プロローグ ー神の子ー
小国「イーラニア公国」に住む元・冒険者夫妻 ルーシェ・アテンド、ヘリクドゥール・アテンドのもとに一人の女の子が生まれた。
アテンド夫妻は待ちに待った我が子の魔力を測定しようとした。
しかし、魔力がうまく測定できずスキルで鑑定したところ.........。
イーラニア公国 2023年 初夏
午後20時20分
部屋に響き渡る赤ん坊の産声。
一人の女の子が生を授かった。
「 銀色の産毛と青の瞳。」
彼女は生まれた時点からすでにただならぬものを持ち合わせていた。
「よーし、よしよし.....。」
父親だろうか。茶色がかった赤毛に赤い瞳。
体格も一般的な体型と比べても少し大きい。
肩まである髪の毛を結っている。
「パパでちゅよ!!」
生まれたばかりの赤ん坊にわかるはずもない。
「あなた、さっき生まれたばかりなのよ?そんないきなりわかる訳ないでしょう?」
赤ん坊を抱えているその女性は赤みがかった金髪の髪をしていて父親と同じく赤い瞳をしていた。
「すまん..ルーシェ。取り乱した....。」
その女性はルーシェというらしい。
そして、落ち着きの無さを指摘された男の名はヘリクドゥール
「いいのよ?あなたがそんなに取り乱すのも無理ないわ。待ちに待った私達の天使なんですもの....!」
ルーシェの方がヘリクドゥールより興奮している。
無理もない。苦痛を耐えた末に生まれてきた我が子だ。
そこでルーシェはあることに気がついた。
「ねぇ.....あなた?」
ルーシェは不安と恐怖が入り混じった表情を浮かべていた。
「どうした?何かこの子に具合が悪いところでもあるのか???」
ヘリクドゥールは気づいていないようだった。
ルーシェは我が子を抱いた時点で不思議に思っていた。
なぜ、赤に近い髪と赤い瞳をしている二人から銀髪・青瞳を持った子が生まれてくるのか。
生物学上、二人の遺伝子を受け継いでいるならば当然髪色や瞳の色も似る。
けれど、生まれてきた子は銀髪・青瞳をしている。
ルーシェはそれに違和感を覚えたのだろう。
「この子.....髪の毛が生えているわ...」
そう。この二人はバカ親であった。
普通なら気づくはずのところに気づかない。
この二人が驚いたのはこの後だった。
「まぁ、とりあえず無事に俺たちのとこに生まれてきてくれわけだし。」
彼はそう言うと部屋の奥から何かを探し始めた。
「無い...無い....あった!!」
そう言うと一つの水晶玉を取り出した。
この水晶玉はいわゆる<魔力測定器>触れた者の属性適性と魔力数を示す魔導具である。
長い間使われていなかったことと閉まわれていたことが重なり水晶玉を探すのに苦労した。
「よーし。ちょっとびっくりするけど我慢してなぁ......」
そう言うと生まれたての小さな手を水晶の上へとかざした。
「どう....?あなた?」
ルーシェは不安混じりの表情で男を見る。
「...........!?」
「魔力数が......いや、測定器が壊れてるのかもしれないな.....」
そう言ってヘリクはスキル:鑑定を使って自分の瞳(目)で魔力を測ることにした。
使いやすいように開発された魔力測定器にはその分の欠点がある。
欠点は測定器が使い捨てで利用され一度測定するとその後の測定の正確さが失われてしまうというもの
彼はそれを知っていたからこそスキルで測ることにしたのだろう。
鑑定スキルの精度は個人の魔力量に依存するという。
そして、ヘリクドゥールは元・冒険者。
スキルの精度は完璧であった...が。
「やっぱり..おかしい...」
男は信じられないという顔をしていた。
そこでようやくルーシェが再び口を開いた。
「あなた....?何がおかしいの...?」
そして、男はスキルを共有した。
スキルは特定の条件下で共有することができる。
それは、<同じスキル>を持っているということ。
ルーシェと男はふたりとも鑑定のスキルを持っていた。
ルーシェは男のスキルを通して測定結果を確認した。
|イエラ・アテンド丨(万物を司る神 エテナ)
種族:半精半神 <ハーフエルゴ>
属性魔法:全属性 <光・闇・火・水・雷>+神聖属性・精霊属性
<既得魔法>
・神聖魔法 ・精霊魔法 ・生成魔法 ・神域魔法 ・結界魔法
<前会得スキル>
・崩壊 ・神裁 ・支配 ・意思疎通 ・痛覚共有 ・不老不死
・高速移動 ・魔力障壁 ・防御結界 ・魔力結界 ・魔力装甲
・浮遊
<取得可能スキル>
・幻術 ・成長促進Ⅱ ・神眼 ・真眼 ・空間転移 ・物体転移 ・魔力妨害
・鑑定妨害 ・変術 ・錯乱
<獲得スキル>
・転生 ・記憶維持
そこには人間離れしたステータスが記されていた。
「おい...ルーシャ。これは.....」
男はルーシャの顔を見る。
「私達....神様を授かったんだわ!!!!!!」
ルーシェがこんなにも興奮しているのをヘリクは見たことがなかった。
「いや....でも...あれだ..」
ヘリクはまさかこのまま育てる訳じゃないだろう..という表情をしている。
顔がひきつっているのである。
当たり前だ。自分の目の前にいる赤ん坊が神だったら誰でも驚くだろう。
「なによ?私のイエラちゃんに文句がある訳?それでも父親なの?大切に育てようとする親心はないの?」
ルーシェは今目の前にいる存在を育てる気でいるらしい。<神>を。
「ったく、しょうがないな..やっぱり、ルーシェには敵わないな...」
ヘリクは諦めて神の子を我が子として育てることを決意した。
こんばんは黒沢明智です。
赤ん坊が神様だったら誰でも驚きますよね?
(私だけ?)
この物語を読んでくださりありがとうございます。
次話もご期待ください。
※投稿は不定期になる場合もあります。




