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みんな知ってた!? オートセーブって簡単に言うとログアウトしたときに自動で状態を保存してくれることを言うんだよ! 紅蓮さんの説明まんまぱくって知ったかぶってみたよ! 正直そう言われても結局どういうことなのか分からなかったけど手動でセーブする必要はなくてそのままゲームをやめていいってことはわかったよ! このゲームいまのところ止められないけどな!
「どお? 運営から返事あったぁ?」
塀に背を預けぼんやり視線を投げながら聞いた俺に、同じく隣に座った紅蓮さんがないと簡潔に答えてくれた。うん。これ本当にどうすればいいんだろう。兄貴とは合流できないしゲームは止められないし。早くログアウト設置してくれないかなあ。
「こうして待っていても時間の無駄だ。とりあえずこの最初のインフォを消しに行こう」
溜息をついた紅蓮さんが意を決したように立ち上がり、そんなに動くの億劫だったんだろうかと見上げながら思った。背も高いですよね、首痛いです。
「一緒にどうだ」
別に埃は付いていないけど紅蓮さんがお尻を叩きながら聞いてきた。そうね、そうかあ。
「おし、一緒に行くぅ」
兄貴も来そうにないし、インフォずっと出っぱなしは微妙だし、なしなし尽くしなのも微妙だし、行くかなあ。
せめて服は手に入れたい。全裸防止だけなんて辛すぎるよ! あとやっぱり魔法使うからには杖とか欲しいな。ローブ……はちょっとおしゃれ道具っぽいから後回しで。
「マップ見てもギルドって書いてないけど、どこか分かんのぉ?」
「街でも最初から開いてるタイプじゃないんだろ。とりあえず行ってみるしかない」
開いてる? ちょっと何言ってるのかよくわからないけど紅蓮さんについていこう。
開いて見たマップは灰色で、街の形らしき囲いの中に四角がいっぱい並んでいるだけだった。恐らくこれが建物なんだろうけど、見つめてみても建物の名前は出てこない。けどなぜか俺のアイコンらしき青の点周辺は灰色がかった水色のマップになっており、プレイヤーたちであろう緑の点がごちゃごちゃ動き回っていた。ちょっと気持ち悪いよこれ。
マップを表示したまま歩くことができるようで、視界の右上、インフォメーションの隣あたりに小さなウィンドウとして浮いている。紅蓮さんの後を追いながらちらちらとそれをみていると、なんと、俺らしき青点が動いていくとその周辺が水色になっていき、さまざまな表示が出てくる。黄色の点はなんだろうか。なんの建物なのかも出てきた。今歩いてきた方は水色のままで、なるほどマップを開けるってこういうことか、と理解しました。ははーん。面白い。まさに踏破するんですね!
「この街の中央にあるらしい。行くぞ」
「ういっす」
どうやって中央にあるのを知ったのかは待機を見たのでわかります。教えてもらったんですね紅蓮さん! 紅蓮さんもあそこから移動してなかった組ですもんね! なんでか笑いが止まらなくなりそうなんですがどうしてでしょうか。
「これギルドに向かったら何が起るのかねぇ」
ギルドに向かおうだけで何をしろっていう指示がない分、そこに着いたら次の指示があるのかそれとも自己判断で適当に動いていいのか。
「さあな。ただ王道からいけばギルドに登録するんだろ」
ふーん。
周囲のキャラクターを開いてみると黄色で表示される名前があり、何かと思ってメニューを開いてみればNPCのようだった。そうか、オンラインゲームでもNPCはいるのか。当然と言えば当然。
そして開かずともその人を見てステータス見たいと思えば開けるらしいことに気付いて、すれ違うプレイヤーを観察する。称号を持っている人はみんな「新参冒険者」となっている。NPCは果物屋の看板娘とかいろいろあるんだけど、まだみんな始めたばっかだから同じなのかな。装備も持ってる人もいれば持っていない人もいる。逆に持ってる人がすげー進めてるってことか。お金……。
「ついた、ここだな」
突然止まった背中にぶつかりそうになり慌てて急ブレーキ。目の前の建物を見上げる紅蓮さんにならい見上げながらマップを見れば、「冒険者ギルドゲーテ支部」と名前が付いていた。この街の名前ゲーテっていうのかな。
でっかいなー。紅蓮さんの身長の四倍くらいある。
「インフォが消えたなぁ」
視界にずっとあったインフォメーションが気の抜ける音を出しながらあっさり消えた。本当に来るだけでよかったらしい、次の指示も出てこない。
「入ってみるか」
うん。そうしてみましょう。立ち止まってるとあの人たちなに? みたいな顔でNPCに見られてるし。リアルだよね!
俺たち以外のプレイヤーもギルドの建物から出たり入ったりしている。間違いではないんだろう。自信満々に建物に入ってく紅蓮さんの後を追った。
「おあぁ」
思わず変な声が出るくらい建物はすごかった。何が凄いって、ホテルのロビーみたいな作りで凄い。カウンターは銀行の豪華版っぽいけど。もっとこう、冒険者っていうくらいだから荒くれ者の集ってそうな酒場をイメージしてましたすみません。まあ外見からして木造ボロボロってことはないけど、それにしたって随分としゃれおつだ。そのくせロビーのソファに座るのは荒くれ者の冒険者って外見のもいるわけで、ちぐはぐな感じが面白い。あ、もちろんかっこいい人とか可愛い人とかもいますよ。
カウンターへ向かう紅蓮さんにきょろきょろしながらついていく。紅蓮さんは特に驚きもないのか、さくさくと歩いていた。これが玄人! なにか違うけど!
「冒険者ギルドへようこそ」
カウンターにつくと綺麗なお姉さんがにっこりと笑った。金髪碧眼だ。王道ながら、いやだからこその安定感。NPCだろうからナンパしても意味ないし、プレイヤーだとしても意味ないけど。
「ご新規ですか?」
俺たちを見るとそう聞いてきて、紅蓮さんがそうだと頷く。なんか銀行の口座でも作りに来た気分でそわそわする。違うけど。
「お二方とも冒険者登録でお間違いございませんか?」
営業スマイルを崩さず書類を出しながら確認するお姉さんに俺も頷くと、紙を渡された。紅蓮さんも受け取ったようで、迷わずペンのような何かで書き込んでいる。え、これ日本語でいいの。っていうか書面も日本語だね。その前に喋ってるの日本語だったわ。何言ってんだろ俺。
覗きこんでたら怒られた。
「あのぉ、これって全部書かなきゃいけないんですか?」
あんまりにも多すぎる項目に書く前からうんざりしそうで聞けば、必須項目以外はいらないそうだ。記入事項が多ければ多いほど身分証明としての機能が高くなっていく、ということらしい。ちなみにその必須項目、性別と名前、だけ。少なすぎじゃないか。その分どれだけ信用のない身分証明になるのやら。ところで身分証明ってことは社員証みたいなのもらえるんですかね。
まあいいや、とペンを受け取り必須項目だけ記入してお姉さんに返した。
「キオ様ですね。登録させていただきます」
「俺のも頼む」
受け取ったお姉さんが機械にガーッと紙を入れると紅蓮さんも書き終わったようだ。二人してガーッ。一見シュレッダーにかけたときのようにするする呑まれていくものだから、気分は微妙だ。本名じゃないとはいえ名前がシュレッダーに。いやシュレッダーじゃないんだけど。
「こちらがギルドカードになります」
そう言って渡されたカードには名前と性別しか書かれておらず、まあそれしか記入してないもんな、と思えば紅蓮さんのもそうだった。どういうこっちゃ、と思えば、お姉さんが機械をカウンターの上に出した。おおおお姉さん! ファンタジーな街並みに対して凄いものだしちゃったんだけど、え、これありなの? そうかありなのか……。ゲームだもんな、ありか。
「こちらにカードをおいれください」
指示に従い紅蓮さんが入れると、ふっつうにカードリーダーのようでピピッという機械音とともにランプが点滅。ただし赤いランプだ。
「少々お待ちください」
お姉さんがそう言って数秒、五秒くらいだろうか。それぐらいすると機械がまたなり、今度は緑のランプがついた。
「登録が完了いたしました。お連れ様もお願いいたします」
え、俺お連れ様っていう認識だったの。
驚きつつカードを入れる。また赤い。ちょっと待つと緑になった。俺のもこれで大丈夫らしい。
「登録が完了いたしました。これより、お二方にはギルドランク試験を受けていただきます。引き継ぎをいたしますので、あちらのカウンターまでお願いいたします」
エレベーター嬢のように掌を上にして示されたほうを見る。と、ぽん、という音とともにインフォが。ちょっとこの音好きになれそうな気がする。
『<クエスト:ギルドランク試験>を受注しました。詳細はクエストリストを参照ください。』
あ、これクエスト扱いなんだ。ところで紅蓮さんも一緒になのかこれ。え、もしかしてこれペアでギルドに登録されたの? そんなことないよね? お二方ってそういう意味じゃないよね? あれ?
「行くぞ」
特に疑問に思うところもないらしく、紅蓮さんは普通にカウンターに向かってしまった。俺はなんだか取り返しのつかないことになっているんじゃないかと不安でいっぱいなんですが。まあそんなこと思ってても素人の俺の思い違いかもしれないので、素直に従うことにします。面倒だからじゃないんだからね! パーティーとかも組んでないし勘違いなのかなって。
「こっちに案内されたんだが」
「承っております。紅蓮様とキオ様ですね。どうぞこちらへ。ご案内させていただきます」
またもエレベーター嬢のように掌を上に、案内しだした。大人しくついていきながら、なんで掌って上に向けるんだろ、とかどうでもいいことを考えてみる。武器がないことを示す? いやそれは違う奴の理由だった気がする。なんの理由だっけ。
お姉さんと紅蓮さんについて廊下を進みながらぼんやり周りを見るが、こっちの方にはあまり人がいなかった。なんでだろう。マップも建物の中のものに切り替わっているけど、緑の点は少ない。あるとしても廊下の途中にあるドアの中だ。彼らも試験をしているんだろうか。
さらにちょっと進んだところのドアの前に止まる。先にはまだ廊下が続いていて、これ全部試験部屋なのかなと困惑。同時にこんなにいるかなあ。違う部屋もあるのかもしれない。
「こちらでございます」
ドアを開けてまでくれるなんて、ここっていったいなんでしたっけ。
中に入っていく紅蓮さんに戸惑いつつついていくと、何にもない四角い部屋だった。なんだこれ、と視線を巡らせる。お姉さんはドアを閉めると、口を開いた。
「こちらで試験を受けていただきます。試験内容は、お二人の得意とする武器を用意いたしますので、そちらを装備していただき召喚されたモンスターを倒すものとなります。クリア条件により冒険者ランクが決まりますが、今後、依頼の達成状況により変動するものですので、くれぐれも無理はなさらないようお願いいたします」
そういうと振り向き、ドアの横にあったボックスに手を突っ込んだ。
「紅蓮様は大剣とのことでしたが、キオ様はいかがなさいますか」
取り出したのはシンプルな、まさに大剣というような大きなもので、それを紅蓮さんに差し出した。紅蓮さんは特に躊躇うこともせず受け取り、お姉さんの言葉に俺を見る。
「えーっとぉ、一応魔法を使えるんですが、何か借りておいた方がいいでしょうか?」
「はい。魔法の場合魔力が切れたところで試験も終了となってしまいますので、お二人で受ける場合は武器の装備をお勧めいたします」
あ、そうか、MPとか考えてなかったわ。レベル1だしどう考えても枯渇するよね。
「じゃあ、うーん、あー、でもいいです。一緒に受けるなら紅蓮さんに攻撃当たっちゃいそうだしぃ」
必中とはいえ紅蓮さんは近接なわけで、巻き添えを食らう可能性はあるだろう。そういうわけでスキルをとっていない武器の使用は危ないかもしれない。ところでやっぱり一緒に受けるんですか。
「個別で受けていいんだが」
紅蓮さんが今更気付いたようにお姉さんにそう言って、お姉さんはかしこまりましたと頷いた。なにが変わるのかはよくわからないけど、ならやっぱり何か借りたいです!
「では試験を始めます」
あ、さっきいらないって言ったのが有効っぽい。すみませんちょっと時間くれませんか。
何故、先に俺だし。
とりあえずスキルのウィンドウをセットしておくことにした。攻撃手段が火魔法しかないので、それを選択。武器パレットに武器なしでスキルだけがセットされるみたいだ。今覚えている魔法はファイヤーボールだけでした。これで一体どうしろと……。魔法使いの武器ってことはやっぱり杖だよね。それかりたら少しは威力上がったりしたのかな。
ええい、もはや後の祭り!
お姉さんが何かを唱えると魔方陣が浮かび上がり、そこから兎が出てきた。
兎だ。
「えぇ……これを倒すんですか?」
余裕そうなんだけど。
戸惑いながら見るとお姉さんは営業スマイルのままはいと頷いた。そうですか、兎ですか。ファイヤーボールといえど一撃で死にそうな気がするんだけどそんなことないのかな。
鼻をひくつかせじっとこちらを見る兎。思わずたじろいでしまう。つぶらな瞳が攻撃しないで、とうるんでいるように見えてしまうのは、心境のせいだと思うので無視したいと思います。
「ファイヤーボール」
恐る恐る唱えてみると、宙に文字通り火の玉が現れ、驚くべき速度でうさぎに向かっていった。それをみて半ば終わったと確信したのだが、
「まじかぁ!」
兎がバックステップを踏み、必中のおかげか追尾したファイヤーボールも前足に当たって消えた。右の前足がこんがりしているように見えるがうさぎはまだまだ動けるようで、リズムよくステップを踏んでいる。攻撃態勢に入ったと見ていいんだろうか。逃げていい?
「まって、まってまってまってぇ!」
焦りながら徐々に迫ってくるうさぎに後ずさる。兎のキックはやばいって前にネットで見た。レベル1のHPじゃ死ぬ気がする。
「ファイヤーボール! ファイヤーボール! ファイヤーボールぅ!」
三連発すると一発目を避けた方に二発目が、それをさらに避けようとしたところバランスを崩し、三発目が胴体に命中した。これは行けたのでは、と期待してみると、兎のHPバーに今更気付く。ちょっと余裕なかったもんで、気付きませんでしたお恥ずかしい。でもバーは半分も減っていなかった。
うそでしょ。おいおいおいステどうなってんの魔力20ってもしかしてMP量だけか反映されるの? そんな馬鹿な。
焦りつつふらついているところもう一発撃ち込み距離を取ると、うさぎに変化が現れた。赤いHPバーの上に火のマークがついたのだ。
「あのぉ、これって」
よそ見すると一瞬で死ぬ可能性もあるので兎から目を離さず聞くと、お姉さんが説明してくれた。
「現在火傷になっているようです。火傷は定期的にダメージを与える状態異常です」
なんだそれ勝てる気がする! それってこのまま逃げ続けてたら行けるってことじゃないの? そうなんじゃないの?
確かになにも攻撃していないのにたまに仰け反る。HPバーもわずかだが減るようだった。でも仰け反っていない時の移動速度が半端じゃない兎ってこんな足早いのか!
「まっ、たぁっ! くそぉ!」
もの凄いスピードで近づいてくると、良く見ると頭に生えていた角を前に突き出し、突進してきた。ギリッギリでなんとか避けて、転ぶようにそのまま前にでんぐり返し。ほんとビビりましたこわい。あれ刺さるの? もしかして刺さる?
数秒ごとに仰け反るがそんなものなんのハンデにもならない速度で兎が走ってくる。俺死ぬ。これ死ぬ! 無理だってえええええ!
「ギブアップってないですかぁ!?」
「その場合ギブアップで1ランク下がりますがよろしいですか?」
「よろしいですぅ!」
必死に走りながら頷くと、お姉さんはかしこまりましたと兎を捕まえた。バリアのようなものが兎を覆い、俺の試験は終了したらしい。本当に死ぬかと思った。
首を伝った感触にゲームの中でも汗ってかくのか、と脱力しながら捕えられた兎を見る。兎は若干充血した鋭い眼つきでこちらをにらんだまま何度も体当たりをしているが、バリアはびくともしないようだった。お姉さんのレベルが怖い。
「では、紅蓮様の試験に移らせていただきます」
お姉さんは兎の入ったままのバリアを持ち上げるとそう言い、紅蓮さんが構えるとまた兎を召還した。
またしても開戦はつぶらな瞳攻撃からのようである。じっと揺れる瞳で紅蓮さんを見つめる兎だが、紅蓮さんの表情は変わらない。と、紅蓮さんが大きく一歩踏み出した。構えていた大剣を横に滑らせるように薙ぎ、兎を狙う。兎は俺の時と同じようにバックステップで逃げようとして、距離が足らず首を飛ばされた。
「ちょっと待ってぇ、あっけなさすぎんだけどぉ。ねえ俺、俺ぇ、えええ……」
なんだこの格差。得物の違い? 違う、格闘センスの違いだ! あ、今俺の心が折れた。
紅蓮さんの勝ち誇ったような、あ、もうさんとかいらないから。こんなイケメンもうどうでもいいから。そもそも紅蓮さんって言いにくいんだよ! 八つ当たりですけど何か!
「試験終了になります。お二方ともお疲れさまでした」
そう言うとお姉さんが二つに分かれた兎をまたバリアで覆う。持ち上げると、案内いたします、と元来た道を戻った。
「それでは査定に入らせていただきますので、こちらで少々お待ちください」
最初のカウンターの前に案内され、お姉さんが兎を持ったまま去っていく。査定ってあの兎の状態で測るのかなもしかして。
「ちょい紅蓮」
「なんだ?」
カウンター前のソファに二人して座り、声をかける。きょとんとした様子の紅蓮に少しイラッとしたがそれは置いておく。
「さっきのってぇやっぱり大剣のリーチ勝ちぃ?」
「ああ、まあそれもあるが、お前が先に戦ってたからな。避けるのはバックステップだってわかったし、少し深めに踏み込めば届くかと思って」
なん、だと。俺が情報を提供してしまったというのか。くそ悔しい。
はーあそうですかー、とやさぐれて返事をし、会話が終わった。お姉さんを待つこの時間が凄く居心地悪い。そもそもさっき会ったばっかりなんですけどね、彼とは。なに普通に会話してたんだろ。無言になればそりゃ居心地も悪いわな。
そう言えばさっきの兎経験値どれくらいなんだろ。俺は倒せなかったから多分経験値入ってないけど、紅蓮は入ってるよな。
気になってそのまま聞けば、56だったそうだ。比較対象がいないから高いのか低いのかわからない。俺のステ見る限りレベルアップには200必要だし、少ないのか? でも四匹倒したらレベルアップって考えると高いのかも? よくわからんな。レベル1ってそんなもんだったような気もするし。
そのまま少し待っていると、カウンターのお姉さんに呼ばれた。ほいほい呼ばれていけば、カードを出してくれと言われる。大人しく出すとお姉さんはさっき使った機械に差し込み、すぐに抜く。
「こちらが紅蓮様のギルドカードになります。ランクはCとなりました。本日より、ギルド公認冒険者となります。活躍、貢献を願っております」
紅蓮のカードが黄土色になった! という言い方をすると微妙だ。ちょっとメタリックなあたり、ランクたかそう。Cってどれくらいなんだろう。
「こちらがキオ様のギルドカードになります。ランクはFとなりました。本日より、ギルド公認冒険者となります。活躍、貢献を願っております」
セリフ決まってるのね。というかFってどんぐらいなんだろ。紅蓮の3個下かぁ。とりあえず緑のカードなのは初心者っぽくていいと思います。
お、
『<クエスト:ギルドランク試験>を達成しました。報酬:経験値100 100ミリー』
『条件をクリア<称号:新参冒険者>を獲得しました』
おおおおお! テンションあがったぞ! ミリーってなんだろ、お金かな。それに経験値だよ経験値。どっちもテンションあがっちゃうね! どれくらいの価値なのか分からないけどとりあえずこのお金で初人者の杖みたいなのくらいは買えたりするんじゃないの?
ここに来る途中いた人たちもここでこの称号貰ったのかな。いやはや、いよいよって感じがワクワクする!
「もうギルドに用事はなさそうだし、出るか」
「了解ーぃ!」
読んでくださりありがとうございます。
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名前 キオ
種族 人間(魔人)
Lv 1
筋力値 10
魔力値 20
防御力 1
幸運値 1
器用値 1
敏捷値 1
ボーナスポイント 0
装備 なし
スキル 魔力回復(微)
魔法 lv.1
火魔法 lv.1
癒魔法 lv.1
偽装 lv.1
必中 lv.1
称号 新参冒険者(New!)