西の改札
少しホラーみがあるかもしれないです。
"この駅の西側の改札からは出ちゃいけないよ"
その言葉を聞き、なぜダメなのか気になった。ずっと乗っている電車を降りた後、西方向へと向かった。
切れかけの蛍光灯がチラつく中、目の前に階段が現れた。薄暗く気味が悪いが、恐怖より好奇心が勝ち、階段を上っていった。
進むにつれ暗くなっていき足がすくんだ。
改札まで行って戻ればいい。そう言い聞かせ、足を進めた。
階段が終わると、寂れた改札が見えた。そこには乗客はおろか駅員の姿すらなかった。改札は動いておらず、手に持っている切符を入れる所すら見当たらない。そのままに通るのは気が引けて引き返した。
「あそこ動いてないよ」
電車の中で友人に改札の話をすると、友人はにこやかに言った。
「お前、あの寂れた改札で止まっちゃっただろ」
「そりゃそうだよ」
そう返すと、友人は考え込むように言った。
「あれは昔の改札。今のはもっと先にあるんだよ」
「俺も一緒に行くよ、俺はあの辺に詳しいから」
また薄暗い階段を上る。今回は一人じゃないから心強い。
改札が見えると、僕は友人と目を合わせた。
二人で改札をコソコソと抜ける。そこからしばらく歩いたが何も見当たらない。
「ねぇ、どこまでいくの」
そう言っても、友人は足を止めない。
そのままついていくと、急に光が差し込んだ。
きっと外だ。このままでは切符を通さずに外に出てしまう。
「ねぇ、ダメだろ。戻ろう? 」
声をかけると、友人は見たこともない形相で叫んだ。
「お前はこっから出るんだよ!!いいから行け!!!」
友人は僕の背中を思いっきり押した。光が眩しい。
ゆっくりと目を開けると、そこには見慣れた改札があった。辺りにはたくさんの人で溢れている。目が覚めたように、僕は手に持った切符を改札に通した。
すると改札に引っかかってしまった。駅員がこちらへと向かってくる。わけも分からないまま棒立ちしていると、駅員さんが怒った様子で話しかけてきた。
「君、だめだろ。これ3年前の切符じゃないか。」
僕が困惑していると、その様子を見た駅員さんは渋い顔をしてどこかへ連絡をした。
僕はいつの間にか警察に連れていかれていた。
話を聞けば、僕は3年間行方不明になっていたらしい。
迎えに来た、やつれた母に抱きしめられながら、僕は友人のことを思い出していた。
彼は一体何者だったのだろう。僕と同じ人間なのか。それともあちら側の人間か。
もう顔も思い出せない彼は、未だにあの駅をさまよっているのだろうか。




