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朗報 3 一一 トルクメイ公国にて



 ミーアのもとへ届いた招待状は、ほかとは少し違っていた。


 小柄だったミーアはたった数年でずいぶん背も伸びて、城を勝手に抜け出して遊びに行くという悪癖も、あの長い長い自己啓発の旅を終えたあとはすっかり治っていた。両親とその執事、何より侍女たちの大きな悩みがいつの間にか解消され、結果的にそれについてもこうそうした形となった。


 あの日、独断で罪人を許したトルクメイ公国の君主ローガン。娘の成長ぶりに気付かされると、まさにレドリー・カーフェイを罰する理由がどこにあろうか・・・と考える今日この頃である。


 南国の陽射しがアーチ型の窓を通して照り付けてくる明るい部屋で、今、その小公女様はクルクルと踊りながらはしゃいでいた。


 この日の朝早くに、思いがけない朗報が届いたからである。


「ねえ見て、ビオラ。私、結婚式に招待されたわ。嬉しいっ。」


 ミーアは、着替えの用意をしてくれている侍女のビオラの背後から、そう声をかけて邪魔をした。


「素晴らしいですわ、お嬢様。ロザナリア王家の結婚式だなんて。」


 手を止めて振り返ったビオラは、それをどういうわけか・・・と不思議に思いながらも相好そうごうを崩し、ミーアが見せびらかしているその招待状の文面にしっかりと目を通して、ぴくり・・・と眉を動かした。


「あら・・・お嬢様、最後までご覧になりまして? お嬢様、ベール持ちを依頼されてますわよ。レッドを驚かせたいので内密に・・・とのことですわ。」


「レッドにも会えるのっ !? リューイにも、シャーナにも、皆に会えるわね!きっとそうだわ!ビオラ、どうしよう、とても嬉しくてじっとしていられないわ!」


 ミーアは、一つにい上げてもらったばかりの長い髪を振り回して、いっそう飛び跳ねながら狂喜乱舞。


 ビオラは、髪を結い直さないといけないわね・・・と思い、やれやれと苦笑混じりにため息をついたのだった。








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