バレンタインゲーム
一話完結式のオムニバス形式で綴って行きます。
ショートショートが嫌いな方はどうぞ素通りを。
そこには六人の少年が集められた。
皆、期待で溢れんばかりの輝かしい表情をしている。
そう、今日はバレンタイン。
集められた少年達は、皆一つもチョコレートを貰っていない。
そんな絶望を感じた放課後、下駄箱の中に手紙が入っていたのだ。
『放課後、一年A組の教室にて手作りのチョコレートをお渡しいたします。
今日、一つのチョコレートも貰っていないあなたへ。
by 某少女』
正直なところ引っかかる内容ではあるが、貰えるなら文句は無い。
少年A「おい!本当に貰えるのかよ!?」
少年B「さあね。どうでもいいでしょ?」
少年C「気の無い振りしてちゃっかり来てるwww」
少年D「我らは同士。」
少年E「いや・・・同類にされたくない・・・」
少年F「何にせよ、楽しみだ・・・」
言ってることは様々だが、思いは一つ。
『バレンタインデーに女の子から手作りチョコを貰いたい!!!』
今、教室の中にいる少年達の想いは一つになったのだ。
ふとその時、教室の入り口の扉がガラリと開く。
入って来たのは三人の女子。
少女A「集まってますね?いいでしょう。」
そのうちの一人が声を出す。
女性らしく高い、しかし決して聞こえの悪くない声。
その容姿も三人とも素晴らしく美しいと言えるだろう。
少年D「ハァハァ何とも・・・リアル女萌え〜」
少年C「新しいジャンルか?」
少年E「今言うべきはその言葉じゃない・・・」
少年F「そうそう。今肝心なのは・・・」
少年B「チョコレートだ!」
少年A「この手紙に嘘偽り無いか?」
そう言って一人の少年が手紙を見せる。
少女B「ええ、本当よ。」
少女C「どうやら本当に六人全員来た様ね?これなら行えるわ。クスクス」
少女A「ではこれより、『バレンタインゲーム』を行います。」
少女が大々的に発表する。
少年C「は?チョコレートをくれるんじゃないの?」
少年F「まさかゲームで勝った人だけなんて言わないよね?」
少年D「私!チョコレートの為なら命を賭けたゲームでも参加します!!」
少年A「冗談じゃないぞ・・・」
少年E「手紙は嘘だったのか?」
少年B「そんなぁ・・・」
少年達は口々に文句を言い始める。
少女C「ご安心ください。」
少女B「ちゃんと全員にチョコレートをお渡しいたします。」
少女A「ゲームと言っても、この箱の中から一人一つ選んで貰うだけですから。」
そう言って少女は、可愛らしく包装してある筆箱大の箱を見せる。
少年F「何だ・・・」
少年B「心配して損したよ・・・」
少年D「ゲームではないのですか・・・」
少年A「安心したぜ。」
少年E「ほんと、安心安心w」
少年C「じゃあ選ばしてくれよ。」
その言葉を聞くと同時に、少女は箱の蓋を開ける。
中には、丁寧に形作られ、綺麗に彩られ、そして美味しそうなチョコレートが六個並んでいた。
少年達「「「「「「 おお!!!!! 」」」」」」
少年達から感嘆の声が漏れる。
少女A「一人一つお選びください。」
少女B「ただし口に入れるのは少し待ってください。」
少女C「全員が選び終わった後、皆で同時に口の中に入れてください。」
そして、少年達はチョコレートを一人一つ選んだ。
少女A「では・・・」
少女B「どうぞ・・・」
少女C「お食べください。」
少女達は手で食べるように勧める。
少年達「「「「「「 せ〜の!! 」」」」」」
パクリ、という音がした気がした。
少年A「うぎゃぁぁああぁあああ!!!なんだこれぇえぇえぇえええ!!!???」
少年B「美味い!!!こんな美味しいチョコレートは久しぶりだ!!!!!」
少年C「うぎゃぁぁああぁあああ!!!なんだこれぇえぇえぇえええ!!!???」
少年D「うぎゃぁぁああぁあああ!!!なんだこれぇえぇえぇえええ!!!???」
少年E「美味い!!!こんな美味しいチョコレートは久しぶりだ!!!!!」
少年F「うぎゃぁぁああぁあああ!!!なんだこれぇえぇえぇえええ!!!???」
感想は真っ二つに分かれた。
ちなみに、AとFが食べたチョコレートにはマヨネーズが、CとDが食べたチョコレートにはケチャップが入っていたのだ。
それらの感想を聞いた少女達は、その場で腹を抱えるほど笑い転げた。
少女A「クックスックスクス・・・こ、こここれにて」
少女B「アハッハッハアアハア・・・バ、バレババババレンタイン」
少女C「アハハハハハwwwww・・・ゲームを終了します。」
これにてバレンタインゲーム終了。
あなたもやってみる?