前へ目次 次へ 275/587 悪夢を見ると 崖《がけ》の上から落ちてくる誰か男の人の背中が見えて、少女は悲鳴を上げながら目を覚ました。 また怖くなって起き上がり、急いで玄関を開けに行く。 玄関戸のすぐ横では、ロバが首を丸めて寝そべり、家の前にある木の上では、フクロウがほうほうと鳴いている。するとそこの木立《こだち》から、夜行性のキツネやイタチ、それに鹿などの動物が次々と姿を現した。 少女はほっと吐息《といき》をついて落ち着くと、「おやすみなさい。」とつぶやいて玄関を閉め、また眠りについた。