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命懸けの中間テスト

菜々の事件からしばらく時間が経ち俺達は、朝日ヶ丘高校入学後初の中間テストを迎えようとしていた

あれから夏樹、結衣には勿論、柊や響にも菜々の事を話し俺と菜々がひとつ屋根の下で暮らしていることについては皆納得してくれていた。夏樹、結衣は若干未だに反対気味だがそれはただ嫉妬しているだけだろう


問題行動を起こした蓮、颯太は謹慎処分を食らい部活でも問題は起こらずとても平和な日常を送っていた。

だがしかし、遂に学生皆が嫌いな中間テストが始まってしまう

何の問題も無いのは菜々ぐらいだろう。俺を筆頭に他の奴らは点数を少しでも上げるために学校が休みの日に勉強会を開くことになった


そして今、俺の家のリビングにバカ3人を筆頭に柊、響、俺の6人が集結していた


「よーし!では皆さん今回の中間テストは全員上位をめざして頑張りましょう!」


この勉強会の進行、バカ5人に勉強を教えるのは全教科学年トップの菜々だ。というか菜々以外に任せてしまうとバカ達が暴走してしまう


「今回の中間テスト!この中で国、数、英、理、社の五教科で総合1位の人は翔くんとのデートが確約されます!命懸けでやりましょう!」


「「おーーー!!!」」


菜々がそう言うとアホ2人が明らかに反応する。男性陣の反応は冷え切ったものだった


「男性陣はどうなるんだよ!」


響がブーイングをしながらそう言った。それはそうだ、男性陣の2人は俺とデートなんて何の得にもなりゃしない


「そんなの知りませんよ。ハンバーガーでも奢ってもらったらどうです?」


菜々が響を睨みつけながらそう言うと、響はしゅんとし柊に泣きついた。可哀想な扱いだかそれでこそ響だな


「ではでは、中間テストまでもう日が無いので各自頑張りましょう!分からないのは全て私に聞いて下さい!」


菜々がそう言い勉強会が幕を上げた。各々が苦手教科を中心に勉強し、分からないところは全教科万能の菜々がそれぞれをサポートする。菜々も教える事により自分の知識をアウトプットでき、更なるレベルアップに繋がる

なんて効率の良い勉強会なんだ、流石菜々が企画しただけはある…ってか俺とデートって菜々がほぼ確定じゃね?こ、こ、こ、コイツ全部計算していやがった…


そして、勉強が始まり10分程。一番最初にギブアップしたのは柊だった

柊はおもむろに立ち上がると「コンビニ行ってくるわ」と言い俺の家を出た。そして、誰もがこう思った


「「「「「絶対あいつ帰って来ねぇ…」」」」」


皆の予想通り柊は最後の最後まで帰ってくる事は無かった


柊が帰宅してから数時間、時刻は16時を指していた。意外と勉強中でも時の流れは早く、自分がこんなに勉強出来たんだと少し感心する


「あー!疲れた!皆でファミレス行こ〜よ」


「「いいね!行こーぜ!」」


夏樹がそう言うと響と結衣が即座に反応した。朝から勉強してるし、皆お腹は空いているのだろう

俺達は夏樹の提案通りファミレスに行き、そこで解散する事にした



そしてそんな日を何日か繰り返し、絵に書いたような『青春』を送った俺達は遂に中間テストを迎えていた


「さぁ〜、勉強会の結果を存分に発揮しますか」


そういい気合いを入れた俺は配られた問題用紙と答案用紙を先生の合図の後、表を向け回答を開始した。中間テスト一発目の教科は俺の苦手教科英語だ

苦手教科の英語だったが菜々の勉強会のお陰でペンはスラスラと進み、行き詰まることなく俺は回答用紙を埋めることが出来ていた


前の人生では英語なんて1ミリも出来なかったが、菜々の教え方によって俺はそんな過去を払拭していた

周りを見てみると、響も夏樹も問題なく記入を続けている様子だった

あいつマジで将来教師とか向いてるんじゃないか?

そんな事を思いながらも記入を続け順調に回答を続けていく。だが、最後まで記入する事は叶わず終了のチャイムが無情にも教室に響いた

だが、1番苦手だった英語をここまで進められたのだから、自分の中では大成長だ


その後も国、数、理、社会と順調にテストは進んで行き1日目が終了した。中間テストは2日間に分けられ、2日目は情報や保健体育等の副教科がメインとなり中間テストが終了する

テストの結果は全教科終了後に先生により発表される


「いや、マジですげぇわ菜々。スラスラ記入できたもん」


「ほんとほんと!流石学年トップって感じだよね!」


俺と夏樹がそう言うと菜々は顔を赤らめ嬉しそうな顔をし「いやいやそんな事ないですよ!」と、露骨に照れてるやつのお手本の様なセリフを言い鼻歌を歌い始めた

勉強面では言わずもがな学年トップだが、チョロさ加減もおそらく学年トップだな


そして、2日目も順調に終えた俺達はテスト終わりの打ち上げにとカラオケへと来ていた

勉強会となるとすぐに帰ってしまう柊だったが、こう言うのは意外と好きな柊は一番最初に到着し、みんなが普通嫌がるトップバッターをノリノリでこなしていた


「響〜2人でなんか歌おうぜ〜!」


「お!いいね〜!何歌…」


俺がそう言い曲を入れるタブレットを響に渡そうとすると、無情にもそのタブレットは女子3人組に奪われる。なんて可哀想な響…本当にアイツは不遇な扱いばかり受けるな…


「翔さんと一緒に歌うのは私です!響さんは引っ込んでてください!」


「そうだぞ!なんでよりによって響きなんだよ!意味わかんねぇ!」


「間違いない!翔くんと歌うならせめて柊くんでしょ!響くんはないわぁ…」


「もういい、柊…お前だけは俺の味方だよな」


女3人にそう言われメンタルをやられた響は、いつも通り柊に泣きついていた


「今回ばっかしは皆に同感かな、お前歌下手だし!」


柊がそう言うと部屋が笑いに包まれ響は半泣きになりながら、ドリンクバーから持ってきたメロンソーダをイッキ飲みしてふて寝を始めた

いじられキャラの響が今日はいい味出してるなぁ、中間テストで気張っていた気持ちが一気に緩んだような気がした


それからもThe青春を味わい尽くした俺達は17時半にカラオケ店を後にし帰路に着いていた

自転車で来ていた柊と響はそのまま自転車で帰宅し、俺達4人はいつも通り歩いて帰ることにした


帰り道はアホ3人がテスト点数で勝ったら俺と何処に行くかの話で盛り上がったりしていたが、俺は前の人生では味わえなかったような青春の余韻に浸っていた。

皆で遊んだり何かを乗り越えたりする度に強くなったような気がするし、間違いなく明るい未来へと進んでいるような気がして今の人生はとても充実していた


「幸せだなぁ」


思わず漏れた心の声


「翔さんなんか言いましたか?」


「翔ひとりごとか〜?」


「翔くんも喋りたいなら混ざればいいのに」


俺の言葉に過剰反応する3人。俺の2回目の人生が良い方向に進んでいるのには間違いなくこの3人も関わっている。最初はヤンデレ3人で絶望ばかりだったが少し慣れれば意外と大したこと無かったなぁ。


しかし、この時の俺は『ヤンデレ』と言うものを侮っていたと後で強く後悔する事になる。だがそれは、まだ少し後の話

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