表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼き臨界のストルジア  作者: 夜神 颯冶
失われた楽園
23/37

       23         

 

少女の言葉に、

僕はふっと港町に残して来た婆ちゃんの顔がよぎった。


 

「婆ちゃん無事だと良いけど。

 町の人は逃げびたかな?」



彼女はそんな僕を見つめつぶやく。



『心配?』



「それは心配だよ」



『家族を心配するのは当然。

 でも町の人は浜辺に住み着く害虫よ。

 心配じゃない・・・  』



僕は彼女の言葉の意図いとがわからず、

彼女の真意を探ろうと彼女を見つめた。



彼女は静かに続けた。



『私が浜辺はまべにいたのは、

 はぐれたピーピーとキーキーを助けるため。

 町の人を助けるためじゃない』



そう言った彼女はまるで、

矜持きょうじまとった戦災孤児が、

隠せない原罪(十字架)を背負ってたたずんでいるようで。



その言葉のその先に深い闇がありそうで、


僕は何もな言えず、

ただ彼女の次の言葉を待ち続けた。



『ピーピーのパパとママは・・・

 私のパパとママは、

 町の人達に殺されたのよ・・・ 』



そう言ってから彼女は、

何かに気づいたようにハッと我にかえり、

慌てて窓の外を見てアクアボイジャーをはずした。



ピーピーが何か言いたそうにピーピーと泣いていた。



『ごめんピーピー。

 ピーピーに聞かせるつもりはなかったの。

 ごめんねピーピー 』



そう言って彼女はうつむきすすり泣いていた。



つないだ手が強く強く握りしめられていた。



何かのきずなつなぐように硬く強く。



僕はそんな彼女をうらむ事は出来なかった。



ただそっと彼女が落ち着くまで僕はその姿を見守った。



彼女はうつむいたまま話を続けた。


 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人気ブログランキングへ https://blog.with2.net/link/?2037399 ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ