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並行世界で何やってんだ、俺  作者: s_stein
第九章 決戦・完結編
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コングラチュレーション

 5年後。

 春の暖かい日差しが復興の進む街に溢(あふ)れるとある日曜日。


 ルイは正装でかしこまりながら、マイクの前で祝辞の挨拶を述べた。

「……といろいろございましたが、その後、新郎は野戦病院で奇跡的に助かりました。これは彼の類い希なる精神と肉体がなせる技でもありますが、加えて新婦の献身的な看病と愛もあったからでございます」


 ここは披露宴会場。


 さきほど教会で式を挙げた新郎新婦が、来賓の祝辞に耳を傾ける。

 披露宴と言っても、数少ない身内と限られた友人だけの極ささやかなものだった。


 新郎は君農茂(きみのも)マモル。

 新婦は君農茂ミキ。

 もう鬼棘(おにとげ)ではないことを公表したので、君農茂の名前になったのだ。

 妹も君農茂マユリに改姓した。


 彼はあの戦いの後、野戦病院にて未来人から装置の修理完了の連絡を受けたが、元の世界に戻ることを断っていた。

「偽の俺については、あんたが責任取れよ」

 そして彼は、この並行世界に残ることを改めて決意したのだった。

「あ、それから」

「まだ何ヨ」

「並行世界を移動する時は、裸にならないようにしてくれ。変態扱いされる」


 マモルの白いタキシードは、借り物の衣装のようで皆の笑いを誘った。

 ミキの白いドレスは、皆の羨望(せんぼう)の的になった。


 一通り祝辞が終わり、歓談となった。

 BGMはミカのピアノ演奏。


 有志による余興が始まった。

 ミイとミルの手品は意外に受けた。

 ルイのセミプロ並のフルート演奏には、誰もが驚いた。

 ミカがこの日のために作曲した新しい歌の披露もあった。

 いや、彼女なら『写譜したの』と言いそうだが。

 素晴らしい演奏と歌に拍手が鳴り止まなかった。

 会場には、拍手をするロマンスグレーの紳士の姿もあった。もちろん、今日は礼服である。


 ミキは、友人の余興に微笑むマモルを横で見つめながら、5年前のことを回想していた。


(私は最後にマモルさんを救うことが出来た。……彼と違って、記憶を保ったまま何回過去へ戻ったのかしら)


 彼女はフフッと笑った。


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