつど彼女はバルブを回しさらに沈め、

調節ちょうせつして歩き続けた。



重くしすぎれば回りにくいし、

軽くしすぎれば浮いてしまう。



彼女はそのみょうな調整をしながら、

僕らは海底を鉄のボールを転がし歩き続けた。



ただ黙々(もくもく)と作業を続ける彼女を見つめ、

僕はたずねた。



「でも良くこんな方法を思い付いたね」



彼女は当然と言った風に答えた。



『それは彼を知ってればわかる。

 この船体を設計せっけいした人の事を。


 この船体を設計した人はけっしておごらず、

 慢心まんしんせず、あきらめない。


 あらゆる危機に対応してこの船を設計し、

 つくっているはず。


 そうたとえば、

 電気がきれても水深を変えれるように、

 バルブで船体を制御できるように

 設計してるのもそう。


 彼がこの状況をそくしてないとは思わない。

 きっと対応たいおうできるように設計していると思った』



それは、彼に対する絶対の信頼だった。



彼女の記憶。



おそらくは残像ざんぞうの記憶で見た彼を。



それは愛だった。



彼女の安全をなによりも考える彼への、

絶対ぜったい信頼しんらいだと思った。



そこには新参者しんざんものの僕なんかが入り込めない、

たしかなきずながあるのを感じた。


 

 

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