第21話
ケルベロスを倒したあと。
熱気の残る地面を踏みしめながら、
ユウとギンジは城へと歩いていた。
◆
しばらく進む。
やがて――
巨大な城門が視界に入る。
黒く、重く、圧迫するような存在感。
「いますね」
ユウが静かに言う。
「ああ」
ギンジも短く返す。
迷いはない。
◆
ギィ……
重い音を立てて、
扉を押し開ける。
◆
中。
正面には、
上へと続く大階段。
その両端――
整然と並ぶ影。
魔族の執事たち。
全員が、
腰に剣を携えている。
微動だにしない。
だが――
「……」
ギンジの目が細くなる。
(できるな……)
(全員、Sランク上位ってとこか……)
◆
「ようこそ、おいでくださいました」
声。
視線を上げる。
階段の踊り場。
一人の男が立っていた。
端正な佇まい。
無駄のない所作。
「執事長、“バルツ”と申します」
深く、綺麗なお辞儀。
◆
「では……」
ゆっくりと頭を上げる。
そのまま――
指を鳴らす。
パチン。
◆
一斉に。
執事たちの視線がこちらへ向く。
同時に――
殺気。
空気が、張り詰める。
バルツが微笑む。
「消えてもらいます」
◆
――抜剣。
執事たちが一斉に踏み込む。
◆
「ギンジさん……」
ユウが口角をあげながらギンジを見る。
「よーいどん」
「てめぇ」
ギンジがニヤリと笑う。
◆戦闘開始◆
ユウは――剣を抜かない。
身体強化、最低限の攻撃魔法。
それだけで、
執事たちを捌いていく。
殴り、避け、崩し、放つ。
無駄がない。
◆
一方、ギンジ。
刀に魔力を流す。
刃が――赤く染まる。
流れるように振るう。
一太刀ごとに、
一人、また一人と崩れ落ちる。
冷静、正確、そして速い。
◆
数人倒したところで、
ユウが視線を上げ、剣に手をかける。
「あの執事長――」
「俺がいきますね」
「ああ、まかせた」
――抜剣。
同時に、
ユウの姿が消える。
次の瞬間には、
バルツの懐。
キンッ!!
細剣が閃く。
ユウの一撃を受け止める。
「……」
ユウの口元がわずかに緩む。
(おっ……やるなぁ)
◆
「さようなら」
バルツの細剣が動く。
――速い。
いや、速すぎる。
斬撃!!斬撃!!斬撃!!
嵐のような連撃。
だが――
当たらない。かすりもしない。
ユウは、
すべてを躱していた。
やがて。
斬撃が止む。
◆
「……」
ユウは、
剣を――納める。
そのまま、
背を向ける。
何事もなかったかのように、
ギンジの方へ階段を降りていく。
「……撤退ですか?」
バルツが口を開く。
余裕の笑み。
「賢い判断で――」
◆その瞬間◆
視界が――ズレた。
(……?)
違和感。理解が追いつかない。
(まさか……)
(斬られ……た?)
(いつだ……?)
(何も……見えなか――)
◆ゴトッ◆
首が落ち、身体が遅れて崩れた。
血が、遅れて噴き出す。
◆その頃◆
「終わりだな」
ギンジが最後の一人を斬り伏せていた。
刀を払い、血が散る。
ユウが隣に並ぶ。
「加勢は必要なかったですね」
二人、わずかに笑う。
スッとギンジが前を見る。
「いくぞ」
「はい」
視線の先の階段の上。
その奥――
◆玉座の間◆
二人は、迷いなく歩き出した。
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