記憶にないこと 1
「よっしゃ、着いたな。頑張るか〜」
さっきも言ったが2度目の高校生活は2度目の人生と言っても過言ではない。俺の行い、頑張り次第で未来は変えれる。つまり、借金に追われる生活からは上手く行けばおサラバできる。それプラス欲を言えばさらに裕福な暮らしを送れる。こんなチャンスはもう無い、気合を入れないとな
学校は俺の記憶と全く同じだった。朝日ケ丘高校。偏差値は50ごく普通の高校だ。校門の前には先生が2人程立ち、登校してくる生徒達におはようと声をかけている。おはようございますと返す生徒もいれば、ガン無視する生徒、謎の一発芸をして周りから冷たい目で見られる謎の生徒などがいた
まず、登校してきた生徒は生徒玄関で靴を上履きに履き替えて、校内へと入る。俺も上履きに履き替え夏樹と一緒に教室へと向かう。教室は4階にあり、教室は階段方面から1組、2組、3組、4組となっている。俺は3組、夏樹も3組だ。
「翔君今日吹奏楽の部活一緒に見に行かない?」
「もちろんいいよ、放課後行こう」
「やった!!」
そんな会話をしながら俺と夏樹は教室の後ろのドアを開け、入室した。教室には既に生徒が6人ほど来ていた。どこにでもいるよね、朝異常に来るのが早い奴。そんな事より席わかんねぇな…確か教卓に席書いてあったはず
俺は教卓の上の座席表を確認する。席は6列で1列に6人、真ん中2列に7人いる。つまり、1クラス48人。結構多い、そしてこの座席表によると俺の席は窓際の、一番後ろ。俺は席へと移動し鞄を下ろした。隣の席は夏樹、知ってる人が隣で安心する反面、朝の出来事で恐怖もある。が、可愛ければオッケーです!!
時刻は8時20分だんだん生徒達が教室へと入室してき、賑やかになる。いやぁ、ほんとに懐かしいなぁ…と思いながら1人席に座り黄昏ていた。そりゃそーだよ、友達いねぇんだよ。いたと思うよ!いたと思うけどね、誰が誰か分からないの...言い訳じゃねぇからな!!
「お、翔〜おはよう!」
ふと1人の男子生徒が俺の前の席に鞄を下ろし、話しかけてくる。髪の毛は短くthe運動部という感じだ。...で、誰だ?
「お、おはよう」
「いつもはえぇな、翔は今日も夏樹と一緒に登校したんだろリア充は羨ましいぜ」
「...お、おう」
いや、なんて言ったらいいんだ。そんな楽しそうな顔で言われても誰かわかんねぇ限り恐怖しか感じねぇよ…ふと、夏樹の方を見ると顔を真っ赤にして俯いていた
「ところで誰だっけ?」
本日2度目のこのセリフ、朝のが結構トラウマだが思い切って聞いてみた
「え?記憶喪失か?俺は朝日 響...だぞ?」
「いや、真に受けて俺をゴミみたいな目で見るやめろよ」
何とか誤魔化せたが、結構真剣な顔でそう言われて焦る...ほんと心臓に悪い、ってか俺の記憶と違うことが起こりすぎている。流石におかしい...
「おはよう翔〜」
...懐かしい声、声の主は中学からの同級生暁 柊。やっと知っている人に出会えた…やばい、嬉しさと感動で泣きそう…
「おう、おはよう柊」
柊は俺の斜め前、つまり夏樹の前の席に鞄を下ろした。良かった俺の周り知ってる人だけになった。まぁ、2人知らないけどね!?正直怖いからね!
時刻は8時30分、40分からSHRすなわちショートホームルームで先生が来る。高校1年の時の先生ならもしかしたら知っている先生かもしれない。俺は微かな期待を胸にその時を待つことにした。やがて教室には、生徒が全員登校完了し、とても賑やかになった
「よーし、お前ら静かにしろー」
そう言って先生が朝配布するプリント類を持って、入ってきた。…しらねぇぇ…誰だよこの人…。俺の高校1年の時の担任とは全く違う男の先生、身長が高くイケメンな先生だ。
「なぁ、柊あれなんて先生だっけ?」
「ん?何言ってんだ、藤井先生だぞ」
「あー、そうか」
「もー、今日翔君どうしたの?」
「あんま気にすんな一時的な記憶障害さ」
「冗談多めな日だね…」
いや、割とガチで記憶障害じゃねぇかって自分を疑うレベルで、知らない人だらけだよ。なんで頼みの綱の先生まで知らねぇ先生なんだよ。ここ本当に朝日ケ丘高校か?俺の脳内は既に、パンクしそうなぐらい色んなことが起こりすぎて一杯だった。
♦
やがてSHRが終わり1時間目が始まろうとしていた。1時間目は国語B。いわゆる古典だ、国語Aは現代文、高校になってからは中学と違い、国語と数学は2科目に分けられる。まぁ、高校によるが
そして順調?に1時間目、2時間目、3時間目、4時間目と時間は過ぎ、昼休みになった。1時間の時間は50分、普通に長いが前の生活の様にボーッとしているかバイトしているかよりかは、数千倍マシだった。知っている知識でも、もう一度頭の中に入れ覚え直す感覚はとても楽しいものだった。そして1つ気がかりなことがある。授業中夏樹が物凄い勢いでノートに何かを書いていたのだ。とても気になるが言及するのは野暮だろう。また今度見よう
そして俺は昼休みになりとてつもなく重要なことに気づく
「弁当...忘れた」
そう、弁当を忘れたのだ。母親の愛情満点、美味さ満点の弁当を自室の机の上に置きっぱなしにしてしまった。すまんオカン、帰ったらちゃんと食う…
「翔君お弁当忘れたなら私の食べる?」
「いや、いいよ。夏樹のお腹減るだろうし大丈夫だよ」
「まぁまぁまぁ、遠慮しなくていいってほら、あーん」
そう言い夏樹は自分の弁当から卵焼きを箸で摘み、俺の口へと運んだ。ここは断るべきなのだろうが、こんなリア充みたいなことしない訳には行かない
「あーん...美味い…」
「ほんと?嬉しい!」
いや、ほんとに美味い。朝のオカンの飯と言い今日は感動するのが多い日だ。一見ただの卵焼きだが、口にふくむと、トロリととろけ、口の中に出汁のいい香りが広がる。素晴らしく上手い
「これ手作り?」
「そだよー」
「上手いんだな...天才じゃん」
「えへへ、ありがとうはい、あーん」
これ以上食べる訳には行かないと脳が分かっていても体が言うことを聞かない。無意識に口を開き夏樹が運んでくる食べ物を食べる。うますぎる
「そういや、柊と響は?」
「多分どっか別のところで食べてると思う。なんで?私といるのが嫌なの?」
俺がそう言うと朝と同じように夏樹の顔色が変わり、睨みつけてくる。これは、地雷踏んだな
「いや、ただ気になっただけさ」
「そか…」
明らかにさっきとテンションが違う。やばい、どうしたらいいんだ?マジでわかんねぇ。こんなに高校生って大変なのか?半日しか経ってねぇのに死にそうなぐらい疲れる
「ちょっとトイレ行ってくる」
「うん」
俺はそう言って一旦その場から離れトイレへと向かった。トイレは廊下の一番端にあり、俺はそこで少し休むことにした
トイレへと、ついた俺は早速今の状況を確認する。明らかに記憶にない事が先程から起こりすぎている。俺は高校1年のこの時期、昼は柊と食べたり1人飯をしていた。それが今は夏樹と2人で食べている。そして教室にいる回りはそれを当然のように気にもしていなかった。つまり、俺と夏樹が仲が良い事はクラス全員が知っていて、俺と夏樹は前からとても仲が良かったと考えられる。
そしてあたらしい男友達の響。ヤンキーのような見た目だが普通に良い奴で問題は無い、授業中少し喋ったが普通に面白い奴だった。そしてもう1つ俺の記憶と違うのは担任の先生だ。藤井先生と言う新しい教師。まぁ、教師なのであまり気にしないことにした。将棋で29連勝位しそうな名前してるしな...。もしかすると俺の記憶と違うことがまだまだあるのかもしれないな
もはや頭が痛いのが平常すぎて気にならなくなってきた