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面接試験の話

 高等学校入学試験には、(地方によって違うかも知れないが)面接試験というものがある。

この面接試験はさまざまな子供達が受ける。

とても丁寧な離し方をする子もいれば、わざわざ『タメ口で言いか?』などと訊いてくる子供もいる。

そんな様々な子供がいる中で、特に他から掛け離れていた子供が一人いた。

これは、その子供の面接試験の様子。


                    ☆



  −コンコン−


 静かな空気が流れていた教室に入室の許可を求めるノックが響く。


  「どうぞ。」


 試験官は一言と共に入室の許可を出す。


  −ガラガラ・・・ガラガラ、ピシャッ−


 扉を開け中に入った少年は、扉を閉めると一礼し、椅子の横へ着き再び礼をする。


  「お掛けください。」

  「はい。」


 これは面接試験。

高等学校へ入学する為の一つの関門である。

この学校の面接試験の形式はワンツーマン、つまり一対一である。

 少年は椅子に座った。


  「出身中学、受験番号、名前を教えてください。」

  「●●市立××中学校出身、受験番号■■■■、▲▲▼▼。」


 少年は単刀直入に、生気のこもらない声で言った。


  「では、▼▼君。我が校の志望動機を教えてください。」

  「家から近い高校に通うことで、通学に要する時間を削り、時間を比較的有効に活用するため。」


 少年は感情の無い機械的な声で返答する。


  「比較的とは?」

  「高校に行くこと自体、無駄と思える行為。」

  「成る程・・・なら何故受験を?」

  「高校卒業、大学卒業という肩書きを持つことで、将来の生活を可能な限り楽にするため。」

  「具体的に楽とは?」

  「そこそこの企業に就職できて、生活に困らない程度の金を稼げること。」

 

 試験官は苦虫を噛み潰したような顔をしたが、すぐに気を取り直した様子で次の質問に移った。


  「では、今回のペーパーテストは自信が有りますか?」

  「自身も何もあんな簡単な問題を出来ない奴の気が知れない。」


 全国の受験生が聞いたら卒倒しそうな言葉だった。

試験官は頭を抱えたくなった。

こんなにも、自分の思っていることをズバズバ言う生徒は初めてだった。


  「では、質問を変えましょう。何か趣味はありますか?」

  「一人オセロ。」

  「え?」

  「一人オセロだと言っている。」

  「ああ・・・何故一人で?」

  「どいつもこいつも頭の悪いゴミ屑ばかり・・・相手にならん。」

  「そうですか・・・」


 試験官はやりにくいと感じていた。

試験官の仕事は、定められた質問をして、その返答の様子や返答内容を考慮して点数をつける、というものだが、これはどうした物かと思ったのだ。

返答の様子を見れば、すべて即答、しかもこちらの目を見てはっきり言っている。

これについては点数が高い。

しかし、返答内容が・・・


  「ぇえと・・・少し変わった質問をさせてもらいましょう。人を殺すことについてどう思いますか?」

  「頭の悪い愚かな行為。行えば、例え未遂でも生きていくのに何らかの不利益を被るに決まっているのに、行う理由が俺にはわからない。しかし、それは行動そのものについてのことであり、殺人を行う気持ちは分からないでもない。」

  「ほぅ・・・といいますと?」

  「俺も常々思っていることがある。いっそのこと人類が滅んでしまえばいい。当然俺も含めて。」

  「・・・最後の質問をさせていただきます。これからの高校生活の意義を教えてください。」

  「意義なんて無い。俺が俺のために使える俺の時間を惰性に無意味に消費するだけ。」

  「・・・これにて試験終了です。お疲れ様でした。」


 少年は椅子から立ち上がり一礼し、扉の前で再び礼をした。


  −ガララララ・・・ガララララ、ピシャッ−


 少年が出て行った後、試験官はドッと息を吐いた。

そして一言。


  「ああ・・・疲れた。」

  −コンコン−


 そして扉が叩かれる。


  「どうぞ。」


 気を取り直して次の子供に対する面接試験を始めた。

受験生の方、すいませんでした!!

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