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第4話 解放

 <何をしたい?>


 えっ?


 <何をしたいかと聞いたのじゃ? 聞こえておるのじゃろう?>


 誰だ?


 <誰でもよいであろう。今まさに死の淵にあって、抗う姿に感銘を受けた者じゃ。そなたはどうしたいのじゃ?>


 そんなの決まってるだろ?


「俺はミアを……この子を絶対に助けるんだ!」


 <まぶしいのぅ……しかし、それも善きかな。ならば力を示してみよ>


 あぁ、やってやるぞ。

 そもそもそうしなきゃ、ミアを助けられないなら、そうするしかない。


 何を腑抜けていたんだ俺は。

 逃げるなんて無理だ。


 あの巨体であの俊敏さ。

 絶対に逃げられない。


 だったら倒すしかないだろう?


 簡単な話だったんだ。


 <いいぞ。良い覚悟じゃ。さすれば心に唱えよ。貴様には力がある。まだまだ底がある。それを使って切り抜けて見せるのじゃ>


 言われなくてもやってやる!


 いくぞぉぉぉおおお!!!!!!



 <善き善き。我の理念とは異なるが、変わらぬ世界を変える一興。もし貴様があれを退けたなら力を貸してやろう>


 退けたらかよ。

 退けた後にもまだ何か敵がいるっていうのか?


 <何を言っておる。そこな娘を救いたいのだろう? 我の力でなら、助けられるかもしれぬぞ?>


 それを早く言ってくれ。

 絶対に倒すぜ!


 でも、かもしれぬなのかよ?


 <助力はする。貴様が抗う間にそこな娘の状態を診ておいてやろう>


 わかった。

 頼む。


 <善きことじゃが、素直じゃな>


 今の俺には力がない。手段もないんだ。

 その可能性をくれるなら縋るまでだ。


 <ふむ。いさぎよいのぅ>


 とりあえず、あれを倒す!


 <その粋じゃ!>



『ホウ……コノ時代ニ力ノ"解放"ヲ使エルモノガイルトハナ。聖剣ヲ追ッテキタ甲斐ガアッタ。貴様モ餌トシテヤロウ!』

「ふざけんなぁぁぁああぁぁぁああああ!!!!!!」


 俺は頭が思考するままに魔力を使い、悪魔に殴りかかった。

 自分を信じろ。

 不思議な声、自らの力。これはきっと倒せる。そう思える。


『グゥ……ヤルデハナイカ』

 その証拠に、悪魔に押し負けていない。

 俺のどこにそんな力があったのかはわからないが、ずっとスキル欄にあったのに使えなかったスキルがこの土壇場で効果を発揮しているのを感じる。


 運命とかに身をゆだねるのは嫌いだ。なにせ孤児になってみじめな暮らしをしてきたのも運命ってことになるからな。

 でもミアと出会ったこと。

 今まさに悪魔と戦えていること。


 これは俺の定め。

 俺の戦いだ。


 そこに折れて落ちた聖剣が目に入る。

 ミアの命を使って呼び出された剣だ。憎しみしか感じない……はずなのになんだよ。

 俺の頭はあれを持てと言っている。


 なんでだよ!?


 あんなのに頼る気はないぜ?


『グルルルルォォォオオォォオオオオオオ』

「くっ」

 しかし、悪魔が力を貯めていたのか、放たれた魔法は強力なもので、俺は押し返され、地面に打ち付けられる。


 わかったよ。聖剣だろうが何だろうが使ってやる。

 ミアを助けることこそが大事だからな!


 そうして拾った聖剣は一瞬光り輝いたと思ったら、俺の腕に吸い込まれて行った。


 吸収しただと?

 途端に沸いて来る力。


 それによって、悪魔の魔法が見えるようになった。


 まるで風のように襲ってきているそれを避けられるようになった。




「助力します!」

『ナニィ!』

 そこにさらに聖属性の強力な魔法が飛来し、悪魔に着弾した。


 振り返ると、神官の女の人……ずっとクソ勇者に異を唱えていた人だった。


 ありがたい。

 吹っ飛ばされたまま地面に頭だけ埋まってるクソ勇者とは大違いだ。


『グヌヌヌヌヌ』

 その魔法を受けて明らかに悪魔が苦しがっている。


『フン。モウヨイ。力ハ分カッタ。餌ニスルノハヤメ、単純二踏ミツブシテクレルワ!』

「させません。ホーリーブラスト!」

「うぉぉぉおおおぉぉおおおお!!!!!!!」

 大きく足を振り上げた悪魔は、大量の邪悪な魔力を振りまいているが、明らかにチャンスだ。

 俺達は可能な限りの力を振り絞った攻撃を当てる。


『グルルルルォォォオオォォオオオオオオ!』

「セイントウォール! 今です! 一撃を!!!」


「俺の力。全部使っていい。倒せばあの声が協力してくれる。あの悪魔を倒せる攻撃だ! 力を全部ひねり出せ!」

 俺は感じる力を全て右こぶしに集める。


 <行け! 躊躇するな! 何があっても当てろ!>


 わかってるさ!


『サセヌ! サセヌゾ!!!!』

「これで! 終わりだぁぁぁああぁぁああぁあぁああああああ!!!!!!!」

 降ってくる巨大な足と魔力。

 だがそんなもので俺は止まらない。


 俺はこの力だけをぶつける。

 絶対に。

 絶対に倒す!


 いっけぇぇぇええぇええええええええ!!!!!!!!


『グルルルルォォォオオォォオオオオオオ!!!!???? ……』


「あぁ!!!???」

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