即断即決
僕の判断は一瞬だった。
ゴミ屑のような僕の、どうでもいい人生の残り時間と、時間停止の魔法。
比べるまでもない。
僕は、悩むことすらなく、即決でNOを選択する。
だって、寿命である。
寿命なのだ。
寿命と引き換えに使う力なんて、間違いなくロクなもんじゃない。
神様から賜った奇跡かと思ったら、悪魔からの誘惑でした。
まぁ大体、魔法って時点でそうだろう。
それに、僕は死ぬのが怖い。
だって、死んだらどうなるかなんて、だれも知らないのだ。
完全な無になるというのならば、それは別に怖くない。
死んだように生きるのも、本当に死んでしまうのも、きっとそんなに変わらないから。
けれど、もし死後にも続きがあるとしたら?
地獄ような何かがあって、今よりずっと酷い環境に落とされるとしたら?
基本マイナス思考な僕は、虐められている時でさえ、一度も自殺を考えたことがない。
だって、死が救いになるなんて、そんな楽観的な考え方はとても出来なかったからだ。
つまり、選択肢がそれであった時点で、僕は魔法を諦めるしかなかったのだ。
さて、くだらないことに随分と時間を使ってしまった。
今日は夜からバイトのある日だ。
とっとと、こんな時間に起きた理由ーー洗濯を片付けて、適当にゲームで時間を潰し、仮眠を取らねば。
そう決意して、僕は寝起きよりも重くなった体を動かすのだった。