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【新装版】アルタクティス ~ 神の大陸 自覚なき英雄たちの総称 ~   作者: 月河未羽
第12章  アルザスの宝剣  〈 Ⅸ〉  
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上陸、タナイス島


 どこかで流れ落ちている滝の轟音ごうおんが、自然のままに、自由 気儘きままに生い茂っている樹海に響き渡っていた。


 タナイス島に上陸した一行は、すぐに島の中心部にあるイドラキア火山へ向かった。ただし、調子よく・・・というわけにはいかない。そんな鬱蒼うっそうたる、伸び放題に育ちに育った草木に奮闘しながら、どうにか掻き分けて突き進むのである。


 ギルやレッドは、そのうっとうしさにすっかり参っていたが、彼らをわずらわせている理由はそれだけではなかった。


 先頭と、最後を歩く二人の子供だ。


 その一人リューイはというと、なつかしさのあまりか、放っておいたらどんどん遠くへ行ってしまいそうな足取りで、後ろを気にする様子も無く楽しそうにさきさき進む。逆にカイルは、しょっちゅう突然しゃがみ込んでは、ほかの者には雑草にしか見えない草花(薬草)を嬉しそうに眺める始末。


 そのため、ギルとレッドは、リューイには止まるように、カイルにはさっさと歩くよう、交互に言わなければならなかった。


「カイル、もうそのくらいにして早く来い。本来の目的が違ってるだろ。」

 レッドが振り返って言った。やれやれと言わんばかりに。


 一方、やや先の方では、ギルに呼び止められたリューイが、物欲しそうな顔をのけ反らせていた。その視線の先には、よくれてたわわに実った果実がぶら下がっている。

「果物の恵みも凄いな。誰も手をつけてないから、生り放題だ。」

「これらを上手くすれば、宝が無くとも経済効果は得られるだろうがな。」

 ギルが言った。

「しかし、呪われていると言われる真相を究明して解決しなければ、この恵みには近づけないしね。」

 エミリオが悲哀ひあいめいた口調で続けた。

「そういうことなんだよな・・・。」と、ギルもため息。


 次の瞬間、その表情がサッと変わった。


 ギルが横目に左手をにらみつけた時には、エミリオやレッドもすでに気づいている。

 リューイは背をそらすようにして一歩下がっていたが、それは身についた超人的な感覚によるもので、ほとんど無意識だ。


 何かが、すぐ胸の上をかすめ過ぎた。


 カッ・・・!


 リューイが驚いて見ると、そばのヤシの木に細い矢が突き刺さっている・・・!

「何なんだっ。」


「伏せろ!」

 レッドが怒鳴った。









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