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【新装版】アルタクティス ~ 神の大陸 自覚なき英雄たちの総称 ~   作者: 月河未羽
【新装版】 第9章  同盟国ダルアバスの王子 〈 Ⅵ〉【R15】
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天下一の色男


 その夜。


 案の定、ミーアが包帯をしているのを見るなり、レッドは血相を変えた。それ以上刺激しないよう、飛び出したことは伏せつつシャナイアが訳を話したものの、すぐにさとられてしまい、あまりにキツくしかるのでエミリオが思わずかばいに入るほどだった。


 そのレッドとカイルが帰宅したのが、ちょうど夕食時。そのこともあって、シャナイアは、ミーアが怪我をした理由以外のことを、まだ話してはいなかった。夕食を食べ終え、シャナイアがれた珈琲コーヒーを飲みながらゆっくり団欒だんらんできる時間になってようやく、エミリオとレッド、そしてカイルは、また別の問題が起こっていることを知らされたのである。


「王家の晩餐会ばんさんかいに招待されたあ !?」 


 レッドとカイルはあんぐりと口を開けてから、見事に息を合わせてそう言った。だが シャナイアがそれから詳しい説明を加えると、たちまちレッドはに落ちないという顔に。


「一般の者を、そんな簡単に王宮に招待なんてできるものなのか。いくらなんでも。」


「そうね、その場の思いつきだったみたいだし。」

 その時の様子を思い出しながら、シャナイアが言った。


「ギル、もしや君のことに・・・。」と、エミリオ。


 ギルは首を振った。


「いや、俺はその場には居なかった。あいつはその点、俺以上に自由奔放(ほんぽう)だからな。美女がからめばなおさら・・・」そう答えると同時に、ギルはいきなり表情を変えた。「・・・そうか!」


 ディオマルクという男をよく知っておきながら、ギルはなぜ気付かなかったのかとシャナイアの方へ首を向ける。


「君だよ、シャナイア。くそ、奴の魂胆こんたんが読めたぞ。」


「はい?」

 シャナイアは、理解しかねるといった声を上げた。


 ギルの声が急に荒々しくなる。

「あいつの色男ぶりは天下一なんだ。気に入った女がいれば、召使いだろうが娼婦しょうふだろうが、構わず 寝室にまねきやがる。奴め、そうはさせるか。断りに行くぞ。」


「落ち着けよギル、らしくないぜ。今のあんたはただの庶民しょみんなんだぞ。王子の申し出に、今更そんなことできるわけないだろう。」

 レッドは呆れたと言わんばかりにギルを見て、冷静な声で言った。


「俺だって、一度うんって言っちまったもん断るなんて嫌だぜ。」と、リューイ。


「私なら大丈夫よ、そんなに安くないから。」


「相手は王子様だよね・・・。」


 カイルがレッドの耳元でささやき、レッドはやれやれと首を振った。


「あいつ、自分のことはもうどうでもよくなってないか?」

 







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