表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/28

傷跡 1

翌朝、携帯のアラームで目が覚める。母さんは今日の夜帰ってくる予定らしい、やっと母さんのうまい飯が食べれると思うと思わずニヤけてしまう

 

「はぁぁ〜眠たぁー」

 

起き上がり大きな欠伸をしながら背伸びをし、学校に行く支度をする。今日流石に朝飯食わねぇと、また部活で倒れるのはごめんだ。カバンに教科書を詰め制服に着替えせっせとリビングへと向かう

 

「あ…」

 

トーストを焼こうとキッチンへと向かった俺は完全に忘れていた『食洗機にぶち込まれている皿達』を

これは流石に朝ご飯は食べれなさそうだなぁ

露骨に下がるテンション。だが、1日頑張れば母さんの飯だ。そう考えるとモチベーションが湧いてくる


俺は食洗機に入れられている皿をひとつひとつ丁寧に食器棚にしまう。思っていたより量があったことに驚きつつも、昨日は楽しかったなぁなんて思いながら作業を進める

そして片付けを終えて数分、いつも通りインターホンが鳴らされる

 

「はいよー」

 

カバンを手に取り玄関を開けて外に出ると、そこには

 

「おはよう翔!」

 

「おっはー!」

 

「おはようございます翔さん!」


ヤンデレ3人組が満面の笑みでそこに居た

 

「お、おはよう?こりゃまた大勢で」

 

いつもは夏樹のみなのに結衣に菜々もいる。昨日で俺の家の位置は分かっただろうし、こうなることは想像はしていたけどもね

 

「大丈夫だったか?」


そういい心配そうな顔をする結衣

 

「全然大丈夫、完全ふっかーつ!だ!」


親指を立てグッとしながらそう言うと、結衣含め3人の顔に笑顔が戻り皆で学校目指し歩み出した

通学途中、他の男子生徒からの目がとても痛かったがこれももう慣れるしかないんだろうな



俺が倒れてから3日、それからは倒れることも無くトラブルが起きることも無く平和な学園生活を楽しんでいた

まぁ、例の3人のおかげで多少イレギュラーはあったが許容の範囲内だ


部活も倒れた次の日からは普通に出席でき、倒れた事が信じられないくらい体は軽く動いていた

前の人生での生活では走る事なんて無かったから、ちゃんと動けるか心配していたが驚くほど陸上部での生活は馴染んでいった


夏樹は順調にマネージャーの仕事を覚え、結衣も楽しそうに部活生活を送っている

菜々は初の運動部で心配していたが、勉強同様器用に吸収して行きどんどんタイムを縮めていっていた

1つ気がかりな事があるとすればこの3日、2年の蓮と颯太のヤンキー2人組みが一度も部活に来てない事だ

まぁ、アイツらのことだからサボっているのだろうが。正直、居ない方が平和に部活をこなせるから安心していた部分もある


そして今は部活が終わり3人組と共に帰路に着いていた。今日は金曜日、明日は部活の朝練がありそれを乗り越えると日曜日で休みだ

2度目の高校生活だが平日の流れはやっぱり長く、平日を乗り越えた俺のテンションは上がってきていた


「明後日の休みどっか行かない?」


そんな夏樹の一言で修羅場が確定した…


「おい!抜け駆けしてんじゃねぇよ!」


「そうです!ありえないです!」


ほら見た事か

夏樹の一言で火がついた、おバカ2人は予想通り声を荒らげてきた

せっかくテンション上がってきてたのに何してくれてんだ…夏樹も正直絶対悪意あっただろ


「ッ、いたっ!」


3人で言い合いをしているのを尻目に先を歩いていると、ふと菜々の悲鳴が聞こえる


「は?」


俺が振り返るとそこには突如路地から姿を現した颯太が、菜々の手首を掴み引っ張っていた


「明後日俺と出かけたらいいじゃん菜々ちゃん」


そんな訳の分からない事を言いながら不敵な笑みを浮かべる颯太。急な出来事に呆気に取られている結衣と夏樹

動けるのが俺しか居ないと悟った俺は菜々と颯太の元へと駆け出した


颯太に手を伸ばし掴もうとした瞬間、右頬に走る激痛。凄まじい衝撃に思わず地面に倒れ込む


「はっ、クソガキが調子乗りやがって」


そんな声の方向に目をやると、そこには俺を殴り飛ばし満足気な顔をしている蓮の姿があった

恐らく先程、颯太が現れた路地でスタンバイしていたのだろう


「夏樹ちゃんと結衣ちゃんは俺ね〜」


そんなキモイことを言いながら蓮は夏樹と結衣に手を伸ばす


「お前、殺す」

 

俺が殴られた事によって激高した結衣は、そう言うと蓮の顔面目掛け蹴りを放った。女の子特有の柔軟性から繰り出された蹴りは、綺麗な弧を描き蓮の顔面に直撃した


「いってぇ、テメェ!」


結衣の蹴りは見事な物だった、普通の人なら一発でダウンしているだろう。だが喧嘩慣れしてる蓮はダウンすることなく声を荒らげる


「夏樹!警察呼んで来てくれ!」


俺は起き上がり夏樹にそう言った。俺が殴られた事によって夏樹も結衣もスイッチが入ってしまっている。夏樹まで巻き込まれる前に早く対処しないと


俺の声を聞いた夏樹は我に返ったのか一瞬の間を置いて、頷き携帯で警察に連絡しながら走りだした


「おい!ちょっと待て!」


「いったい!」


それを見て慌てた颯太が菜々を押し退け夏樹の後を追う。押し退けられた菜々は地面に倒れ込み、地面にぶつけた衝撃で二の腕から出血していた


「颯太!ちょっとま…」


その後、蓮も慌てたのか颯太の後を追いかけようとし声を上げたが、その途中で蓮の顔面に綺麗な飛び蹴りが炸裂した


「結衣さん?だっけ、いい蹴りしてんじゃん。大丈夫か翔」


声の主は柊だった。蹴り飛ばされた蓮は地面に背中から倒れ込みそのまま気絶、鼻からは血が垂れていた

なんで柊がいるんだ?と言う疑問が浮かんだが、そんな事より夏樹が危ないと思った俺は颯太の後を追いかけようと振り返るが


「いぇ〜い!」


そこには地面に倒れ込んだ颯太と、その颯太の上に座り込みこちらに向かってピースサインを送る響の姿があった

夏樹もどうやら無事なようで響の隣で身を潜めていた


「お前らなんで、違う!菜々大丈夫か!?」


色々疑問は浮かぶが、俺は菜々の元へと駆け寄り声をかける。傷の確認をする為に腕を引いて服をめくろうとするが菜々はそれを静止してきた


「ちょっと待ってダメです...」


なんだ?何かあるのか?しかし今はそんなことは気にしてられない。傷の応急処置が優先だ

俺は菜々の服をめくり二の腕の傷を確認する。

…擦り傷。そしてその下に

刃で刻んだような白い線が、幾重にも。


呼吸が止まった。

頭の中で何かが軋む音がした。





ここまでご覧くださりありがとうございます!

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や下の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆のモチベーション爆上がりするので是非よろしくお願いします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ