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過去からの脱出 2

怒りに見た表情で玄関を空け母は開口一番に菜々の母親を怒鳴りつけた


「うるさい!アンタ見たいなやつに親の資格は無い!子供の未来を潰すような親は出直してきな!」


母さんはそう言うと菜々の母親の話を聞くこともなく再び扉を荒々しく閉めた

自分の母親のカッコイイ背中に思わず惚れそうになる。流石俺の母さんだ、その男勝りな所は1度目の人生から変わっていない、それどころか鋭さを増してるまであるな


「よし!ご飯にしよう!」


そういうと母さんは普段の優しい口調と顔に戻り、キッチンへと向かった

母さんが夕飯の準備をしている間に俺達は菜々が持ってきた荷物を整理するために自室へと向かった

つい勢いで決めてしまったが、ひとつ屋根の下で女の子と今日から暮らすのか…荷物置きとして使っている部屋を片付けて菜々の部屋にするのもありだが、結局の所、荷物が溜まりすぎていて片付けるのはほぼ不可能だ

つまり消去法で菜々が寝れる場所は俺の部屋しかない、俺襲われないよね…?


「翔さんのお母さんカッコイイですね、流石翔さんのお母さんって感じです!」


そう言い上機嫌で荷物を整理する菜々、いくら毒親とは言えいきなり離れ離れになったのだから、少しは寂しい気持ちや思う所があったんじゃないかと思っていたが、そんな心配は菜々の表情を見ていると吹き飛んだ


「だろー?自慢の母さんだよホントに」



やがて荷解きを終え、3人でワイワイと食卓を囲み夕飯を食べ終えた俺達だったが、菜々がお風呂へと行っている間に俺は母さんに話をしていた


「急なこと言ってごめんな母さん。けど俺の中でそれしか考えられなくてさ」


「大丈夫よ、翔が優しい子に育ってくれて母さん嬉しいよ。私でも多分そうしてただろうしね」


申し訳なさそうにそう言う俺に母さんは微笑みながらそう言った。そうだ、コレが普通の家庭の母親ってものだ。俺のやった事に間違いはなかったと、母さんのおかげでより一層の自信が持てた


やがてそんな話をしている間に各々入浴等を終え、それぞれが寝室へと移動していた。もちろん菜々は俺の部屋にいる

俺は敷布団を引いて床で菜々は俺のベットで睡眠をとることにし、準備を終えた俺達は布団へと入り寝ようとしていた。だがすんなり寝れるはずもなく、俺の鼓動は人生初の女の子と過ごす夜に心臓が激しく脈打っていた。別に何もする気もないし何も起こるはずが無いのにコレって本当男の性ってやつなんだろうなぁ

そんな事を考えながら無理矢理目を瞑り俺は眠りについた


翌朝、携帯のアラームで目を覚ますと俺の隣には俺に抱きついて眠っている菜々の姿があった


「っおおおおおい!!!」


思わず漏れる叫び


「うわぁ!ビックリしましたよもう」


俺の叫びに菜々は思わず飛び起きたが、特に何も気にすること無くそう言った。ビックリしましたよじゃねぇ…


「な、な、なんで隣で寝てんの!?」


明らかに動揺し震える声、まさにバキバキ童貞な自分に少し嫌気がさすが、この状況で何も言わない男の方が居ないだろ!と自分に言い聞かせた


「ん〜、ちょっと寂しくで」


そう言い菜々は少し恥ずかしそうに顔を赤らめ下を向いた。まぁそれもそうか、昨日あんなことがあったからあったんだ。今日ぐらいは許してあ


「まぁ全然嘘で、翔さんと寝たかっただけなんですけど」


「馬鹿野郎!許すか!!!」



そして朝食と支度を終え時刻は8時前、今日は部活の朝練があるのでもうすぐ夏樹達が迎えに来るはずだ

…ん?

…夏樹達が?…迎えに?


やっっっっっべぇ状況じゃぁあ無いか!!!


それもそうだ、俺と菜々は2人1緒に家を出なければならない。同じ家だし、同じ部活だし時間ズラして行こうにも、もう手遅れだし。なんで俺はこんな事が思い浮かばなかったんだ…

そんな事を考え焦り散らしていると、無情にもインターホンの音が鳴り響いた


「翔さん!夏樹さん達ですよ!行きましょ〜!」


なんでお前はそんなノリノリで行けるんだ、事の重大さに気付いてないな?俺死ぬかもしれないんだぜ?

だが、いくら考えても埒が明かない。俺は行ってきますと母さんに伝え玄関の扉を開いた


「翔おはよ…う」


俺と菜々が2人で姿を現すと結衣は途中まで出ていた言葉を飲み込み、夏樹は目が完全に点になっていた


「あの、待てお前らこれには事情が」


「翔さんと一緒に住むことになりました木下 菜々です!お見知り置きを!」


ぁぁぁぁああ終わった!終わりました!ってかなんで名前木下!?結婚したわけじゃないだろ!

それを聞いた2人の表情は見るまでもなく殺意に満ちた顔をしていた


「話聞かせろや…翔ぅ」


「内容次第で殺すよ翔くん」


ひぃい!!!そう言う夏樹と結衣、菜々はそれを見て満足そうな顔で2人の間をすり抜け朝練へと向かった

あの馬鹿野郎言い逃げしやがった…


「理由が!理由があるんですぅ!!!」


住宅街に響き渡る俺の情けない声。

今日も朝日ヶ丘は変わりなく平和だ


ここまでご覧くださりありがとうございます!

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