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思いこんだらの後

作者: 雷鳥文庫

誤字報告ありがとうございます。

私、レイカ・モルドール男爵令嬢は前世日本人である。

(思いこんだらという作品を見ていただきたい。)


そしてこの国グランディ王国の王妃様も前世日本人だったそうなのである。


五年前、第二王子様であるリード様を暗殺者から守り、背中に大怪我をして三途の川を渡ろうとなされた。

(第三王子の母、側妃の仕業であったそうだ。

2人とももうこの世にはいないようだ。)

その時のショックで記憶が蘇ったとか。


「私ね、前世でも男の子の母だったのよ。病気でその子は早世してしまったの。

一人息子でええ、なんと辛かったことか。」


「まあ。」


私も前世では三女の母であった。そういう話には弱いのである。


合いの手で、鼻をすする。


「それで、前世の息子、たけるというのだけども、お母さんこっちには来てはいけないよと。

川の向こうから押し返したのよ。ぐすっ。

ええ、立派にカメハメハみたいのを打ってきたの。


健康に育ってほしいので健とつけたのに、あの子はたった五つで、ううううっ。

だけど立派にカメハメハを。打てるようになって、ぐすっ。」


ずずずずっ。こちらも泣けてたまらん。


「あなたもあちらでお子様がいたのよね。」


「ハイ。三姉妹。瑠衣るい仁美ひとみ亜衣あいです。」


流石に漢字は変えた。


「…随分とせめたネーミングね。」


「息子が生まれたら、りょうにするハズでした。」


そこはネズミでなくて良かったわ?なんてつぶやいた王妃様の涙は引いていた。


「母上。こちらにおいででしたか。」

きらびやかに後光のようなオーラをまとい第二王子リード様が現れた。

相変わらずお美しい。


命を救われてお母様大好きになられたリード様は

毎日王妃様の顔を見に来られる。

「母上、お身体の具合はいかがですか。季節の変わり目には背中の古傷が痛むとおっしゃったでしょ。」

「ええ、ですから現世では孫の顔を見るまで死なないの。あなた早く婚約者を決めてちょうだい。

第一王子のアランはとっくに決まっていてよ。

王太子と隣の国のお姫様との成婚だから、後三年は準備がかかるけど。

あなたは、すぐに結婚して、孫の顔を見せてくれていいのよ。」


無茶ぶりである。

マザコンリードさまは学園独身貴族令嬢と総当たり見合いの真っ最中である。


以前私も義理で見合いしたらそこで、前世日本人とばれたのである。

それで王妃様のお話し相手兼侍女として召し上がられた。


「一応三人に絞られたのですよね?」

侍従のセバスチャンさんが口を出す。

名前は渋いけどまだ17なのだそうだ。

こないだアンケートに誘ったのもこの人だ。

リード様の乳兄弟でとても親しいらしい。


「私は席を外しますわ。」


そんな王家の秘密みたいなの聞いたらダメ。絶対。


「いいえ、あなたの客観的な意見も聞かせて。前世と合わせると60年を超える知恵と勇気で。」


ほめてますか、ディスってますか。実写版少年探偵団の歌詞ですか。


「ええ、以前からの候補の3人です。」


超美人のヴィヴィアンナ様

幼馴染の微笑みの姫カレーヌ様

才女のエリーフラワー様


やはりな。


「私が何を言っても

不適切にも程がある。と怒ったりなさいませんか?」

「モチのロンよ。」


やはり昭和テイストだ。


「まず、ヴィヴィアンナ様とご成婚なさった場合。

輝かし過ぎる程の美男美女のカップルに国民は熱狂するでしょう。

お二人の絵姿のグッズ、ポートレート、絵葉書、絵皿などが飛ぶように売れ経済効果ははかりしれません。

外国の方も欲しがり、ガッポガッポと国がうるおうでしょう。ロイヤリティーがどうなるかわかりませんが、王家御用達の看板を与えて国庫も潤いハッピーです。」


「ガッポガッポ」


「またお美しいお二人のお姿のグッズを家に置いて、朝に晩にながめれば王家への求心力も高まるでしょう。

それに、お子様がお生まれになれば

きっと天使のようにお美しいでしょう。


また、ガッポガッポとグッズが売れるでしょう。」


そこで親指と人差し指で

銭やでぇ、のポーズを作る。


「……。」


お二人が無言になったので続ける。


「次に幼馴染の微笑み姫、カレーヌ様ですが。

やはり結婚相手には安らぎだよね、昔からの付き合いって気心しれていいね、という歓迎ムードが高まり、王子様って見どころあるねぇと、やはり人間中身だよねと(失礼な表現はお詫びします。)

男女関係なく王子様の人気があがるでしょう。

お二人が親交を深められた、公園、学校、商店街などが恋人たちの聖地となるでしょう。」


両手でハートをつくり、

ラブやでぇ、のポーズをつくる。


「親しみやすい王家として、人気が出ると思われます。たまに地方のお祭りにおいでになって、すこーしだけ餅つきとかのお手伝いをなされば、

(どっかの前世政治家のように)

人気爆上がりですよ。」


「うーん、餅つきってこの世界あったかしら?」


「なかったでしたか?ではご当地スイーツの大食い大会を催して爆食なさると盛り上がるでしょう。」


「……。」


「最後に才女エリーフラワー様ですが。

彼女には学問の女神として君臨していただきたい。

彼女のイニシャルと学問の神フクロウを組み合わせたグッズを作り受験にご利益があるとして、売り出します。王家のお墨付きで。(顔写真つきでないのはお察しください。)

それから彼女の頭脳は素晴らしいので色々な発明品がこれからも作られるはずです。

是非王室の予算で

研究に打ち込んでいただければ、」


ここで最新作の化粧水

シワトレールを持つ。


「これが彼女の作品だとご存じですか?」


「いいえ、知らなかったわ。そうなの?」


「はい、詳細はふせますが女生徒の中では周知の事実。

ポケットマネーでの開発なんですが、

予算があればもっと素晴らしいシワとり効果があるものができるとか。」


「まああっ、まああっ、それ本当なの?

是非是非是非、私が出資、是非是非是非!!」


王妃様食いつきすぎ。


「化粧品を商品化してガッポガッポ。ですよ。

輸出の目玉になるかもです。ホワイトニング品の構想もあるらしいとか。

それからですね、彼女は同じクラスなのでよく分かるのですけど、物すご〜く、物すご〜く、

物すご〜く、リード王子様を愛してます。」

(見てる方が引くほどね。)

「王子様の為ならなんでもするでしょう。開発や研究も。」

(その代わり選ばれなかったらテンション下がるかもね。)

銭とラブやでぇ、と

指と手で素早くサインを作る。


「このように御三方のどなたを選んでも

正解と思います。」


「あなたはどうしたいの?リード?」


「うーん、、、母上が決めていただけませんか?


すげえ。馬鹿だ。顔がいいだけの馬鹿だ。

無駄に歯を光らせていうことか。


すっと、能面フェイスになる。


マザコンめ。


「うふふ、リードったら。母に頼り過ぎよ。」


ここにも馬鹿がいた。



「あ、それなら三人とも側妃にして囲えばいいんじゃないでしょうか。一番先に子供が出来たのが正妃ってことで。」


セバスチャンよ、おまえもか。


「「何を馬鹿なことを!!」」

お二人の声が揃った。

「父上の側妃のせいで母上がどんな目にあったか!!」

「もう少しでリードが殺されるところだったのよ!!」

「「側妃は「許しません!」取らないっ!」」


二人の怒りの圧にセバスチャンが震えてる。


「私は前世でも夫の浮気に苦しめられてっ!!

私の稼いだお金で!!

愛人と旅行に行って!

私の稼いだお金で!!

愛人と高級レストランに行って!!

健の危篤の時も帰って来ないで!!


離婚してやったけど慰謝料もスズメの涙で!!」



やばい。


王妃様が前世と現世の怒りで我を忘れてる。

大地の怒りで目が赤くなりそうだ。


「乳母のアリサは貴方にどんな教育をしたのかしらっ!!わたしが怪我で苦しんでるのを知っていた筈よねっ!!」


このままではセバスチャン一族が滅ぼされてしまう。

仕方ない。私は争いが嫌いな日本人だ。


「ううううう!!」


「ど、どうしたの??

レイカ、、」


私の慟哭に王妃さまが固まった。

「お、お話を聞いていましたら、ぐすん、

何かつらくなりまして。

(ここで、涙そうそうの歌詞を思い出す。

この歌を聞くたびに泣けるのよ。前世で母が死んでからね。)

王妃さま、、大変だったのですねー。」

「そうなの、わかってくれる?」

「(アルバムの笑顔の写真…うううっ、、悲しい)

ええ、私のお友達のタテバヤシさんも

旦那さんのギャンブル、使い込みで大変で。」

「誰よ、タテバヤシさんて。」


ハンカチでかくしながら

セバスチャンに、さ、今のうちにいけと

ハンドサインを送る。


セバスチャン、静かに脱兎の如く去る。


「(浮かぶ、笑顔がううっ、お母さん)

前世で近くに住んでたんです。

難病のお子さんがいて、看護婦さんで必死に夜勤とかいれてお金稼いで。」


「まああっ!」


琴線に触れたらしく、王妃様がにじり寄ってくる。


「(1番の星、、祈る、、ええーん。)

旦那さんがタテバヤシさんが構わないからって、浮気して。」


「まあっ!!」

もう王妃様はセバスチャンのことは忘れたようだ。


「うち、食堂やってたから時々タテバヤシさんちの子供を預かってたんですよ。

ゴハンも食べさせたりして。」


「うんうん。」


「それで離婚して引っ越していったんだけど、

タテバヤシさんのお子さんが、

おばちゃん、バイバイって。ゴハンありがとね、

美味しかったよ。って。

今、、どうしてるのかな、元気かな、なんて思ったら泣けてきて。」


「そうだったの。」


良かった。話がそれたようだ。


タテバヤシさんは実在しない空想上の存在だけど、まあ、いいでしょう。



それからセバスチャンは私を見ると軽く手を合わせるようになった。


リード様はあの三人と集中的に見合いをくりかえしている。

やはり自分で選ばないとダメよ、と王妃様がおっしゃった。



もうそろそろ決まりそうだ。

こちらの続きはグランディ王国物語で読めます。


さらに続 グランディ王国物語もあります。

宜しくお願いします。


さらにさらに!ブルーウォーター公国物語に続きます!

ゆっくりのんびり読んで下さい。



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