偶然は必然なのでぃす! 1
気が付くと俺は教室に居た、寝起きで状況があまりのみ込めない。が、目を覚ました途端に鼻に走る激痛と同時に後ろに倒され、周りから笑い声が起こる
「へへへ、木下もっと泣けよ面白くねぇな」
目があまり見えないせいで確認はできないが、男の声恐らく同級生だ。なぜいきなり鼻に激痛が走ったのか、なぜ自分が教室にいるのか理解出来ぬまま、体中に走る激痛。複数人に蹴られているような痛み。目に見えない恐怖が襲いかかり発狂しそうになる
「オラァ!!」
そして腹に走る今までで最高の痛み。それのおかげで完全に目が冴え周りが確認できるほどになった。周りを見ると先程から俺を蹴っているであろう男子生徒が3名ほど、それを囲んで女子や男子が笑っていた
「うぁぁぁ!!」
恐怖で頭を抱え、床にうずくまった所で意識が途絶えた
♦
「うおぉ!!」
目が覚めると俺は自宅のベットにいた、時刻は6時。いつも通り学校の日に起きる時間だった。って事はさっきのは夢か?
「ったく、冗談じゃねぇ。なんてたって1度目の…」
夢にしては感覚があり、とてもリアルだった。恐怖心はまだ残っており、中々起き上がれず汗を流していた。そして俺はあの光景に似た出来事を知っている、というより…
「翔〜!ご飯よ!」
思い出そうと記憶を辿るが中々思い出せずに、一旦諦めることにし、オカンのバカうまい飯を食べることにした。美味いものを食べれば忘れるだろ。
俺は昨日と同じ様にリビングへと降りオカンの飯を堪能する。今朝はベーコンエッグトースト、相変わらずレストランのモーニングセット並に美味い
そして、昨日のように制服に着替え、歯磨きをしに手洗い場えと向かう。相変わらず制服を着るのは難しく中々慣れない。歯磨きを終えた後は時間割表を見ながら鞄に教科書を詰める。あ〜、高校生だなぁ…と実感しつつ用意を完全に終える。昨日の様な失敗を犯さないため、弁当をバッチリ鞄に入れ鞄を閉じる…完璧だ
時刻は7時半、時間はまだまだある。俺はベットに腰を下ろし考えることにした。今朝見た夢、あれは間違いなく1度目の俺の高校生活だ。だが、肝心なそうなった理由、蹴っていた人物が誰かが分からない。俺は頭を抱えベットで転がり回った。記憶にない出来事が起こり、記憶にあるはずの事がない。どういうことか全く理解できず、もしかすると夏樹達の記憶はあるはずなのにそれが思い出せないだけじゃ無いのか。等と考え出しいよいよ頭が痛くなる
「やめよう…」
いくら思い出そうとしても思い出せず、俺は一旦この事を考えるのは辞めることにした。そして、昨日の事を思い出す内に重要なことに気づく。今日の昼は結衣と一緒じゃねぇか…
そうだよ!!その事だよ!!正直今はそれが一番気がかり、かつ悩むところだよ!俺は再び頭を抱え、考える。今日の昼も恐らく隣の席の夏樹は間違いなく昼飯に誘ってくるだろう。断れば何が起こるか分かったもんじゃない。だからといって、結衣をドタキャンすると色々とまずい。というよりこれ詰みじゃね?いやまて、結衣はもしかするとまともかもし……んなわけねぇよなぁ!
なんでたって2人もヤンデレが現れるんだ?2度目の人生だから2人ってか、やっかましいわ!!
「翔〜お迎え来たわよー」
そうこうしているうちに、時間は無情にも過ぎ去りお迎え、すなわち夏樹が来る。やべぇ、なんも考えてないノープランだよ
「くっそ、ええいままよ!!」
俺はそういい部屋を飛び出した。外に出ると夏樹はいつも通り可愛らしい顔でスタンバっていた。可愛いよ!!可愛いけどなぁ…
「おはよう翔君」
「おう、おはよう」
「昨日はごめんね…」
「大丈夫だよ、気にすんな」
夏樹は昨日の事をだいぶ気にしていたらしく、シュンとした顔でそう言ってきた。正直確かに気にはしていたが、そこまで俺は気にしていない。正直恥ずかしながら嬉しかった…童貞かって?やかましい!
「うん…」
「よし、じゃあ行くか」
俺は昨日夏樹が俺の手を取ったように夏樹の手を取り、歩み始めた。夏樹の手を取った途端夏樹は笑顔になりいつものテンションを取り戻した
「夏樹、俺部活はやっぱ陸上部に入ることにしたわ」
そう、吹奏楽はやはり才能がないと判断した俺は少しでも、輝ける陸上部にした。やはり、自分の特技が活かせるものの方が、その後を円滑に進めることが出来るような気がしたからだ。それに陸上部の方が圧倒的に楽しい
「…やっぱりかぁ、なら私陸上部のマネージャーやるね!!」
「おう…って、え?」
「翔君中学から早かったもんね。絶対有名な選手になれるよ!私そんな翔君を応援できるようにマネージャーになるね」
「…まじか、そこまでするメリット夏樹にはあるか?」
「頑張る翔君をそばから見れるし走ってる翔君をそばから見れるし、浮気してもすぐわかるようにするためだよ」
「そうか…って浮気!!?」
最初のはまだ何となくわかるが、浮気!!?いや、安定でガチじゃねぇか。顔がマジなんだわ
「へへへ〜じゃあ今日放課後入部届出しにいこーね〜」
夏樹はさっきよりも明るくなり子供のようにスキップをしながら、喜ぶ。可愛い、とても可愛い…まぁ、部活一緒ぐらい全然大丈夫だ。まだまだ許容範囲内。そう自分に言いきかせるしかなかった
♦
そして、学校へと到着。教室へ入室し夏樹と話していると、響、柊も後から遅れてやってくる。昨日の通りだ。今日は火曜日あと今日を含め4日で休みだ。んー、長ぇな。懐かしい感情だ
今日入部届を出すと、明日から部活スタート。帰る時間は6時になり恐らく家に着くのは6時20分ほど。運動部は大体土曜日も部活があるので実質的な休みは日曜日だけだ…きちぃなぁ…。俺が2度目の高校生活の部活を1度目の時と同じにしたのには理由があった。もちろん物事をスムーズに進めることもあるが、どういうことか俺はヤンデレを引きつけるらしい、なので、女だらけの吹奏楽に入るのはだいぶまずい気がするのと、1度目の高校生活の時、俺は陸上部で最後の最後の大会で手を抜いてしまい負けてしまっていた。その記憶がふと昨日の晩頭に浮かび、陸上部に入る事を決心した
だが、1つ誤算がある。そう、夏樹が陸上部のマネージャーになるというのだ。まぁ、別にあまり問題はない…はずだ。俺の記憶が正しければ陸上部の女子は結構少なかったはず。だから女子と喋る機会はおのずと減り夏樹の怒りを買わなくて済むはず。いや済んでくれなくては困る
「あ…」
俺は怖いで思い出した。今日の昼、結衣と食べるんだった…という事を。俺は頭を抱え机に伏した。ぁぁぁあ!!まずいまずいまずい。非常にまずい1から4時間目なんてあっという間に過ぎる…どうすりゃいいんだ
そうこうしているうちに、時間は過ぎ去り1時間目が始まってしまった。やべぇな、この調子だと授業頭に入んねぇぞ…
♦
やがて時間は無情にもすぐ去っていった。なんでこんな時に限って時間が過ぎるのはアホみたいにはえぇんだ。予想通り授業内容は右から左へとすり抜けて行き、ノートすらまともに取れていない。そんな時
「翔君今日私お昼は友達と食べるね」
ハッキリ言おう…勝った!まさかこんな展開が起こるなんて思いもしなかった
「おう、了解…」
勝った、完全に勝ったぞ。授業中、授業が頭に入らないレベルで考えていた苦労が消えてしまった…なんてことはどうでもいい。万事OKだ
俺は立ち上がり2組へと向った
「あ、翔。こっちおいでよ」
「おう〜」
案の定結衣は教室に居た。机を2つ向かい合うようにくっつけ俺を迎え入れる準備は万端だった。突然の俺の登場にクラスが一瞬ザワつくがすぐに元に戻った。なんかこの感じ嫌だよね
俺は結衣の席の向かいへと座ると弁当を開いた。弁当の感想を一言で言うと感動だ…。コンビニ弁当の比にならないレベルの美味しそうな見た目、鮮やかだ。香りもとても良い、目で楽しみ鼻でも楽しめ最終的に口でも楽しめる。まるで高級レストランにいるような気分だ
「美味しそうだな〜翔のべんとう欲しいなぁ〜」
「別にいいよほら」
「あーん?」
「はいはい、あーん」
俺は昨日夏樹としたようにあーんしてあげた、最早手慣れたものだ。俺の行動に再びクラスがザワつくが、そんなこと気にしているぐらいじゃこの先やっていけない、甘いな俺のメンタルはもう鋼だ
「翔部活何入ったの?」
「ん?陸上部」
「あ、そーなんだ。ってか翔の弁当うまっ!!」
俺があげた卵焼きをモグモグと食べ、そう言う結衣の姿からはとても昨日のような面影は無かった
「結衣はどこの部活入るんだ?」
「陸上部」
「あー、そーなの…え?」
は?
「ん、どーしたの?卵焼きもう1つちょうだいあーん」
「お、おう」
結衣の口に卵焼きを運びながら、考える
ちょっとまて…おいおいおいおいまじかよ。えらいこっちゃ。夏樹は陸上部マネージャー、結衣は陸上部員…無事に済むわけねぇ…許容範囲外だよ!!
「翔と同じ部活なんて嬉しいなぁ。近くで翔見れるから浮気の心配ないね」
同じこと言ってんじゃねぇかぁ!!!俺は机に再び伏した。こんな偶然があってたまるか!!明日部活行った日には五体満足で帰れる気がしねぇよ…
「翔〜あーん」
「うぅ…あ、あーん」
俺は非現実的な出来事を受け止め…られるわけが無い…俺絶対死ぬって。俺の頭の中によぎる後悔。後悔先に立たずとはこの事だ。あの時大人しく吹奏楽か帰宅部にしていれば夏樹だけで済んでいたかもしれないのだ…発狂しそう…。しかも気づいたら弁当おかずほぼ無くなってるし…
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