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前世、魔王。今、勇者  作者: ミナ
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幼児期の話

「平和が訪れたのでした。おしまい。・・・はい、さてこれが多くの世界で読まれている【暗黒時代と傲慢の終わり】です。皆さん、理解できましたか?」


「「「はーい」」」


 ここは、ある町の子供たちの学び舎。今、ここでは十数人の子供たちが眼鏡をした赤髪の女性から教えを受けている。


「この【暗黒時代と傲慢の終わり】の物語は約300年前の本当にあったお話です。その頃は魔王たちにより、ほとんどの国々が破壊されたと文献に残されています。まさに、人類の絶滅寸前だったとも言えますね。」


 この女性はこの学び舎での唯一の教師、アルエ。アルエは本を片手に、椅子に座って机にむかっている子供たちに歴史を話している。


「でも、先生。その物語が嘘じゃないかって言っている人たちもいるらしいけど、その話は本当にあったことなんですか?」


 授業が退屈になったのか、それとも逆に興味をもったのか知らないが一人の男の子がアルエにそんな質問をした。


「あら、リック、珍しいですね。あなたが授業中に質問をしてくるなんて、何かありました?何か悪いものでも食べましたか?いけませんよ、拾い食いはお腹を壊しますからね。」

 

 男の子の発言に対して、驚くも嬉しそうに彼の方をみてそんなふうに冗談を言った。


「ちげーよ、先生。父ちゃんが友達とそんな話をしてたのを思い出しただけだよ。父ちゃんは本当だって言ってたけど、その人が嘘じゃないかーって言ってたからさ」

「なるほど、そういうことでしたか。」


 アルエはリックの理由を聞いて、本を閉じた。その後、全ての子供たちに目を向け、話し始めた。


「確かに、この物語はとても古く、信じられない内容もあり、作られた話ではないかとも言われています。しかし、この物語が実際にあったことだと私は思います。」


 アルエは子供たちを見ながらそう言い、息を整え話を続けた。


「私がそう思うのは理由が2つあるからです。1つ目は今はその呼称を変えていますがこの物語に出てくる《七大罪魔王》は今でも存在している魔王だからです。人類に味方した《嫉妬》の魔王は確実に存在していることが、勇者たちによって確認済みです。他にも、《七大罪魔王》ではないかと言われている魔王も確認されています。これが1つ目の理由です。」


「2つ目の理由としては、このトールピアに関してのことです。完全な実証はまだされていませんが、この《トールピア》は元々、《魔都:ディートピア》だったのではないかと言われています。」


「《ディートピア》は【傲慢の魔王】カイラスが死んだあと、そこにあった建物は一つを残して、跡形もなく全て破壊されたとされています。物語に記されていませんが、人類、《魔都聖滅軍》にとって《ディートピア》はカイラスの格、象徴ともいえるモノです。後々、魔物たちがここに集まり、また争いになることを恐れたのでしょう。」


「少し話がそれましたが、その破壊から一つの建物が残りました。それがカイラスが住んでいたとされる《魔城》です。この《魔城》はカイラスと勇者の戦いにより、半壊しましたが、その後に行われたとされた《魔都聖滅軍》による破壊から免れたとされています。」


「そして、この《トールピア》にて、その《魔城》跡が最近発見されたのです。それが2つ目の理由になりますね。《魔城》跡が本物か偽物かまだ確定はしていませんが、【傲慢の魔王】の紋章、その時代に遺物、劣化せず誰にも開けられない魔法の扉、破壊しようとしても傷一つつかない壁など本物でないと説明出来ないものが続々出ていますので、近いうちに本物だと証明されるでしょう。」


「さて、ここからは私の考察になりますが、あの《魔城》跡にはおそらく《カイラスの遺産》があるのではないかと思われます。なぜなら「先生!もうお昼ですよ!」っと、そんな時間でしたか、すみません。熱く語ってしまいましたね。さて、今日はここまでですね。では、片付けたあとお昼にしましょう!」


 アルエの暴走を終え、子供たちは仲がいい友達と食事の準備を始めた。

 この学び舎の外には大きな樹があり、その下で食事を始める5人の子供たちがいた。


「ったくよー、アルエ先生は暴走するといつもながいからなー、メシ食えなくなるとこだったぜ。」

「本当よね、あのままだったらお昼過ぎまで話してたかも、でもルナのおかげで助かったわ。」

「えへへ、私もゴハン食べれなくなるのはやだもん。」


 赤髪短髪の少年 リックがそう話し始め、蒼色ボブカットの少女 ラーラとピンク髪長髪 ルナが準備をしながら、話に乗ってきた。


「でもさ、本当なのかしら?この街に昔、魔王がいたなんて」

「あー、あれか、おれ頭わりーから別にどうでもいい」

「えー、リックから言ったんじゃん、もーしょうがないなー。じゃあ、ハルはどう思う?」

 

 ルナは緑髪を後ろで結んだ少年 ハルに話を振った。


「うーん、どうだろうね。本当だったらすごいね。でもアルエ先生は《傲慢》の魔王のことになると暴走するから、確実とはいえないと思うな。」

「ふーん。私は本当だと思うわ。だって最強の魔王だったのよ。本当だったら自慢出来るじゃない!!私の故郷は魔王がいたんですって」


 4人が授業での内容に盛り上がってるなか、1人だけパンを食べ始めている少年がいた。


「おい、カインはどう思ってるだよ。お前も話に混ざれよ。」


 リックはその黒髪の少年 カインに向けて言った。カインはリックを見て、一言だけ言った。


「興味ないな。」

《辺都:トールピア》

 《王国:ブレンニア》の東方に位置する東周辺の中では五本の指入る大きな街。

 この街にはモンスターの侵入を防ぐ壁、子供たちへの教養のための学び舎、その者の素質を見抜く《教会》などがあり、周りからの移住が堪えない街となっている。

 また、この街には古代遺跡があり、近年この発掘に領主が力を注いでいる。現在、城のような建物が確認されており、注目が集まっている。城門が魔法の効果なのか、全く開けられず調査が難航している。

 一説には、この城が《傲慢》の魔王の城という噂も存在している。

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