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【新装版】アルタクティス ~ 神の大陸 自覚なき英雄たちの総称 ~   作者: 月河未羽
【新装版】 第9章  同盟国ダルアバスの王子 〈 Ⅵ〉【R15】
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追跡 


 


 ヤシの群落ぐんらくの中を夢中で急ぐ四人と、一頭の野獣の姿があった。そのうちの二人はギルとシャナイアで、あとの二人は、今朝、不意に煉瓦れんが小屋をたずねてきた男たちである。その彼らは、ギルがひと目で感じた通り地元の労働者などではなく、さらには全く知らない者同士というわけでもなかった。その証拠に、こうして行動を共にしている。目的が同じだからだ。


「橋まで迷わずに行けてよかったわね。」

 目の前にかかる枝葉えだはを払いのけながら、シャナイアが言った。


「ああ。あとはキースの案内に従って行けばいいからな。それによると、最初予定していた進路の方へ向かったようだ。敵に見つかっていなければいいが。」

 ギルがキースの背中から目をらすことなく答えた。


「それにしても、いつ出発したのかしら。なかなか追いつかないわね。」


「幸い、俺たちがいた場所も橋からそう離れてはいなかったから、もう追いついてもいい頃だと思うが。」


 キースがある時ピタッと立ち止まり、鼻先をやや上に向けて耳をそばだてた。そうかと思うと、いきなり狩りのスピードでまっしぐらに駆け出したのである。


「あ、キース!」

 シャナイアは思わず一歩踏み出したが、とうてい付いていけるはずもなく立ち止まった。


 そしてキースは、案内役を務めていた時とは比べものにならない速さで、瞬く間に消えてしまった。


「キースが何かを聞きつけたらしい。急ごう。」と、ギルもすぐに駆けだした。


 そうして広い道へ出ると間もなく、ギルやシャナイアの耳にも、戦いの騒音そうおんと立て続けに上がる悲鳴が聞こえてきた。











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