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人は見かけによらない 1

「ね・れ・ね・ええええ…」

 

時刻は6時、さっきまで夜の10時だった気がするのだが色々考えてるうちに、オールしてしまった自分に軽く恐怖心すら抱きつつ起き上がる。ちくしょう寝れるわけがねぇ…

 

分かってる…分かってるよ。今日から部活で運動するからちゃんと寝なきゃダメなんだよ…でもな、寝れねぇぜ?

 

「はぁ、朝飯いいや」

 

オカンは今日と明日出張で家にいない、しばらくあの高級レストランのような飯が食えないと思うと、頭がおかしくなりそうだが心配かけなくて済むのでまぁ良しとする。俺は教科書類を鞄に詰め込み、手洗い場へ直行。歯磨きを済ませ夏樹を待つ

 

「ふ〜、覚悟決めっかぁ〜!!」

 

もうここまで来ればあとには引けない、俺はいつも通りのテンションで行く事にした。なんやかんや夏樹や結衣に心配をかけるのが1番辛い、あの2人は笑顔の方がこっちも嬉しい

 

そして、スマホを弄ったりしているとインターホンが鳴らされる。俺は鞄を肩にかけ、ポケットにスマホをしまい外へと出た。さぁ勝負だ

 

「おはよう翔君」

 

「おう、おはよう」

 

玄関の鍵を締め、夏樹に手を引っ張られ学校へと向かう。もはや慣れたものだ

 

「今日から部活だね!」

 

「そうだな、久しぶりに走るからタイム落ちてないか心配だわ」

 

「あはは、大丈夫でしょ。翔君めっちゃ早いし」

 

「そんなことないんだよなぁ〜」

 

朝から笑い合いながら楽しく会話しこんな幸せな日常を送れるなど、前の借金生活ではありえない。1度目の高校生活でも...

 

中学時代、陸上部の大会で何度も優勝し輝いた俺。高校生活でも中学時代のように途中まで輝いていたのだが、最後の最後で気を抜き高2の引退の時期には練習を疎かにしたせいで、全く勝てずに終わった。

2度目はそうはいかないように、練習に真面目に取り組まなければ…まぁ、今日で死ぬかもなんだけどね、あっはっはっは

 

 

学校へと到着後いつも通り1時間目、2時間目、3時間目、4時間目と順調にこなし、今は昼休みとなっていた。完全に開き直ったおかげで授業はちゃんと頭に入りとても楽しかった。が、すっげぇ眠い。睡眠剤でも飲んだんじゃねぇかってレベルで眠い

 

「あ、そういや弁当ねぇんだ…」

 

「なら今日も私のあげるね」

 

母は出張、すなわち弁当なし。なんてこった死活問題じゃねぇか!母よ早く帰ってくるのだ…息子は母の飯が食べたいぞ…

 

「おう、ありがとう。悪いな」

 

まぁ、夏樹の弁当もおいしいからいいんだけどな。でも、夏樹に少し悪いな…

 

机を向かい合わせにくっつけ、夏樹が弁当を開く。と、同時に荒々しく開かれる教室の扉

 

「翔!!」

 

声の主は結衣…まずいなぁ。やばいなぁ。部活以前の問題じゃねぇか、想定外すぎてどうしようもねぇぞ

 

「弁当一緒に食べよ…は?夏樹?…」

 

「…結衣」

 

結衣と夏樹の目が合いお互い硬直状態になる。なんだこの状況、まるで映画のワンシーンのようだ

なんて言うてる場合じゃなかった!

 

やがて2人の間にバチバチと火花が走るという、映画あるあるの様な出来事が起こるんじゃないか、というほど睨み合いを始める。嫌な雰囲気を察知した他の生徒たちは巻き込まれまいと、他のクラスや食堂へ移動を開始していた

 

「何しに来たの?」

 

「弁当食いに来たんだよ」

 

「ごっめんねぇ、翔君はお弁当忘れちゃって私の食べるんだあ〜」

 

「はぁぁん?なら私のあげるから関係ないし!」

 

「なんですって!?」

 

「文句あんのかぁ!?」

 

「「翔(君)はどっちがいい!?」」

 

うん、知ってた。絶対に来るなぁと思ってたよ。けど対策立ててないよ…お前らテンプレすぎんだよぉおおお!!

 

「え、えー、え…んーと。すまん!!」

 

俺は教室から走って逃げた。流石にあんな運命の選択はできん!!あんな、生まれ変わるなら男子?女子?って言う選択を遥かに凌駕する選択。生か死か…そう言われていると言っても過言ではない

 

俺は廊下を走り抜け、2階の空き教室で昼を食べていた響と柊の元へと駆け込んだ

 

「お、どーした?なんかおもろいことであったのか?」

 

「翔どした?」

 

「いや、ちょっと結衣と夏樹に殺されかけてな」

 

「あ〜察したわ。リア充かよ」

 

「そんないいもんじゃねぇ。たまったもんじゃねぇっての…」

 

2階は3年生の教室などがあり、空き教室も響と柊が来るまでは3年生が占領していた。では、なぜ今は3年生がいないのかって?そりゃもちろんこの2人喧嘩強いのよ。入学から数日、空き教室で弁当食おうとさまよってた時、3年のヤンキー数人が空き教室占領しててムカついて2人でボコボコにしたらしい。柊が喧嘩バカ強いのは1度目の人生からの付き合いだから知っていたが、響は知らなかったのでその話を聞いた時は正直ビックリした、が、見た目からしてそーだなとすぐ納得出来た

 

「翔弁当忘れたんだろ?俺のやるよ」

 

「柊!!センキュウ!!」

 

「お、そうなのか?俺のもやるよ」

 

あぁ、神は救いをくださったと、思い泣きそうになった。俺は2人の弁当を半分程分けてもらい腹いっぱい食べた。とてもありがたい

 

「そういやお前ら2人部活何にしたんだ?」

 

「俺はボクシング部だ」

 

うん、いかにも響って感じするわ。ほんとに殴り合いとか好きなんだな

 

「俺は帰宅部だ、今放課後忙しいからな」

 

「なるほどな、響はボクシング部か。やるなぁ…ってボクシング部ってなんだよ!?」

 

1度目の高校ではボクシング部なんてなかったぞ、というよりなんでそんな珍しい部活が急に出現してるんだ?響の発言で柊の帰宅部という答えが吹き飛ぶ

 

「そういうお前は?」

 

「陸上部だ」

 

「そーなのか」

 

「翔陸上だけはバカ早いもんな、名前どーりって感じ」

 

中学時代からの付き合いで俺の事をよく知ってる、柊は笑いながらそう言った。だけってなんだ。だけって

 

「うるせぇよ」

 

そんなアホな会話をしばらくは楽しんだ。コレだよこれ、なんか青春って感じするよな

さっきまでも青春と言えば青春だったけどね

 

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